第144話 襲撃目標発見~♪

ハイどうも~。

必死に捻り出した「よしなに」が効果があったのか、オハナの笑顔の圧に負けたのかはわからないけれど、特にツッコミを受けることなく施設内を案内されてほっと一安心のオハナです。


クロードの余計な一言のせいで、どうやら今回のオハナはずっと高貴プレイしなきゃいけないみたい、「クロードは後で呼び出しだぞっ☆」とか思ったけど味を占めて何度も繰り返されては堪ったもんじゃないので放置一択かなぁ。

いや。それはそれで構ってほしくて勝手しそうではあるか………。


――――――3号案件かな?3号も何か話があるみたいだったし。


面倒だけれど救出のためにも我慢は必要だと自分を納得させて、主に漫画やゲーム等から高貴っぽい人物を思い出しては寄せ集めた結果、全力ですまし顔をしてるんだけど………。


何故某大聖堂の隣に某神殿が在って、更に遠くに某新宮が見えてるの!?


庭園だとか、そんなものは取っ払われた状態で、一度は何となく目にした事がある有名建築物らしき建物だけが鎮座していた。


唯一神じゃないの!?

神様なら何でも良いの!?

しかも国際色豊かすぎん!?

敬虔な信者さんたちがこれ見たら怒り出さない!?


オハナの視線の先に気付いて案内してくれていた組織のおじさんが説明してくれる。


「我らの信ずる神は同じですが、その信奉の仕方には些か違いがありましてな。信者同士何が正解か異端かを押し付け合うのではなく、それぞれがそれぞれの形で我らの信ずる神を身近に感じられるように工夫した結果なのです」


………言ってることは良い事だとは思うよ?多分。うん。


神様をイメージしたであろう石像や銅像なんかが、まるで組体操してるみたいにずらっと並んだりしてなければの話だけどね!?


その「ここまでやると逆に罰当たりじゃない!?」って思ってしまったのが不覚にも可笑しくて、でも一応お偉いさんっぽいおじさんの前で笑い出すわけにもいかず。建物を見るふりしてコテツさんワヲさんを見ると二人もそれらを見ないようにしていた。

カナきちに至っては俯いてるけど両肩が激しく上下に揺れているので、絶対笑ってる。


しかもよりによってどうして良いこと言ったっぽいおじさんの後ろで『○○顔Wピース』してる石像があるかなぁ。


これ絶対信仰の対象じゃないでしょ?自由過ぎるにも限度があるよ!?

誰かが酔って悪ノリで作ったヤツでしょ?どうして誰も止めなかったの!?

もしかしてツッコミ待ち?ツッコミ待ちなの!?


これ作った奴が誰より神を侮辱してるよね!?


そうまでしてオハナに喋らせようとするんじゃないよ!こちとら高貴ムーブするために必死ですまし顔してるのにバレるでしょうが!!


想像もしてなかった笑いの刺客に耐えながら敷地内を歩き、辿り着いたのは………窓一つない真っ白な壁の四角い建物だった。

他も異空間過ぎるけど、この建物自体の異質さも相当なものだ。

宗教関連の施設っぽくない近代的な、どこか研究棟のような――――――組織に属する人であっても許可なく立ち入りを禁止している雰囲気を醸していた。


「此方にクロード様御所望のを集めております」


へぇ。

ほぅ。

ふーん。

品々、ねぇ………。


一見すると好々爺のようにも見えるおじさんからの言葉に、オハナたちに緊張が走る。今にも飛び出して行きそうなサーチェとカーマインの二人をクロードが前に出て制してくれていた。


「………拝見しても?」


オハナがそれだけ言うと、おじさんは待ってましたと言わんばかりに施設の扉の横にあった小さな板に手を翳す。

すると重々しい音を響かせながら扉が開き、おじさんは此方を向いてドヤ顔をしていた。手相なのか指紋なのか、或いは魔力的なものだったりするのか、認証システムで開錠するらしい扉で驚かせたかったようだ。


そんなおじさんには気付かなかったフリをして、オハナたちは施設内を見る。


窓一つないのに明るい?………あぁ、天井でライトが点いてるんだ。

それなら窓を付ければ省エネだろうに、余程中を外には見せたくないらしい。

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