第142話 馬車の中での会話

ハイどうも~。

あれから特に事件も無く、順調な旅路に大満足のオハナです。

あともう少しで目的地の――――――『フェグダーレン大樹海』とやらに到着するらしいんだけど、まだまだオハナたちは馬車旅を楽しんでます。


「そういえばオハナさん知ってるっスか?」


馬車の中で話題としてカナきちが話してくれたのが、どうやら勇者勢力のプレイヤーの数が減って、魔物プレイヤーが増えているみたいだという事だった。


「いつだって勝ち馬に乗ろうとする輩は出てくるもんだ」


しみじみとコテツさんが頷いている。

まぁ確かに勢力の趨勢を決める〖世界大戦〗で、まだたった二回しか開催されてないっていうのに勇者勢力が一方的に追い込まれるという事態だもんね。


「運営もかなり焦ってると思うっスよ?次〖世界大戦〗なんて開催したら、勇者勢力壊滅してそうっスからね」

「確かに、勢力ではなくなるかもしれないわねぇ」

「勇者以外誰も立ってなさそうだ」


ワヲさんもコテツさんも容易に想像できるのか、カナきちの言に同意してる。

同時にあの勇者さんが負ける所も想像できないって事、それにはオハナも同意だわ。

それでも聖域からオハナが退去した影響で、そろそろ戦力的に充実してきたプレイヤーさんが出てきてもおかしくないと思うんだけど………?


「アウグスタくらいなら一対一で勝負できるプレイヤーさん結構居ると思うんだけど?」

「アウグスタくらいって………オハナさん解ってるっスか?アウグスタさんだって魔物プレイヤーの中では上から数えた方が断然早い実力者なんスよ?」


知ってるよ。

最近は〖虎狼ころう〗なんてトラなんだかオオカミなんだかよく分からない二つ名を付けられてるプレイヤーだってね。

でもアウグスタって基本一対一が好きみたいだから、挑むプレイヤーさんの装備やスキル次第で普通に戦えると思うんだよね。


オハナみたいに眷属がうじゃうじゃ居る訳じゃないんだもの、周囲を警戒しておく必要もあまりないし、基本は接近戦を主体に考えておけば良いんだからね。


それにオハナダンジョンで時々ステータスがかなり高くないと装備出来ない良い装備使ってたり、オハナ対策なのか〖即死耐性〗や〖即死無効〗の装備品もちらほら出回る様になったって話だし、そのおかげでソロなのに結構な階層まで登って来てたりするプレイヤーさんも増えてきてるんだもの。そういう人たちが〖世界大戦〗に今後出て来たら今の優位なんて簡単にひっくり返りそうなものだけど。

今〖世界大戦〗で負けて不利だからって勇者勢力を見限るにはまだ早い気がする。


「そう思う人たちが、今勇者勢力に残って踏ん張ってる人たちなんだろうなぁ」

「此処から逆転とか、出来たらホントに熱いっスね」


コテツさんとカナきちが目を輝かせている。

不利な状況をひっくり返す――――――言うのは簡単だけどね?


「うふふ。そう簡単に逆転なんてさせないわ」


そうでしょう?ってワヲさんが視線で問いかけてくる。


まぁ………そうなんですけど、だってオハナは魔物だもの。

大人しく逆転されてあげるつもりはないよ?







「………オハナちゃんの攻略が〖世界大戦〗で勝つカギかもしれねぇなぁ」


コテツさんの一言で、話はいつの間にかオハナにどうすれば勝てるのかという話になっていた。


「オハナさんを倒すには………まずは眷属をどうにかしないといけないっスね」

「………最初から難題ねぇ」

「ワシと婆さまとで抑えられそうなのは2号と………4号くらいか」

「その間にホタルちゃんのビームと自分の魔法でその二人とその他の眷属たちを倒せたら良いっスけど、1号と3号ちゃんの妨害が厄介っス」


あーだこーだ言いながら馬車に揺られてるのは良いんだけどさ。

オハナの倒し方で一番盛り上がるのやめない?


「これで倒せるっスかね?」って笑顔で訊いてきたカナきちのおでこにデコピン食らわせて、ちょっとだけイライラを解消したオハナは悪くないよね?

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