第132話 3号キャラメイクをみんなで

♂か♀かそれが問題だ。

そもそも眷属たちって人型になるまで性別は確定してないって事?

今後他の子たちも人型になる度に性別を決めてあげないといけないんだね。


………此処は一つ冷静に違う視点で考えてみよう。

いつもの3号の行動を今デフォルトになっている男の子、女の子に置き換えてみる。

まぁどちらにしろ可愛いものよね?

慕ってくれるというのは悪い気はしないもの。


では更に進化を重ねたとして、大きくなったら?


オハナに全力な男の子か。

それともオハナに全力な女の子か。


………一瞬クロードかプリムさんかみたいな選択肢になったけど気のせいって事にして、自ずと答えは出た。


女の子一択でしょ。


男の娘ってのも考えなかったわけじゃない。

ゲームなんだしそういうネタ的要素も在って全然良いと思う、でもオハナはネカマプレイしてる分際だけど中身はノーマル(自称)だもの。


男にチヤホヤされたいかって言われると正直………ねぇ?


というわけで、3号。

今日から貴女は女の子として生きなさい。



目下最重要課題とも言えた性別は決まった。

あとは見た目をどうしようか?

デフォルトそのままでも全然可愛いんだけど、そのままっていうのも何か折角の進化なのに味気ない気もする。

うーん………どうしてもトレードマークの舞茸っぽい扇子に目が行くなぁ。

色味もホント舞茸そっくりで持ち手が白くて、羽の部分って言うのかな?外側が少しモコモコしていてそこが茶色くなっていてとっても地味だ。

そこで思い出したのが、鮮やかな色味をしたキノコだった。


………3号も毒は消えないし、有毒のキノコっぽい色味にしちゃう?


緑、青、水色――――――と蛍光色に近いものを選んでいく、ただどうやら髪色と連動してるみたいで髪色も自動で同じ色になるみたいだった。

水色も捨てがたかったけど、目が痛いくらいの鮮やかなピンクの『有毒』って感じが強すぎたのでそっちを採用。

それだと今度は肌の色が気になったので肌色を白く変更してみたら、よりピンクが映えたのでそっちにする事にした。


「ふぅ………」


ヤバいわコレ、部屋の掃除と一緒で気になる処だけ手を加えると、今度は別の個所が気になってきて結局全部やる事になるヤツだ。

そう思って一息吐くと、


「3号ちゃんは女の子に決めたんですね」


横合いからひょいっとプリムさんがキャラメイク画面を覗き込んできた。


「どれどれ」

「き、気になります」

「あらあら、それじゃあ私も」

「自分にも、自分にも見せてほしいっス」


それを皮切りにダンジョンメンバー皆がキャラメイク画面に集まってくる。


「可愛らしいお嬢ちゃんね」

「これが3号ちゃん………」

「3号ちゃんにしては何か落ち着いた感じに見えるっス」

「実際に動いてるところを見ねぇと、よぅわからんな」


皆が感想を言う中、何かプリムさんがプルプルしてる………?


「オハナさん!!今でも充分に可愛いですけど私にもっと可愛くさせて下さい!!」


プリムさんの背後に修羅が見える――――――!!

『可愛い』を求めて顕現する修羅って何なの!?

まずその『厳つさ』を消してから求めよう!?



「此処はお任せした方が良いかもしれません」

「サンガ?」

「これはあくまでも罰です。最初から最後までオハナ様がキャラメイクしてしまえばそれはもう3号様にとってご褒美と同じでしょう」


3号の様子は虹色の光に包まれていてわからない。

だから、


「ねえ?あなたたち、オハナが決めるとご褒美になっちゃう?」


残りの眷属たちに訊いてみたら………全員揃って頷いたよ。

そっか、オハナが決めるとオハナがその姿を『与えた』事になるから眷属たちにとっては嬉しい事になるんだ………この子たちの忠誠心舐めてたわ。


「そういう事らしいので、あとお願いしても良いですか?」


「はい!任せて下さい!!」


俄然やる気になったプリムさん。


「自分も!自分も参加したいっス!」

「わ、私も良いですか………?」

「爺さまも参加しましょう?」

「ワシはそういうのはよぅわからんが良いのか?」


「3号への罰ですので、寧ろ良いんじゃないかと思います」


コテツさんが確認してきたけど、オハナとしてはどうぞどうぞって感じ。

キャラメイク画面をそのままプリムさんに譲って、関わらないためにオハナはその輪から離れる。

それからダンジョンメンバーの皆でやいのやいの言いながら、和気藹々とした雰囲気で3号のキャラメイクを進めていく。


「扇子を持ってるなら――――――」

「ゴリっゴリに可愛く――――――」

「此処はもうちょっと――――――」

「3号ちゃんにしちゃ、ちょいと可愛らし過ぎんか………?」


ちょくちょく不穏な言葉も聞こえてくるけど無視。

時間つぶしに眷属たちと久しぶりに遊ぶことにした。


たっぷり一時間くらいかかったかな?


「出来ました!!」


そう言ってプリムさんに提示された画面には………。

くりくりとした大きめの瞳は水色に変更され、髪色と肌色はオハナが決めたまま。

あざとささえ感じてしまうくらいに可愛らしいを盛り込んだ容姿、そして天を突くようにそびえ立つ髪………――――――って。


「何か3号の髪が一角獣みたいになってるぅ!!?」


色んな部分の髪の毛を集めて、それを逆立てて山みたいになってる3号(仮)が居た。


「昇天ペガサスMix盛りよ、若い頃に流行ったものだわぁ」


「昇天ペガサスMix盛り!!!?」


ワヲさんがうっとりと当時を懐かしむ様に言うけど言葉のインパクトが強すぎて入ってこない。

何そのペガサス〇星拳の親戚みたいなの。

ちょっと必殺技みたいでカッコイイとか疼いちゃうじゃない。

よくこれを自信満々に「出来ました!!」って出してきたね?

オハナからすればまだ道半ばっていうか、終着点を見失って突き抜けて行っちゃってるよ。

ていうか、よくこの髪型キャラメイク画面に有ったね!?


「その髪型で3号ちゃんのピーキーさを表現してみたっス!」

「可愛いを盛ってみました!」

「可愛いが渋滞してますよね!」


まずカナきち?止めようと努力して?何故にOK出したのよ。

次にホタルちゃん、珍しく自信満々に言ってるとこ悪いけど、盛るとこ絶対間違えてると思うの。

最後にプリムさん。他は間違いなく可愛いのに、その可愛いを素直に言わせることなく渋滞させてる原因が『昇天ペガサスMix盛り』だから!!

こんなにツッコミに忙しいの久しぶりだよ!?懐かしいね!!ただいま!!


幾ら罰とはいえ、これは可哀そう過ぎる。

だって常にこの髪型でダンジョンを徘徊するんだよ?

追われる方の身にもなってあげて?


「この髪型は変えましょう」


その後ワヲさん推薦のものを無慈悲に却下して、再協議した結果。

髪型はショートヘアの姫カット?というもので妥協、決定した。

(オハナとコテツさんが頑張りました)

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