第131話 茸系魔物生活始めさせるにあたり・・・

オハナダンジョンの皆が全員集合したその日、一時的にダンジョンを閉鎖してオハナの居る部屋に集まってもらった。

サーチェとカーマインの二人もダンジョンメンバーたちの輪から少し離れた場所で見学している。

眷属たちは全員集めると部屋が手狭になるから1~7号(オハナ直属の眷属)たちだけに集まってもらった。


「さて、今日は皆集まってくれてありがとね?実はこの間やらかした3号への処罰が決まったから、それを皆の前で発表しようと思って――――――」


そう言って3号に視線をやると、「えぇっ!?」みたいな驚いたような反応をしていた。

この部屋に来た時点で3号のテレポートはダンジョンマスター権限で禁止しているから逃げ出すこともない、そもそも逃がさないけどね?


はい、どうも~。

ちょっと重苦しい雰囲気を醸し出して強者感を出してみたオハナです。

ドヤドヤァ。


なんて――――――似合う、似合わんは別として、いつもと違うオハナの様子に眷属たちには効果抜群だったみたい。

なんたってあの7号でさえもその場に大人しく正座してるからね。

付き合いの長い1号と2号は既に土下座して震えてたりするんだけど、オハナ二人に何かしたことあったっけ?


「…………意外です。オハナ様がこんなにも早く処罰を決定するとは思いませんでした。結局いつも通り有耶無耶になってしまうものだとばかり………」


サンガがちょっと失礼な事を言ってくるけど、強者感を醸し出すことに注力してるオハナはそれを笑って許してあげるよ。(※それどころじゃない)


「それで罰って一体何をするんですか?」


ホタルちゃんが問いかけてきた声には固さがあった。

『処罰』なんて仰々しい言葉をオハナが使っちゃったから怖がらせちゃったかな?

此処でうだうだしても仕方ないし、ちゃっちゃと済ませちゃおう。


「うん。3号には今までオハナと同じ進化の道を歩ませてきたのは知ってるよね?何より3号がそう望んだから、その希望に沿う形で進化させてきた」


ここまで言えばオハナがこれから何をしようとしているのか、ダンジョンメンバーの皆は察してくれたっぽい。

固い雰囲気が僅かに弛緩したのがわかる。

3号も理解したらしく、蔓を組み合わせてまるでオハナに懇願するように、嫌だと首を振る様に花の部分が横に振られる。


「3号、茸系魔物生活を楽しんでね♪」


久しぶりのオハナスマイル全開、3号はその場にしおしおと崩れ落ちた。

経験値の都合で他の眷属たちよりもまだ進化が出来ていなかった3号。

〖メーベルコルテ〗から次は順当にいけば〖ファル・ファル〗だったはずだけど、〖アルテビータ〗への異端進化が決定。

他の人から見れば大したことない罰とも言えないようなものだけど、オハナと同じ進化に拘って来た3号に関してはこれが一番の罰になると思う。


さてと、それじゃあすっかり意気消沈して大人しいうちに進化させちゃいますか。


3号の進化先を〖アルテビータ〗に決定っと――――――。

いつもの進化の光に包まれていく3号を見送ると、オハナの前に一つのウインドウが表示される。




キャラメイキングを開始します。



そういえばオハナもこの段階で半分人型になったんだっけ。

ひとつ前の進化なのに大分懐かしい気がする。

〖アルテビータ〗はどんな感じの魔物なんだろう………植物系魔物でプレイしてる人が少なすぎてどんな進化先か進化してみないとわからないのが辛い所だよね。


表示されているのはどんな感じ――――――……待って?〖アルテビータ〗っていきなり完全な人型なの?


そこに表示されていたのは完全な人型のキャラメイク画面。

ただ今のオハナよりも幼い容姿の子どもだった。

オハナが今小学校高学年くらいだとすると、幼稚園生くらいの容姿?に見える。

たぶんデフォルトの姿なんだろうけど、真っ白な髪、褐色の肌、顔も可愛らしい感じで♂か♀かを選ぶことで若干の違いが生まれている。

茸要素は何処にあるのかと言うと、〖アルテビータ♂〗だと茸の傘の部分をイメージしたらしき大きな帽子を被り、半袖シャツにサスペンダーの付いたハーフパンツ。〖アルテビータ♀〗だと舞茸みたいなフリフリのついた扇子を持っていて、服装はワンピース姿になっている。


容姿を変更できるのは勿論、服の色、茸を模した帽子か扇子の配色まで変更できるみたい。

職人みたいに拘れば相当時間がかかるに違いないだろうけど、オハナはそこまで拘りはありませんもの。

デフォルトを多少変更するくらいで良いや。


でもさ――――――。


♂にしようか?

♀にしようか?


そこがこの進化で一番の問題じゃない?

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