第125話  オハナダンジョンBルート開設!?

はい、どうも~♪

捕虜交換というイベントが終了してから数日、いつも通りダンジョンでまったりしてるオハナです。


「オハナ様?今日が何の日か覚えてらっしゃいますよね?」


サンガがふよふよと飛んでくるなりそんな事を言い出した。


何の日?何かの記念日だっけ?

ダンジョン運営始めて一周年………とか?

ホントはかなり過ぎてそうだけど、それってそもそも祝う必要ある?

オハナが聖域から追い出さ転勤させられてから一年って事だもんね?

まぁ外に出られたのは良かったことなのかな?

邪悪な者全て通さないとかいう触れ込みが本当だったなら、最初からそこに居たとはいえ聖域を護る結界的なものに阻まれたりしてあのままだとオハナは聖域から出る事は出来なさそうだったし………。


「………思考が横道に逸れて居そうなので告げますと、サーチェとカーマインでしたか?あの二人がこのダンジョンに訪れる事になっている日なのですが?」


さすがはもう長い付き合いになりつつあるサンガ、オハナが余計なこと考えてるってお見通しだったか。

そういえばそうだったね、完全に忘れてたわ。

捕虜交換の後、二人が魔王さんに直訴してオハナダンジョンに来ることになったらしい。

正直、二人にはもう戦闘に関わらない様に魔王城にでも居ればいいじゃないとは思うのよ、無理やり戦わされていたわけだしね?

魔物たちの本拠地、その最奥である魔王城であればちょっとやそっとじゃ戦渦に巻き込まれることは無いはずだから。

余生と言うには若すぎるけれど、誰も責めたりなんてしないんだからのんびりと過ごすのも良いと思うの。

魔王さんを通してそう伝えてもらったんだけどね?

「それでも!!」って言って聞かないらしい。

だから二人を受け入れはするけれど『非戦闘員』の扱いにして、ダンジョン内に二人が住む場所を用意しないといけない。

本当はダンジョン外に用意してあげたいけれど、二人の――――――と言うかそのお仲間たちを含めた『ハーフ』の存在は一応秘匿事項らしいからダンジョン内で用意することになったわけなんだけど…………。


「現在オハナ様はその二人用の部屋さえ用意してない訳なんですが………」


………なるほど、ダンジョン改築に関することだから覚えてたってわけね。


二人がこちらに来るにあたり、『世界大戦』の報酬を含めてダンジョンの階層が一気に五階層増やせるように魔王さんに許可を貰った。

これで益々オハナの処に辿り着くことが出来るプレイヤーさんが居なくなる副次効果付き、オハナとしてはプレイヤーさんたちが最上階に来るのはもう諦めかけている。


「私としましてはオハナ様の居る最上階、その一つ下の階層に外部と接触できない独立した部屋を用意してそこに住んでもらう――――――」

「サンガ!?幾ら二人の安全のためとはいえ、誰が好き好んで檻の中に入りたいと願うのよ!?却下よ却下!!」


己が運営を補佐するダンジョン至上主義のサンガ、ダンジョンにとって何ら利益にならない『非戦闘員』だからって二人への対応が冷ややか過ぎるでしょう!?

いや、安全ではあるんだよ?安全ではあるんだけどもさ。


「ではどうするおつもりで?」


「うーん………ダンジョンの中層くらいからかな?枝分かれしたBルート的なものを作ってその最上層に二人の居場所を創ろうかなって考えてるんだけど………サンガ、ダンジョン内で戦闘禁止区域って作ることが出来る?」

「一応作った階層及び小部屋など指定は可能ですが、敵側にとっての安全地帯にもなってしまいますから設定する方はあまり居られません。しかし――――――」


途中で言葉を区切ってサンガは何やら考え込んでる様子。

何?何か気になる事でもあった?


「――――――中層から枝分かれさせることにより、オハナ様の下へ辿り着こうと考えるならばもう一度ダンジョンを下りなければ正規のルートへ行くことが出来ない。敵に完全な無駄足を踏ませようとは………流石はオハナ様です、やり口がエグい」

「違うから!!そこまでオハナも鬼畜じゃないよ!?」


………なんて嘘、本当はそんなの考えてもいなかった。

サンガに指摘されて気付いたくらいだもの。

ただでさえこの間の捕虜交換での『もったいぶって結局何も伝えなかった』事が尾を引いて、勇者さんたちの近くではオハナが『狡猾な悪魔』とか言われてるらしい(魔王さん情報)のに、これ以上変な悪名は轟かせられない。

オハナは清楚で可憐を目指してたはずなのにどうしてこうなったのかな?

いいやまだだ!まだ終わらんよ!だって目指すのはタダだもの。


「えーっと、二人の為に用意する階層から一つ下の階層で良いかな?オハナの処までちゃんと行けるように正規ルートと繋げるつもりだよ?」

「………それが良いでしょうね。一つ下の階層にしておけばオハナ様の『羽虫殺し』の毒気が上がっていく事もありませんから」


空気よりも重いらしい(設定)のオハナの毒を、戦闘禁止区域で当然武装解除もしてるであろう場所に垂れ流すわけにはいかないものね。


「では構造はいつものようにランダムで作成して、最上層のみを戦闘禁止区域に指定、最後にダンジョンが拡張されたことによる人員の配置なのですが――――――」

「要る?」


サンガの言葉を遮ってそれだけを告げた。

何が言いたいかなんて解るよね?

だってオハナダンジョンは常に眷属たちで溢れかえってる過剰戦力気味なんだもの。

追加の戦力なんて今のところ必要ない、寧ろ暴れられる場所が増えてあの子たちの喜ぶ姿が目に浮かぶわ。

オハナ直属の眷属はまだ7号までだけどその下………眷属の眷属、早い子はその更に下にもう既に眷属が居て、オハナも把握するのが面倒になって来たので最近は放置しているくらいなんだもの。

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