第122話 他所は他所、ウチはウチ

「詭弁だ!!」


はいどうも~。

3号の行為を未だ糾弾されてる最中のオハナです。

騎士っぽい人が青筋立てながらオハナに詰め寄って来てる最中でもあったりします。

ガチ戦闘までは出来ないのを解ってるから強気に出てきてるのかな?

オハナとしては別に良いんだけどね?


オハナに敵意を向けるのは自由だしその人の勝手だけど、同時に眷属たちから殺意を向けられるブラックリストに記載される覚悟だけはしといてね?


え?オハナは始末つけないのって?

うーんと、ね?ちょっと想像してみてくれる?


オハナが仮にこの騎士っぽい人と戦場で出遭って自分で決着つけたとするでしょ?

それで多分だけどこの騎士っぽい人は勇者さんの近くに居ることからもわかるように、この人も物語関連の主要な人物の一人って事で自動復活するじゃない?

じゃあその後、もしこの人とオハナ眷属たちが戦場で出遭っちゃったとして、この人が無事で済むと思う?思わないよね?


因みにオハナも思わない!!

寧ろ積極的に最短で、真っ直ぐに、一直線に命狙われると思う。

何なら死体の上でポーズをキメる7号まで想像できるわ。


「オハナが決着つけたから恨みっこなーし!」とか何とか言ったところで素直に聞く子たちじゃないのが、「ホントにオハナの眷属なの?」って思えて泣けてくるんだけどさ。


――――――さておき、ゲームだとはいえ少なくとも7回(眷属一人につき一回とは限らないので)命の危機が確実に控えてる人が目の前に居るとね?オハナ自身が手を下そうって気には全然ならなくて、寧ろ「かわいそうに」って気持ちの方が強いのよ。

それに眷属あの子たちは自分たちで直接手を下した方がスッキリするんだろうし。

この人には是非とも過酷な運命(主にオハナ眷属たちによる)を乗り越えてもらいたいものだね。


「――――――聞いてるのかっ!?あとその生温かい視線と顔ヤメロ!」


不思議だよねぇ。

こんな失礼なこと言われても気にもならないんだもの。

これが悟りの境地かしら?今のオハナは慈愛に満ち満ちているのかもしれない。

今のオハナならばあのカエルとさえも和解できそうな気がするわ。


…………ごめん嘘、やっぱ無理だわ。


「眷属の不始末は主人である貴女の責任です、何らかの罰は受けてもらわないと」


眠そうな目の少年も一緒になって責め立ててくるんだけど、でも「これだけは言わせてほしい!」って事があったので声を大にして言わせてもらう。


「オハナの眷属がする行動を、オハナが全てどうにか出来るとか思わないでください!!」


「何言ってんだ!?意味が解らねぇ!!主人であるお前がどうにか出来ないとか、じゃあコイツらは誰の眷属だ!?」


騒ぎを聞きつけたオハナダンジョンメンバーがオハナの傍に来てくれる。

状況はさっきまでの話の内容から大体を理解してくれて、


「考えるだけ無駄っスよ?オハナさんの眷属たちは最初からだって思った方が楽になれるっス」

「そうです考えちゃダメです、オハナさんの眷属ちゃんたちは感じるものなんです」

「わ、わかりました!頑張ります!」


遠い目をするカナきち、オハナでもちょっとよくわからない事を言っているプリムさんと、それに洗脳されそうになっているホタルちゃん。

………後でホタルちゃんとはきちんとお話しておこう。

それ絶対にわかっちゃダメなヤツだからって、そうしないといつの間にかホタルちゃんがプリムさんに汚染されそうだもの。


「眷属の事はなぁ。オハナちゃんと出会って誰しもが最初にブチ当たる壁みたいなもんだろう」


腕を組んでうんうんと理解を示すコテツさん。


「私も最初はオハナちゃんが全部の眷属ちゃんたちの行動パターンを決めて、大変そうねぇと思ってたものだわぁ」


え?今まで自作自演でオハナがあんなにもワチャワチャしてたと?………ワヲさん、そんな風に思ってたの?

それが本当ならオハナはかなりイタい奴じゃない!?


「暫くしてだんだん解ってくるんスよね。あぁこれは眷属たちが本当に好き放題に動いてるんだなぁって、その瞬間何かこう………フワッと楽になるんスよ」


………カナきちはもうダメかもしれない。

プリムさんの領域に片足突っ込んだ発言をし始めてるわ。

無茶しやがって。(敬礼)


「話を逸らそうとしないでください!!」

「眷属が勝手に動くなんて話、信じられるわけが――――――」


二人がまだ何か言いたそうなのを遮り、無言で指をさす。

それを追った二人の視線の先にはいつの間にかシルクハットを被り軽快に踊る7号、それから1号、2号、5号がこっちの話には完全に飽きちゃったみたいで、一緒になって踊っていた。

列席した勇者側の人たちに遠巻きに見られながらも中々好評のようだった。

魔王側の人たちは完全にギャラリーになっていて歓声を上げている。

…………7号のシルクハットは後で回収しとこう。


「アレを見てもまだオハナが命令して眷属たちを動かしていると思います?」


二人はまだ何か言いたそうだったけど何も言葉に出来ないみたい。

オハナが何もあの子たちに命令してないのは見てましたものねぇ?


他所は他所、ウチはウチ、世間一般の他所様の主人と眷属との関係性なんてオハナは知りませんもの。

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