第115話 確認すると進化したくなっちゃうよね?
時間は遡り―――――………。
はいどうも~。
進化しないだけで舐めプとか言われて凹み気味のオハナです。
気持ち頭の花もしおしおとしている気がします。
そんなオハナの気持ちを察してか、眷属たちに順番に背中をポンポンされたのがちょっと情けなくて無理矢理立ち直ってやりましたよ。
「オハナ様、状況が切羽詰まってないのでしたら今のうちに進化先を確認しておいても良いのではないでしょうか?」
サンガにそう諭されて、オハナは進化先の画面を開く。
別に興味がなかったわけじゃないし、寧ろこれからオハナがどんな風になるのか期待しかないって訳で、オハナの進化先として表示されたのが……………。
〖フロワ・パサン〗
敵を捕食することに特化した妖花の魔精の正統進化個体。
〖攻撃力〗、〖敏捷性〗、〖HP〗を強化。
火炎属性に耐性が付く代わりに、氷結魔法にとても弱くなる。
『昼間』の時間帯にて光合成の効果が二倍。
〖フロワ・ユエ〗
陣地構築に特化した妖花の魔精の異端進化個体。
〖防御力〗、〖魔力〗、〖知力〗、〖MP〗を強化。
氷結属性に耐性が付く代わりに、火炎属性にとても弱くなる。
『夜間』の時間帯にて月明りでも光合成が可能になる。
…………熱帯地仕様と寒冷地仕様?
どっちにしても属性耐性が付くのはありがたいんだけど、その前にオハナというか植物型魔物って氷結――――つまり氷も弱点だったって事?初耳なんだけど?
今まで戦ってきたプレイヤーさんたちを思い返してみてもオハナを見れば即燃やそうとしてきた人たちばかりだったから、てっきり火にだけ気を付けてれば良いと思ってたよ。
それを考えると……………進化先としては〖フロワ・ユエ〗の方かなぁ。
光合成の効果についても、月明りでも光合成が可能になるのは『昼間』の時間帯になかなかログインできないオハナにとっては地味に大きい。
それに何よりついさっき知らされたばかりの弱点と、前々から知っていた弱点とでは警戒レベルが違うもの。
ただ属性が違うだけだけれど、今までと戦闘で気をつけなきゃいけない事が変化するわけだからね。
それなら今まで通りに警戒してる属性が同じままの方が面倒が無くて良いもんね。
どちらに進化しても眷属は増えないみたいだし?
そういう理由でオハナは〖フロワ・ユエ〗に進化します!
確認するだけのつもりだったけど、進化先を見ちゃうと我慢なんて出来ないよね?
オハナライフで辛抱を学んだつもりだったけれど、まだまだ精進が足りてないって事なのかなぁ……………。
〖フロワ・ユエ〗への進化を開始します。
進化することによって見た目が変化します、キャラメイクを行いますか?
え?見た目が変わるの?
それならキャラメイクもしなくちゃだね!
さてと……………キャラメイク職人には遠く及ばなくても、オハナが可愛くなるためならば頑張っちゃうよ!!(※謎の使命感)
いつもの進化の様に虹色の光に包まれて、久しぶりのキャラメイク画面に移行すると今度進化するオハナの素体が表示されていた。
そこには大きな花のみたいな下半身など無い、本当に人間の女の子といった感じだった。
頭に咲いていた花は一輪だけだったのが花冠みたいになっていた。
緑色のフード付きのローブのような服には水色のリボンとフリルとレースが付いていて袖が異様に長い、腕を下ろせば地面に擦れてしまうような長さだった。
今まで必要無かった靴もショートブーツで同じような装飾と色味だった。
それと同じような装飾が施された日傘まであって………………うわぁ…………今まで以上にめっちゃ『女の子』してるなぁ。
オハナはキャラとしては女の子なんだから当たり前なんだけど……………なりきリプレイを楽しむにしても、ここまで女の子女の子してて可愛らし過ぎると躊躇いが生まれてしまう。
今更?って思うかもしれないけど、今まではあの下半身のグロテスクさが可愛らしさを中和?或いは打ち消してくれてたんだと思う。
オハナを可愛くするために頑張るとは言ったものの、プレイするのは自分なわけで……………
せめて見た目の年齢層ぐらいは上げたいところだけど、服装は勿論、何故か身長や体型に関する項目は変化させることが出来なくなっていた。
これは果たしてキャラメイクと言えるのかな?(ゆっ〇り風に)
システム的に無理ならば仕方がないので他に触れる部分を確認していく、髪型と髪色、瞳の色と肌の色、服と日傘のカラーリング………………。
髪型も髪色も瞳の色も今のままで良い、だけど肌の色はもう緑だと違和感有るから変えといた方が良いかな。
折角人型になったんだから、ありがちな気持ち悪いくらいの美白(色白)にしても良いんだけど、服の緑と水色の相乗効果かもしれないけどすっごい顔色が悪く見えるのよ。
常に「おなか痛いの?」って心配されそうだったので、もういっその事褐色肌にしてみた処、全体的に可愛らし過ぎる点も少しだけ緩和された気がしたのでそれに落ち着いた。
――――キャラメイクを終了します。
虹色の光が消えて行き、オハナはダンジョンに降り立つ。
そして自分の身体を確認できる範囲で色々と見てみることにした。
ただ今までとちょっと違うのは、『葉っぱ』は日傘から、『蔓』は服から、『根っこ』は靴から出てくるという事だった。
そして他に気になったのは何と言ってもこの長い袖だよね?
何故この長さが必要だったの?この長さじゃなきゃダメだったの?
萌え袖にしても度が過ぎてると思うの。
手が完全に隠れちゃってるのに、日傘を掴むのに全然が支障ないのは良いんだけどね。
ドラ〇もんの手と同じようなメカニズムの何かかな?って思っちゃう。
袖を捲って確認したけれど、そこには体型相応の細い腕と小さな手があるだけだった。
そんな事をしていると、オハナの周囲に続々と眷属たちが集まって来ていた。
1号~7号、そしてその眷属の子たちまでもが一様にオハナの傍へ来ると跪き、それが出来ない子たちは頭(花)を下げている。
何!?何を期待されてるの!?
「何でも良いのでとりあえず言っておけば宜しいのでは?」
今まで何処かへ行っていたサンガがふよふよと戻ってくるなりそんな事を言う。
「えぇ?急に言われても……………が、頑張って行こー!」
オハナのそんな適当な号令に、眷属の子たちはダンジョンを震わせる勢いで地面を叩き応じてくれた。
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