第89話 気にしない方向で
もっちゃ(バリィィン!!)…………もっちゃ(パリィィィン!!)………。(※黒髪眼鏡クンを捕食中………)
――――――ごっくん!とかしなくても口の中で自然消滅しちゃうんだけどね?
はいどうも~♪これ言うのも久々な感じ、オハナです。
咀嚼音から始めちゃってごめんなさいね~?
今回はいつもより多めに噛んでたからね、時間がかかっちゃった。
え?「悪逆非道」なんて言われたからだろって?
まぁ勿論それもあるよ!?
だけど今のオハナはそれだけじゃないんだよねぇ。
だってさ、さっき捕食した黒髪眼鏡クン――――――クロードったら、オハナに齧られる最期の瞬間なんかうっとりしてるように見えたんだよね……………。
そうあれはまるで…………………オハナにちょくちょく生える新スキルを我先にと喜んで受けたがる眷属たちのような……………?
危うい熱の篭った視線って言うのかな?
それがちょっと眷属以外からだと思いのほか気持ち悪くて、いつもより念入りに嚙んじゃったのよね。
オハナって虫とか変態に好かれる特性とかあるのかしら?
それともオハナと関わったから皆変態に目覚めたのかしら…………?
…………これ以上深く考えちゃいけない気がする。
ほ、ほら!おなか壊すといけないじゃない?(※ゲーム世界なのでその心配はありません)だからいつもより念入りに噛んでただけだったりするの。
咀嚼しながらだったからちょっとペースは落ちちゃったけど、1号がまだオハナの言いつけ通り踊り続けていて、狂気っ娘と3号眷属ズたちが居る場所まで戻ってきた。
……………戻ってくるなり3号の「褒めて!!」攻撃が始まるけど、今回は本当に頑張ってくれたからね。
久しぶりにつかっちゃおっかな?
対眷属究極奥義――――――『ナデナデフルコース!!ver2.0.21』!!!
オハナの蔓を総動員して3号と3号眷属ズを撫でまわした。
トロットロになって悶える3号たちを尻目に狂気っ娘の様子を確認すると、まだ気を失っているみたい。
うーん、どうしよっかな?
健やかに眠っているこの狂気っ娘を、起こす事無くこのまま安らかに――――――しちゃうのはさすがに清純派を目指す者としてやっちゃいけない気がするのよね。
だからってまた暴れださないって保証もないし………………。
仕方がない、ちょっと可哀そうだけど我慢してもらおう――――――。
〖オハナ〗さんが、〖勇往騎士団〗サーチェを捕縛しました。
「オハナ、これは――――――…………?」
狂気っ娘――――――
まぁ、うん。
言いたいことは何となくわかるんだけどね?
だってサーチェは全身ぐるぐる巻きの状態で1号の肩に担がれてるんだから。
え?何で縛ってるの?って?
あのカエルの舌ですが何か?
いや~伸縮性があって容易には切れないから名案だなってその時は思ったんだけど、改めて客観的に観てみるとかなり絵面が良くないわ、うん。
どうしてあの時は名案なんて思っちゃったんだろう?テーリカからの視線がとにかく痛い。
「何を固まっているんだ?敵を拘束してきたのだから何の問題もないだろう?俺もまさか奴らの中でコイツを生け捕ってくるとは思わなかったがな!」
ファガンがポージングしながら豪快に笑う。
また情熱が迸ってるけど、その魂も筋肉も絶対に情熱を抑える気無いでしょ?
テーリカもオハナももうスルーすることにした。
狂気っ娘――――――サーチェちゃんだっけ?
彼女は魔王側でも結構有名らしい、まぁキャラ濃いもんね?
「そうだった、これを渡すのを忘れていた」
ファガンが持っていた〖呪樹の苗〗を返してもらった。
これで残る七牙はあと三人かぁ……………なんだか御朱印巡りしてるみたいな気分だわ、御利益なんて何も無さそうだけど貴重なアイテムが手に入るからどっちかって言うと夏休み中の朝のラヂオ体操の方が近いのかも?あれも確か皆勤賞だとお菓子が貰えたりしたっけ。
オハナが懐かしさに浸っていると、今日のイベント戦のタイムリミットが来て強制的にオハナダンジョンへと転送するための魔法陣が足元に展開される。
「そうだ。オハナ、私の方からバルシュッツのクソジジイに連絡しておいてやろう。『オハナが貴様を血眼になって探している』とな?」
テーリカが今日一番の嗜虐心溢れる良い笑顔をして告げてきた。
テーリカもバルシュッツの事は嫌ってるみたいだから、反応が楽しみで仕方がないんだろうなぁ。
「うむ!面白そうだな!!俺も、オハナは強かったとだけ言っておこう!あの〖勇往騎士団〗の五人を捕縛したのだから、今やその実力は誰も疑いようもないだろうがな!!」
ホント嫌われてるなぁ………無理もないけど。
「それならラグゥとリグゥも参加させては如何です?あの二人はオハナが戦ってるところを間近で見てましたから、きっと雄弁に語ってくれるはずですよ?」
「なるほど、貴様……………綺麗な顔してなかなかわかってるじゃないか」
「いえいえ、オハナはいつだって純真無垢ですもの」
「ククク……………よく言う」
「何のことかさっぱりだが、二人とも楽しそうでワクワクが止まらんな!!」
テーリカがあくどく笑い、ファガンも「ガハハ」と大笑い、それにオハナも渾身のオハナスマイルで応えたところでオハナはダンジョンに転送されたのだった。
「オハナさん!!」
ダンジョンに帰ってくるなりプリムさんに詰め寄られる。
「怒ってるんですよ?」って感じに眉を怒らせてほんの少し頬が膨らんでいる。
何それ?可愛いだけなんですけど?とも言えない雰囲気。
観ればプリムさんをセンターに、サンガ、ホタルちゃん、2号、4号、5号、6号、7号が同じように仁王立ちしていた。
「いっぱい、いーーーーーーーーっぱい言いたいことがありますけど、まずは――――――……………おつかれさまでした、回復は要りますか?」
「お、お願いします…………?」
オハナ自身でも回復できるけど、ここで断っちゃいけないような気がして素直に治癒魔法を受けた。
その間にサンガがいつものようにガミガミ言ってたけど、多分もう今日は会うことはないと思う。
だって途中で3号と3号眷属ズによって何処かへ拉致されたんだもの。
止める間もない一瞬の出来事だった、サンガを拉致った瞬間テレポートで何処かに消えてしまった。
マスター権限で呼び戻せばいいじゃないって?
そんなことオハナがするわけないじゃん。
それに誰もサンガを呼び戻そうって言わないんだもの。
………………――――――あとでちゃんと一対一で謝っておこう。
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