第84話 オハナ、再び戦場へ・・・
はいど~も~♪
〖世界大戦〗二日目、ルンルン気分でログインしたオハナ、今日はどの戦場に行こうかなぁ…………なんて考えて、ブリーフィングルームのような空間でミニマップとにらめっこ中です。
魔王さんから教えてもらった情報によれば三つの主戦場の内、今日は山岳地帯にラグゥとリグゥの兄弟が居るらしいのでそこは省くとして――――――。
やっぱメインディッシュは後にとっておこうかな♪
「誰だぁッ!!?昨日此処に来たから今日は来ねぇとか言った奴はぁ!!!!?」
「バッチリ居るじゃねぇかよぉ!!」
「くっそぉ!!だから俺は此処に来るのは反対だったんだよ!!!?」
「逃げろぉぉぉぉ!!!!!」
オハナが現れた瞬間一目散に逃げ出そうとするプレイヤーさんたち。
ちょっと失礼しちゃうなぁもう――――――なんて余裕ぶっこいてる間に、1号の鈍足デバフが発動。
プレイヤーたちは必至に逃げてるんだろうけど遅い遅い。
今日は連れて行く眷属を変えて1号と3号に来てもらっている。
1号が遅くしたプレイヤーたちが3号と3号眷属ズによって次々と撃破されて行く。
え?七牙は?って?ちゃんと居るよ?ちゃっかり1号のデバフがかかった人たちを攻撃して行ってる。
今回は膝裏まである太くて長い角、そこだけ見れば山羊の獣人かな?と思うけど、尻尾が悪魔っぽい
白い髪に赤い瞳、スタイル抜群な褐色の肌の妙齢の女性。
キリッとした目つきと無駄のない動き、パンツスタイルのレディーススーツを思わせる衣装が様になっていてとてもカッコ良く見える。
もう一人は下半身がヘビのゴリマッチョ。
ツンツンした赤い髪と太い眉、色黒の肌、見てるだけで胸やけしそうなくらいのゴテゴテとした筋肉だった。
何故か上半身裸で戦いの最中に周囲に肉体美を見せつけるという無駄な動きをしては周囲の女性プレイヤーと思しき方たちからブーイングを浴びていた。
それでもその動きを止めないのはメンタル鋼で出来てるからかな?
「オイ、その無駄なポージングを今すぐ止めろ」
「気にするな!!俺の魂と肉体が、迸る情熱を抑えられないだけなんだ!!大したことじゃない!!」
抑えられないだけって、それが一番の問題じゃない?
大したことだと思うの。
白髪の悪魔さんは舌打ちをして、赤髪のゴリヘビさん(仮)は白い歯を見せて笑っている。
今回の戦場も中々にカオスだわ。
「貴様がオハナか」
ゴリヘビさんへ苦情を言うのを諦めた悪魔さんがオハナに話しかけて来た。
それだけじゃなく、オハナに不躾な視線が向けられる。
「どちら様ですか?」
七牙だなんて事は知ってるけどね?
それ以外は名前も知らないんだから先に名乗るのが礼儀じゃない?
「そうだぞテーリカ、女性に対してその態度は失礼だ」
ゴリヘビさんが「がはは」と豪快に笑いながら指摘してるけれど、テーリカさんとやらも半裸の人に言われたくないと思うの。
今この場の失礼度合いで言えば、ゴリヘビさんが今ダントツでぶっちぎってるからね?
「私も一応女なのだがな?」
「ガハハ。言われなくてもそんな事は知っているぞ?」
「「「・・・・・・」」」(謎の沈黙)
「――――――チッ!私の名はテーリカ、この歩く公然わいせつの名はファガン」
「ファガンだ!!宜しくなッ!!」
強めの舌打ちをしてファガンを睨みつけるテーリカ、だけどファガンの方は気にも留めてない――――――というかテーリカの方を見てない。
何故かオハナに向けてポーズを色々と変えて、白い歯を見せてニッと笑うファガン。
あ、歩く公然わいせつについてはスルーなんだ…………?
会ってまだ間もないけど、ファガンさんからアウグスタ以上のアホの子臭がしてもうお腹いっぱいどころか胸やけ寸前なんだけど?
「オハナです。はじめまして」
戦場の真っ只中で普通に話し始めちゃってるけど、大丈夫なの?
オハナはいつもの様に眷属が頑張ってくれちゃうだろうからお任せするつもりだけど、七牙の二人はそういう訳にもいかないんじゃないの?
オハナが言いたい事を察したのは意外にもファガンの方だった。
「問題無い!!俺の隊は寧ろ俺が指揮した方が混乱するからな!!」
「…………………一軍を預かる者としてそれもどうなんだ――――――私の方も問題無い、貴様が来たおかげで追い払うのにさして労力も使わなかったからな」
豪快に笑うファガンに呆れて苦言を呈するテーリカ、だけどやっぱり聞いてないのは明白で、諦めてオハナに話しかけて来ていた。
「追い払う?敵は殲滅――――――とかじゃないんですか?」
「それは貴様らとの価値観の違いだな。私たちとしては殺しても次の日には復活してくる連中を相手に躍起になるのも馬鹿々々しい」
「その通りだ!!俺とテーリカはまだ良いが、部下たちの命は一つだからな!!」
……………そっか、NPCの人たちからすれば対プレイヤー戦となると、ゾンビを相手にしてるも同然なんだ。
〖世界大戦〗にその日はもう参加できないけど、次の日には普通に参加できてしまうのだから、NPCの人たちにしてみれば殺し甲斐が無いんだ。
そうした事情を垣間見ちゃうと、軽々しく「前に出て戦え」なんて言えないなぁ…………。
「あと、ラグゥとリグゥ兄妹から聞いた。バルシュッツのクソジジイに無理矢理押し付けられた物だが、私にも意味の無いモノだ。貴様に返す」
そう言って、テーリカはあっさりとオハナにアイテムを返してくれた。
やっぱりバルシュッツってヤツは意味の無いアイテムを渡してたんだ。
姑息って言うか、何と言うか――――――。
「貴女も襲撃には参加してないんですか?」
「あの襲撃は元々バルシュッツが他の七牙に対して良い所を見せたくて独断で行われた事だ、他の七牙で実行に加担した者など居ない。私はアレイスターがイライラする様を観られればそれで満足なのだからな」
クックック…………とゾクっと寒気のする悪い顔で笑うテーリカ。
性格悪ッ!?
「テーリカはアレだ!!気になってる子を虐める典型的な――――――」
「うるさいぞ!!死ね!!脳筋!!」
「何だとッ!?テーリカ!!脳まで筋肉というのは本当か!?こうしちゃいられない、帰って早速脳の筋トレを――――――しまった!!脳の筋トレ方法が分からないッ!!!」
あぁ…………テーリカってそういうタイプの…………いや、男子かッ!?
あとファガン、脳トレしたいなら勉強すれば?
結局黙って見てる訳にもいかず、二人の間に入るもオハナの言う事なんて全然聞いてくれないので、仕方なく蔓で二人を拘束しちゃいました。
うん。何か結局こうなるような気がしてた。
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