第80話 植物型魔物だって凄いんだぞ☆

そのまま七牙の二人に背を向けて、オハナは攻め込んできていた人間プレイヤーさんたちに意識を向ける。

まだまだ結構な数が残っていた。


いやさ、どんだけ居るのよ?

結構な数減らしたと思ったんだけど?

そして後続から新たなプレイヤーさんたちが参戦して来ている。

気分はもう次々と出て来るゾンビを撃ち殺すガンシューティングゲーム、RPG要素が仕事しない件。


「ひィッ!?」


まだ咀嚼中の花を見て、悲鳴を上げる勇者側のプレイヤーさんたち。

心配しなくても平気よ?

どうせ行き先は同じで遅いか早いかの違いだけなんだもの。


それにもう残念だけど貴方たちを逃がすつもりなんて無いのよね。


それはオハナがボスだから――――――じゃなくて、逃げ出そうとしてるプレイヤーさんたちの足をオハナの蔓が拘束してるから。

斬るのも焼くのもお好きにどうぞ?その程度じゃ絶対に解けないし、放さないから。

2号と6号に付与した回復フィールドで何度でも再生できちゃうし、オハナの後ろに居る二人にはしっかりと『植物型魔物だって凄いんだぞ☆』っていうのをわからせないといけない――――――………。


魔王さんから聞いた感じだと、未だに〖七牙〗の人たちは〖植物型の魔物〗っていうだけで下に見てるらしいからね。

此処はその下に見てる〖全植物型魔物代表〗(※自称)であるオハナが、七牙の人たちが苦戦を強いられた相手を目の前で圧倒してやりますよ――――――なんて、ちょっとやり方が子どもっぽいかな?


プリムさんやカナきちは「もっと過激で直接的でも良いくらいです!」なんて言ってくれたけど、七牙の人をわざと窮地に追い込んでるだけでも嫌がらせとしては充分なんじゃない?ってオハナとしては思う訳ですよ。

下手に追い込み過ぎて倒されちゃって、『魔物側全員が今後不利になる』とかなっちゃったら他の魔物プレイヤーさんたちに申し訳ないもんね?


え?この一回きりなのかって?

〖世界大戦〗開催中の全日程で、毎日ゲリラ的にやりますけど何か?


そういう訳だから、此処に来ちゃったプレイヤーさんたちには悪いけど、



ちょっとだけ、利用暴れさせてもらうね?



「2号、6号、出来るだけで良いから逃がさないで」


そう言って彼らの退路に2号と6号を撃ち込む。

オハナも新たにやって来たプレイヤーさんたち全員を拘束してるわけじゃない、2号は鈍重だし、6号はまだ移動できないから取り逃がしちゃう分が居ても仕方がない。

でも出来るだけ多くのプレイヤーさんを相手にして、オハナがそれなりに強いんだって事を七牙の二人には理解してもらいたいもんね。


そんな風に考えていると、2号がいきなり〖パージ〗を発動した。

2号のゴテゴテとした鎧のような石造りのボディ、そこからゴロゴロと石が転がり落ちて行き、最終的に1号と変わらない体形にまで細くなった。


石の鎧が削ぎ落された細身の2号はまだオハナが拘束していないプレイヤーさんたちを追い回し始める。


「何だよコイツぅ!?」

「く、来るなぁ!!」

「助け――――――!?」


…………そういえば2号、進化してそんなスキル持ってたね?すっかり忘れてたわ。

何故だろう?4号もきっと今同じようなことしてる――――――そんな姿が浮かんだ。


身軽になった2号、自慢の防御力はガクッと下がっちゃうけど敏捷性がぐーんと上がって、傍から見てるともう別の魔物みたいだわ。

普段の2号をディフェンスフォーム、今の2号をオフェンスフォームとでも呼んでおこうかしら?

6号はオハナが拘束してるプレイヤーさんたちを優先して狙い撃ってくれてるし、暴れるなら他の子たちも呼んだ方が良いかな?とか思ったけど、それで他の場所に敵が分散しちゃっても嫌だから止めておく事にしたんだけど……………。





…………………。

うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


プレイヤーさんの数が多すぎてウザい!!


自分が望んでそう仕向けた結果だっていうのは解ってるよ?

だけど、〖世界大戦〗の参加人数を甘く見てたわ。

他の戦線の事も考えて動いてる人も居るには居るんだろうけど、スコアを稼ぎたい人たちの方がオハナの予想よりも多かったみたい。


そんなに欲しい物なのかな?〖砦〗。

よーし!今回〖砦〗貰ったプレイヤーさんの所には絶対に後で襲撃かけよう!


連続戦闘でハイになって来たオハナ、聖域に居た頃みたいな思考に戻って来ていた。


『おかえりー♪』(※天使と悪魔)


ただいまー♪――――――って、違うからね!?


くぅっ!廃課金者からやっとの思いで社会復帰が出来てきてたから、出番はもう無いだろうと思ってたのにッ!!

とうとうこんな課金関係無い所にまで出てくるようになっちゃって…………。

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