第65話 制裁はいつものにプラスされて
どうも~。今日はひっそりとした声で始めましたオハナです。
突然ですがオハナたちは今、とあるマップにある崖の上からコテツさんとワヲさんの戦闘の様子を眺めております。
え?ダンジョンはどうしたのって?そんなもの臨時休業ですよ!
大丈夫!サンガの了承はちゃんと得て来たから!!
サンガも何気に二人の事気にかけてるみたいだったし、二つ返事だったよ。
発端はコテツさんが教えてくれた御二人の息子さんご夫婦とお孫さんからの手紙、そこには「オハナやダンジョンメンバーの皆を騙し打ちしたいから手伝って」なんて内容が書かれていたらしい。
それからコテツさんとワヲさんがゲームを始めた経緯、それからダンジョンで雇ってもらおうと奮起するまでの事まで話してくれた。
正直言って良い?とっても胸糞でしたわ。
ゲームはゲーム?確かにそうだけどさ。
その中で起こった事はもう”経験”なんだよ?嬉しいことも嫌な事も――――――。
コテツさんとワヲさんは家族に裏切られる、襲われる、殺されるっていう経験をしてしまった。
そんなしなくてもいい経験をしたんだもの、文句の一つ二つ出て当然じゃない?
それを真面に聴く耳も持たずに適当にあしらうとか、二人の身内の事だからあんまり悪くは言いたくないんだけどさ?
馬鹿じゃないの?って思う訳ですよ。
じゃあどうして見てるだけなのかって言うと、二人がそれを望んだから。
甘いって思う?オハナもそう思う。
本音を言うと今すぐオハナが出て行きたい、二人がどんな気持ちかはわからないけど、そんな人たちと対峙させたくない。
だけど、二人にはオハナを含め皆お世話になってるからさ。
そんな二人の身内をゲーム内とはいえ殺したくはないって思っちゃうんだよ。
さてさてコテツさんたちが戦ってるのはオハナたちが居る崖下に広がっている森林の中、ホタルちゃんに魔眼を使ってもらって見た景色とオハナが眷属を介して見ている映像をプリムさんとカナきちにも見れる様に投影してもらっている。
崖の上には3号と4号を設置済み、森林にはいざという時の為1号と5号を忍ばせている。
みすみす二人をそんな人たちの経験値になんてさせない。
もし万が一彼らが急に二人に襲い掛かった場合、オハナもいつでも彼らを撃てるように準備は整えて――――――居たんだけど、その必要も無かったみたい。
三人はのこのこ現れた。
それだけ酷い事したのに、どうして自分たちの都合の良いように物事が動くと思ってるのかしら?
そして驚くほどあっさりとワヲさんのスキル〖粘液〗に捕らえられ、完全制圧されていた……………無警戒にも程があるでしょう。
三人が弱かったっていうか、二人が強かったんだと思おう。
実際、二人の息の合ったコンビネーションはダンジョン内でも脅威とされている。
ワヲさんが相手の前衛の足止めと防御、その間にコテツさんが相手の後衛に突撃・援護の妨害、緊張感のある白熱した戦いが出来ると評判で、二人と戦いたいがためにオハナダンジョンに来る人たちも居るくらいだ。
三人は地面に縫い付けられたような格好で這いつくばっている。
1号も5号も距離が開いているから何を言ってるのかまではわからないけど、どうやら二人を襲った時の事をきっちりとお話で来ているみたいだった。
そしてやっぱり三人はコテツさんとワヲさんの逆鱗に触れたらしく、コテツさんがゆっくりと息子さんに近付いて剣を振り上げると、オハナにとってはお馴染みのエフェクトと共に息子さんが使っていた武器が砕け散った。
〖ブレイク〗だ――――――。
コテツさんがいつの間に使えるようになっていたのかさえ知らなかった。
そもそも他人の装備を破壊するってコテツさんが嫌いそうなスキルなんだけど、まぁあの三人は例外なのかも?恨みつらみあるはずだし。
その後も三人の装備品を順番に破壊していくコテツさん、そしてその間ずっと彼らのお尻をぺんぺんしてるワヲさん――――――何してんの!?
スライムボディからにょ~んと伸ばしたまるでオハナの蔓のような腕で叩いていた。
さっきは「ぺんぺん」って表現したけど、振り下ろされるスピードが尋常じゃない。
あれってもう普通に鞭打ちの刑だよね?それもお尻に一極集中の‥………。
別に部位によってダメージ量が変わるわけじゃないけど、いい大人も混じってお尻ぺんぺんされてる姿はなかなか見れたもんじゃないね。
プリムさんがそっとホタルちゃんの目を隠す、「え?え?プリムさん?魔眼使えなくなっちゃって見えません!」と困惑気味のホタルちゃん――――――うん、私もプリムさんに賛成だから助けられないわ。
もっと酷い残虐シーンをオハナがきっと見せてるけど、こんなの見ないに越したことないよ。
「オハナさん。自分たち、何を見せられてるんすか……………?」
カナきち………言いたくなるのもわかるけど、オハナに訊かないで!?
漸く全部の装備品を砕き終えたらしいコテツさん………良い笑顔だわ。
そしてその間ずっと三人のお尻をシバキ続けたワヲさんも………表情わかんないけど色つやが良い気がする。
二人とも満足したって事なのかな?
最後に三人にトドメを差すと、二人は笑い合っているように見えた。
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事が全て終わった後、サンガは二人に訊いてみた。
「気は晴れましたか?」
「まだまだ燻ってる部分はあるが、概ね満足だ」
「うふふ。姑の意地を見せつけてきました」
「御二人は今後どうされるおつもりです?」
「どう、ってのは…………?」
「御二人がダンジョンに来た理由はあの方たちへの復讐が目的だったからでしょう?その目的が達成された今、御二人にこのゲームを続ける理由は――――――」
「理由ならちゃんとありますよ。ねぇ?爺さま?」
「あぁ。『単純にこのゲームを楽しむ』それがワシらの新たな目的じゃ」
「…………そうですか。この世界に代わり、継続してプレイしてくださる御二人を歓迎致します。そして、おかえりなさいませ」
僅かに、サンガの声が弾んでいるように響いた。
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