第63話 眷属の物はオハナの物、オハナの物もオハナの物

オハナの眷属たちが頑張ってくれたおかげで、イベント報酬の追加とランキング報酬が貰えるようになったわけだけど……………正直あの子たちだけで充分なのよね。

眷属はオハナのスキルの一つという枠組みだから、あの子たちが敵を倒して得たコインも自動的にオハナの物になる。


眷属の物はオハナの物、オハナの物もオハナの物。


どこぞのガキ大将さんを地で行くような事になっちゃってるけど、あっちは奪う側で、オハナは貢がれる側だという違いはあるのかな?

それがどうした大した違いじゃないって言われたらそれまでだけど。



そして勘の良い皆さんはもう既にお気づきの事でしょう。

オハナがこういうどうでも良い事を考えている時、そうそれは――――――。


オハナにやる事が無い時!!


イベントに参加してまで暇してるオハナってどうよ?と思わなくもないけれど、今回一緒にイベントに参加できることを眷属の子たちはオハナが想像していた以上に喜んでくれていたらしくて、今じゃ敵が自動でポップした次の瞬間にはもう消滅させられているという意味の解らない領域に突入しちゃってるんだもの。


その様子を見た最初の頃はね?競技カルタを見てる気分で面白くて「頑張れー」とか軽い気持ちで声援を送ってたんだけど………………。

あの子たちの中の何かに火が点いちゃったみたいで、徐々にそのスピードを上げて今に至っている。


この状況は何だろう?新手の虐めなのかな?

早過ぎてオハナが全く手出しできないんだけど?


あの子たちはきっとオハナの為に頑張ってくれてるだけなんだろうけど、参加できないオハナは今ちょっぴり疎外感を感じています。

子どもたちが独り立ちしていくのを見送る気分というのは、きっとこんな気持ちなのかもしれないなぁ………………。

そしてこのぼっち感、懐かしいね。











なんつって~♪


動けない生活を強いられてきたことで培われたオハナメンタル、この程度では挫けませんし萎えませんよ!!



アウグスタに勝負を挑まれた翌日、〖イベントコイン獲得枚数〗とその順位が見られるようになっていたからやる事無いし、イベントフィールドに眷属たちを放って、まったりと見る事にしたのは良いんだけど………………。


〖イベントコイン獲得枚数ランキング〗


第一位  オハナ    総獲得枚数  600137枚

第二位  闇風     総獲得枚数   26450枚

    ・

    ・

    ・

第七位  アウグスタ  総獲得枚数   23318枚




先に言っておくけどオハナのカウントは壊れてませんから!!

ぶっ壊れな枚数を叩き出してて信じられないかもしれないけど、実際にちゃんと獲得した枚数で不正はありません。

そしてこの集計は昨日までの獲得枚数で、今日の分はまだ含まれてないからオハナが何もしなくても現在進行形で増え続けていると思うの。


眷属が獲得したコインが含まれなければ、それなりに好い勝負になったかもしれないけど、単純な話各プレイヤーさん一人に対してオハナは眷属の眷属たちまで含めるともう――――――ね?

他にも眷属を使役してるプレイヤーさんたちも居る筈なんだけど、その人たちも植物型魔物ほど眷属の数がポコポコ増えるわけじゃないから地力が違いますもの。


運営もランキングとか報酬とか増やすのはオハナにとっては素直に嬉しかったけど、眷属が獲得したコイン云々についてもうちょっと何か考えた方が良かったんじゃない?

オハナが不利になるからわざわざ御意見として投書したりはしないけどね。



それにしてもアウグスタ第七位って………………。

あぁでも戦闘スタイルを考えれば凄いなぁ。

オハナみたいに数の暴力じゃなく、闇風みたいに大規模範囲魔法攻撃があるわけでもない。

ちらっと戦っている処を見たんだけど、アウグスタは接近戦を重視してるみたいね。


一撃の火力で言えば一番ダメージが出せるのは、間違いなくアウグスタだと思う。


だけどその分わざわざ相手に接近しなくちゃいけないから効率が悪い、あと無闇に大技を使うからMPの燃費も悪い。

そんな戦い方だっていうのに〖世界大戦〗で第一位………………きっと何も考えずに主戦場に突っ込んで行って、手当たり次第に相手を殴っていたらいつの間にかそうなってたとかいうオチなんだろうなぁ…………バーサーカーかな?


さてと、ランキングも確認したし、コイン集めはあの子たちに任せておいて何の問題も無さそうだから、ちょっとダンジョンの皆の様子でも見に行こうかな。

折角全員参加してるんだもの、ずっと別行動じゃ寂しいもんね。


「あれ……………ランキング一位の――――――」

「コインを独占してる――――――」

「恥ずかしくないの――――――」

「ヤベーわ――――――」


ダンジョンの皆を探しに歩き始めたオハナを遠巻きに見ながらひそひそと会話するプレイヤーさんたち、全部は聞こえなくて所々聞こえてくる言葉から察するにあまり良い内容じゃないみたい。

言葉だけじゃなくて、露骨に表情にも出てるんだもの。


砦を落とした後もそうだったけど、オハナって基本距離を置かれるよね?

採って食べたりしないのに…………オハナの正面にさえ立たなければの話だけどw

そもそもちょっとやそっと距離空けたってまだまだオハナの射程圏内なんだもの、逃げるだけ無駄だよ?って教えてあげた方が良いのかしら?まぁ殺らないけど。



はぁ~あ…………可愛いの声が聴きたくて参加したのもあるっていうのに、聴こえてくるのは主に「オハナヤベー」の声ばかり、かなり思ってたのと違う。

オハナメンタル(植物由来)もガシガシ削られるよ………………。


そして漸くダンジョンの皆を見つけて合流すると、


「おう。オハナちゃんじゃねぇか、ランキング見たぜ?ぶっちぎりで一位になるたぁ流石はワシらの大将だ」


コテツさんが開口一番にそう言って、ガハハと豪快に笑った。


「うふふ。本当ですねぇ、私たちも頑張りませんとねぇ?」

「ワ、ワヲさん。あまり無理はしないでくださいね?」

「あら?心配してくれるの?ありがとう、ホタルちゃん」


ワヲさんのスライムボディからみょーんと伸びた手のような部分がホタルちゃんを撫で、ホタルちゃんは気恥ずかしそうにしながらも大人しく撫でられていて…………。


「オハナさん!見て下さいっす!遂に自分本当にダークフォースを――――――」

「カナきち、ダメですよ?MP全快の状態で丁度一回使用できるってだけなんですから、撃った後何も出来なくなるのもイヤでしょう?」


こっちはこっちでダークフォースが撃てるようになったらしいカナきちがはしゃぎ、それを珍しくプリムさんが諫めている。


あぁ、うん。何かとっても癒されるわぁ。

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