第62話 イベント内容拡充!?

あの人たちがまたゲームを楽しんでプレイできるようになるかは知~らない。

そこまでオハナは責任持てないと言いますか、最初から無責任だからこその行動だもの。

自己啓発本と同じくらいの効能(本人が変わろうとする意志が無いと無意味)しかありませんよ。


そんな訳で、サクッと気分を入れ替えましょう。


そうそうイベントなんだけど…………………自分でもちょっと引くくらいのコインが集まってるんだけどどうしよう……………?

報酬一覧から、もう既に目標としてた景品も貰っちゃったしなぁ……………。

イベントコインに関しては譲渡することが出来ないし、これ以上集めるのも他のプレイヤーさんたちに悪いしなぁ……………。


でもなぁ――――――。


そう思いながら向けた視線の先、そこでは未だに頑張ってコインを集めてくれている1号と5号、そしてあとから呼び出した2号、3号、4号も最初から出ていた二人に負けじと頑張ってくれているのよ。

そのおかげであっという間に目標達成しちゃったわけだけど、張り切ってる姿を見ちゃうと「もう要らない」ってなかなか言い出しにくくて、そうしてる間にもどんどんコインが貯まっていくっていう悪循環。


オハナファミリー一行のせいで狩場一つを独占しちゃってるような状況。

ついでに言えばそんな状況に対する周囲のプレイヤーさんたちへの罪悪感も絶賛ウナギの登り中。

まだイベント一日目にして目的もやる気も見失う事になるとは思わなかったよ!?




結局オハナは眷属たちに何も言えず、沢山コインを稼いで来ては「褒めて褒めて」という圧に負けて眷属たちを撫でる機械と化していた。

これってあれだよね?ボールを投げて拾って来た犬の頭を撫でてあげるやつ。

犬を飼ったことがないからもしかすると違うかもだけど、きっとあれもこんな感じだと思う。

このまま一日目も終了かな~なんてまったりしながら思っていた時だった。


「見つけたぞ!?お前がオハナだな!?」

「違います。花違いです」


厄介事の臭いしかしない物言いに、姿も確認せず咄嗟に秒で否定してしまった。

その後姿を確認して、その判断が間違ってなかった事を再確認した。

だって相手さんのお名前が〖アウグスタ〗って書いてあるんだもの。


「嘘吐くな!!プレイヤーネームに〖オハナ〗って書いてあるぞ!?」

「えぇ確かに私はオハナですが何か?まさか懸賞金一位のあのオハナだと思ってます!?」


「どう見てもお前だろう!!」

「手配書をよく見て下さい。頭に咲いている花の色、私はピンクですが手配書の方は少し紫がかった色に見えませんか?」


よく見た処で本当は同じ色だし、そもそもオハナ本人なんだけど、面倒事に巻き込まれるのが嫌なので此処は全力で本人である事を誤魔化させてもらいます。

嘘も吐きますとも、だってオハナは魔物だもの。


『バレなきゃ…………………良いと思うよ?』(※天使と悪魔)


…………何か某逃げちゃダメな子の様に言われた!?

でも待って?言ってる事普通にクズじゃない?


『クズでも…………良いと思うよ?』(※天使と悪魔)


いやいやいやいや……………良くないから!!

自分の心弱さが生んだ囁きだけど、どんだけ自己肯定感強いのよ!?

ちょっとは否定なさいってば!!


『笑えば………良いと思――――――』(※天使と悪魔)


言わせないよ!!?

そもそも自分の事なのに笑えるわけないでしょ!!

寧ろ情けなくて泣けて来たわ!!

オハナには清く正しく美しく育って欲しいんだから。


そんな脳内コントを繰り広げていてすっかりその存在を忘れてたけど、アウグスタはどうなってるの?やけに静かだけど………………。


「う~む…………違いが判らんが、そう言われるとそんな気がしてくるような…………」


騙されそうになってるぅぅぅぅ!!!!!!!?


待って!?気のせいだから!?ちゃんとオハナ本人だから!?

そしてオハナがきちんと名乗ろうとするより早く、


「まぁ良い、お前が手配書のオハナに伝えろ。俺と勝負しろとな!!」


うわぁ~………この人めんどくさくなってそのまま話を進めるつもりだよ!?


「勝負って…………何で勝負するつもりなんですか?」


オハナの当然とも言える質問に、アウグスタはよくぞ聴いてくれたと言わんばかりに――――――。


「よくぞ聴いてくれた!!」


――――――言っちゃったよ。


「ぐっふっふ。今回のイベントでどちらがコインを多く集められるかの勝負だ!!俺が勝ったなら俺こそが魔物プレイヤー真のナンバーワンだ!!」


…………………………。

うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


微塵も興味が湧かないぃぃぃ!!!!!!!

そんなもので良いなら熨斗のし付けて差し上げますけど!?

勝負してもオハナにメリットが何も無いし、何よりすっごくどうでも良い。

今年一番のどうでも良さかもしれない。


ビシィッ!っとオハナに向かってポーズを決めているアウグスタにげんなりしていると、ダンジョンでお留守番中のサンガから連絡が入った。

ダンジョンメンバーなら誰とでも通話ができるっていう最近知った機能なんだけど、まさかダンジョン外にも繋がるとは思ってなかったからちょっとビクッとした。


「オハナ様、たった今神様より連絡がありまして、もう間もなく通知されるとは思いますが、コインの総獲得枚数を競い〖世界大戦〗の時と同様ランキング報酬を追加するそうです。予想以上にオハナ様の獲得枚数が多く、一日でイベント完走するとは思ってなかったそうです」


えぇ~何ソレ気持ち悪い。


「オハナ一人の為にそんな対応してくれるものなの?」


「おそらくですが、イベントフィールドでプレイヤー狩りをされても困るからじゃないですか?こうすればコイン集めに集中するだろうと――――――」


オハナは猛獣か何かだと思われてるのかしら?

まぁ良いや、オハナにもメリットがあるのなら頑張ろうって思えるよ。

さっきまで普通にクソだと思ってましたけど。


サンガの言っていた通知がアウグスタの所にも届いたらしく、内容を読んで大袈裟にガッツポーズしていた。


「良いか!必ず俺はお前に勝ぁつ!!」


力強くそう言い残して、アウグスタは風のように去って行った。

激しくどうでも良いけど、もう完全にオハナの事オハナだって思ってるよね?

まぁ正解なんですけども。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る