第57話 オハナ≠未確認生物
プリムさんとカナきちが加わった新生オハナダンジョン。
その勢いは止まる事を知らず――――――は言い過ぎにしても、相変わらずオハナに辿り着く猛者は居ないままだった。
掲示板界隈では本当にオハナという存在が居るのかどうかさえ疑問視する書き込みがちらほら散見される。
全ユーザー数で考えたらオハナと遭遇した人たちの方がまだまだ圧倒的に少ないからそういう意見が出ても仕方がないんだけど、ちょっと意外だったのが、
『賞金首の手配書見たんだけど「オハナ」って、マジでこんな可愛い魔物居るの?』
『上半身の見た目は確かに美少女だが、腰から下をよく見てみろ』
『眼科推奨』
『可愛けりゃ何でもいいんじゃね?』
『俺も是非とも直に逢ってみたい』
『確かにw他の賞金首のダンジョンなんかに挑むより、殺られるなら美少女に殺られ
たい』
『けど実際そのオハナに辿り着けたヤツ居ないんだろ?』
『ワイ前にダンジョン潜ってた時に何か用事でもあったのか、降りて来てたみたいでそん時にちらっと見たで』
『おおっ!』
『生き証人がw』
『ただ、ちらっと見えた瞬間に殺されてたわw』
『オハナ≒未確認生物』
『いや確認されてるし……………』
『雷鋼砦陥落時の映像も見たけど、作り物じゃなさそうだった』
『くっそ!あの時砦に俺が居れば…………』
『俺も映像見てたが、一人二人増えた処で結果は何も変わらんよ』
――――――のような書き込みも見られる事。
UMA扱いはちょっと酷くない?とも思うし、オハナが可愛いと言われている事についてが今は重要。
ふっふっふ、いよいよ他の人たちもオハナの可愛さに気付いたようだな。
え?自分で言うなしって?
自分で言わずして誰が言ってくれるの!!(涙目)
勿論ワヲさん、プリムさん、ホタルちゃんは言ってくれるよ?
けどこれはもうオハナの完全な我儘、他の人からも言われたいの!
だって折角上半身だけだけど美少女化したんだよ!?
誰かに見てもらいたいじゃない!!
可愛いって言われたいじゃない!!
何ならそのオハナの可愛さについて誰かと語り明かしたいじゃない!!
自画自賛?いいえ、娘を愛でる父親の様な気持ちです。
そして嫁にはやらん!くらいの意気込みです。
うん?心底どうでも良い?早く何をどうしたいのか言えって?
えぇっとね?つまり――――――。
「――――――今度のイベントに参加したい、と?」
サンガの確認の言葉にオハナは何度も頷いた。
前置きが長くなっちゃったけど、まぁそういう事。
オハナは今まで動けなくて、イベントが有っても参加できず蚊帳の外、強制参加だった〖世界大戦〗と常駐イベントである〖砦攻め〗を除くと今まで季節毎の限定イベントやクエストなどには一切参加した事が無かった。
それをプリムさんに告げた処、
「そうなんですかッ!?それなら是非是非私と一緒に今度のイベントに参加しませんか?」
と、前のめりで誘ってくれたことが嬉しかったのもある。
――――――ここまでが表向きの理由、本音だけどね?
で、ちょっとした下心込みで言えばUMA扱いを払拭したいのは勿論、オハナの事を可愛いと称賛してくれる声を直に聴きたいという気持ちもあった。
ただイベントに参加するにはダンジョンを離れなきゃいけないから、今こうしてサンガに御伺いを立てている最中という訳なのです。
「………………わかりました。イベントに参加したいというオハナ様の意見も尤もです。今後もそういった事が増えて行くでしょうから、私の方で神の方に『イベント中のダンジョン運営について』の意見を上げておきましょう。中止にするか、時間を区切っての運営にするかはわかりませんし……………いつ対応してくれるかは正直微妙ですが、何もしないよりかはマシでしょう」
最近サンガが優しくなった気がする。
以前の様なザ・AIって考えで発言するのではなく、オハナの事を少しは考慮?配慮?してくれるようになったのはちょっと嬉しい。
ただこういう事を思っていると、その全てを台無しにするような一言が飛んでくるんだけど。
「あぁそうです、それじゃあオハナ様――――――」
ほら来た。
「ついでにホタル様とカナきちも連れて行ってあげて下さい。この機会にレベル上げをしてほしい部分も勿論在りますが、オハナ様が一緒であればあの二人も心強いでしょう」
…………………あれ?台無しにしないの?そしてその発言は何?
オハナの蔓でサンガを捕まえてまじまじと観察していると、
「…………オハナ様?何してるんですか?」
「いや、サンガが何処か壊れてるか、若しくは偽物なんじゃないかって確認してるだけだから気にしないで」
「一体どうしてそのような結論に?」
「だって私の知ってるサンガはそんな相手の気持ちに配慮したような優し気なセリフは言わないもの」
「……………激しく心外です」
「ごめんごめん」
確かに今のはオハナが失礼だったなと思い、蔓で撫でながら謝る。
そんなオハナの視界の片隅に、いつの間にか3号が岩陰に隠れる様にしてこっちをじーっと見ていた。
どうしたんだろう?
いつもならオハナのすぐ傍にテレポートして来て撫でろと催促してくるのに………。
オハナの視線の先にサンガも気付いて、
「また置いて行かれるのが寂しいのではないでしょうか?」
「そうなのかな?」
「オハナ様の居ないダンジョンはそれはもう殺ば―――――いえいえ、閑散としておりますからね」
今、殺伐って言おうとしなかった?
オハナダンジョンが殺伐として眷属ズが暴れたおかげで、ダンジョン内が閑散としちゃったって事?
でも3号と4号はダンジョンの外ではテレポートが使えないから移動が出来ない。
それならばダンジョン内で自由に動き回り、活躍してもらった方が良いかと思ってたんだけど…………………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます