第53話 オハナダンジョンの弱点?

はいどーもー。

1号と2号の稽古に付き合う様になって暫く、暇だ暇だと言いながらも何だかんだ心の内では充実した日々を送ってるのは内緒のオハナです。


1号と2号のレベルは上がらないけれど、戦闘経験だけはきちんと蓄積されるみたいで、二人の学習能力の高さもあるからこの二人だけでも充分砦落とせるんじゃね?ってのは今尚砦攻めを頑張ってる二人のプレイヤーさんに悪いから黙ってるけどね?


最近になってようやく二人は〖単独による砦陥落〗を諦めたみたいで、節操無しに他の魔物プレイヤーさんたちを仲間に引き入れて砦攻めを行っているらしい。


まぁ、頑張ってね?とだけ言っておこうかな、うん。





そんなどうでも良い話は置いといて。


コテツさん、ワヲさん、ホタルちゃん、そしてオハナ眷属たちを見て、ふとある重要な事に気付いちゃったかもしれない。


オハナたちには魔法関連に強い人が居ない――――――。


オハナが火属性の魔法に弱いのを筆頭に、眷属たちも同様。

コテツさんもまだ種族的に不死者扱いなので、聖属性魔法で瞬殺可能。

ワヲさんも物理攻撃にはめっぽう強いけど攻撃魔法全般が弱点。

ホタルちゃんは別に魔法に弱くは無い、弱くは無いんだけど強くもない。


オハナダンジョン全員でトータルしてみると、魔法に対して強く出られる人がいない。


え?射程外から狙撃で瞬殺じゃんって?

確かに射線が取れる場所ではそれも可能なんだろうけど、それが出来るのは未だにオハナだけだし、ホタルちゃんのビームにしても全てを薙ぎ払えるってわけじゃないみたい。

フィールド上にも存在する破壊不能オブジェクトを盾にされれば防がれてしまう。

その陰から魔法でチマチマと攻撃されたら、負けないにしても被害が大きくなっちゃいそうだもんね。


という訳で――――――。


「どうしたらいいと思う?ンガえもん」

「ンガえもんて……………せめてサンガえもん、もしくはサンえもんでしょう?どうしてそんな中途半端な位置から切っちゃうんですか」


相談役としてはこれ以上無いと言っても――――――過言だね。

ま、まぁとにかくオハナダンジョンの戦力を拡充するという意味でもサンガは協力してくれるだろうし、その方法について相談してみる事にした。


「戦力を増強しようとしているのであれば、今は時期をずらした方が良いかもしれません」


きっとノリノリで相談に乗ってくれるだろうと思ってたんだけど、サンガからは消極的な意見がまず最初に出て来た。


「今は他のダンジョンマスターの二人が砦攻めの為に即戦力となり得る人材を精力的に仲間に引き入れていますから」


あー………そう言えばそうだったね?どうでもいいやと思ってたけどそんなところに影響が出ちゃうんだ?面倒だなぁもう。


「オハナが募集をかけたとしても今の時期じゃ人が来てくれないかぁ」


砦を陥落させて、懸賞金額一位になったってそんなもんかぁ……………。


「いえいえ、逆ですよ。今オハナ様が募集をかければきっと津波の様に人が押し寄せてくる事でしょう。オハナ様は他の御二人と違い滅多にダンジョンの人員を募集されませんからねぇ。自ら売り込みに来る方々も少なからず居りますが、それらは全て眷属の方たちに撃退してもらっておりますので――――――」


何ソレ!?初耳なんだけど!?


「どうして?雇って戦力にした方がサンガとしては嬉しいんじゃないの?」


「私はあくまでサポートAIです。ダンジョンの主たるオハナ様が戦力の拡充を望んでいませんし、事実オハナ様のダンジョンは充分に機能していると私も判断いたしましたので。どうしても必要性を感じた場合はオハナ様に御相談してから雇い入れますよ」


サンガはもっと”ダンジョンの強化が第一!!”って感じで、好き勝手に動いてそうだったのに、正直意外――――――。


「それにしても魔法面の強化ですか、ようやくオハナ様もその点に気付いて下さったようで何よりです。今まではオハナ様や眷属の皆さまの能力値の高さでその弱点も弱点になっていませんでしたが、これからもそうとは限りませんから対処しておくに越した事はないでしょう」


急に上から目線とか、人が折角見直しかけてたのに台無しだよ!?

「今更気付いたの?」と言わんばかりの「やれやれだぜ………」みたいなその態度は何なのよさ!?


「話を戻しますと、オハナ様が募集をかければプレイヤーの方々はこちらに殺到するでしょう。そうなれば今現在砦攻めを継続中の御二方が今度は戦力を確保するのに苦労することになり、結果オハナ様の望む他のダンジョンマスターの二人と敵対するような行動は控えるというのに反することになるのではないかと思われます」


………そういう事ね。

後々になって「人が集められず砦を落とせなかったのはオハナが募集をかけたせいだ!」とか言い訳に使われるのも面白くないしなぁ。

でもオハナダンジョンに魔法に強い人を仲間に引き入れたいって想いもある。


ん?待って、それなら――――――。


「砦攻めの戦力にもならないような人を募集するのはどうかな?」


元々コテツさんもワヲさんもホタルちゃんも、即戦力だったわけじゃない。

オハナ眷属たちの助けもあっただろうけど、三人とも努力して強くなった人たちだ。

ダンジョントライアルの時にも言ったけど、オハナはクソ雑魚から頑張って強くなろうとしてる人を応援したい。


「………………玉石混淆となりますよ?」

「良いじゃない。選り取り見取りよ?」


玉石混淆なんてそんな条件で募集をかけるんだもの、最初から承知の上。

面倒だとは思うけどダンジョンマスターなんてものになっちゃったんだもの、仕方がない。

これがオハナ流のダンジョン経営だもの。


その後、コテツさん、ワヲさん、ホタルちゃんにも同じ話をすると三人とも快く賛成してくれて、此処に第二回オハナダンジョントライアルの開催が決定した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る