第51話 その瞳は全てを撃ち抜く!?

どうも、目玉系魔物生活をおくっているホタルです。

私は今オハナさんの眷属の一人である5号さんの脇に抱えられ、ダンジョンを降りていました。

5号さんは足から根っこを生やす事で壁や天井なんかも移動して、見てるだけでもう酔ってしまって……………今にも吐きそうです。


5号さんはショートカットと言わんばかりに躊躇い無く落とし穴にも飛び込んだりします。

私は何度悲鳴を上げたか判りません。

私が飛べるからって、私の意思とは関係の無いところで落ちる感覚を味わうのはとても怖かったです。


そうして5号さんに連れて来られたのはオハナさんダンジョンの第三階層です。

オハナさんのダンジョンは上に行くほど攻略が難しくなっているので、ここから下の階層が一番プレイヤーさんたちの多い階層になっています。

普段はこの第一階層~第三階層まではオハナさんの眷属の皆さんもコテツさんとワヲさんの誰も担当してなくて、〖人間側〗プレイヤーさんたちにとってそこそこ安全な狩場となっているそうです。


その第三階層にある大きな穴、そのすぐ傍で5号さんは立ち止まります。


「見ろ!!あれってダンジョンマスターの眷属じゃないか!?」


穴を覗き込む5号さんに気付いたのは第二階層を探索中だったプレイヤーさんたちの一人でした。

彼の声につられて他の三人の仲間の人たちもこちらを見てきます。

5号さんはそんな状況なのに特に慌てたりせず、彼らにお尻を向けて二、三回ぺちぺちと叩き挑発してます。


怒った彼らを嘲笑う様にゆっくりと私を掲げ―――――。


思い切り、私をプレイヤーさんたちに向けて投げつけました。


私はすぐに止まろうとしました。

でも5号さんのパワーには勝てなくて、勢い殆どそのままにプレイヤーさんの顔面にぶつかってしまいました。


ぶつかった相手は魔法使いさんのような格好をしていて、結構なダメージが入ったみたいです―――――因みに私にもダメージがありました。


捨て身タックル………………出来れば体当たり程度が良かったです。


もしかして5号さんは私一人で相手にしろって言ってるのかな?

私の戦い方は〖気配遮断〗でバレないように近付いてから〖魔眼〗で動きを止めて、相手が麻痺してる間にダメージを与えて倒すっていう方法だった。

だけどこんなにもばっちりと見つかっちゃったら〖気配遮断〗は使えません。

まだ相手に見つかっていないことが条件なんですから。


ただ幸いにも私の視界に四人ともが納まる位置に投げ入れられたので、私はすぐに〖魔眼〗を使いました。


私の主力スキル〖魔眼〗は、スキルレベルに応じて相手に付与できる状態異常が増えるというスキルです。

因みに私の〖魔眼〗はまだ〖魔眼:D〗で、麻痺の状態異常を付与することしか出来ません。

状態異常の付与率はとても高いのですが、ずっと相手の事を見ていないと効果が切れてしまうというデメリットがあります。

まばたきも禁止です、なので〖魔眼〗を使うといつもドライアイになってしまいます。


私は四人の動きを止めると、まず最初に捨て身タックルをしてしまった人を攻撃し始めます。

何度も体当たりでぶつかり続けてHPを0に出来ました。


もう目がパリパリです。

でもあと三人も居るのに――――――。


そう思った時でした。


三階層から様子を見ていた5号さんが、動けないプレイヤーさんの一人に向けて飛び降りたんです。

5号さんにもダメージがありましたが、防御も出来なかったプレイヤーさんはその一撃でHPが0になったみたいで消えて行きました。

そのまま5号さんは流れる様な動きで残った二人の内、高そうな剣を持っていた人のその剣を破壊、ガラスが割れたような音が響く中その二人を蹴り飛ばしたのでした。


蹴り飛ばされ倒れ込む二人を見た私は目を閉じて〖気配遮断〗を使いました。

無事発動した〖気配遮断〗にほっと息を吐きます、この状態になってしまえばオハナさんでも見つけるのは難しいらしいですから、この人たちに見つかるとは思えません。


「もう一人は何処行った!?」

「それより今はアイツだ!来るぞ!?」


5号さんが私を探す暇を与えないように立ち回ってくれているおかげで、私は〖魔眼〗ですっかり乾いてしまった目を休ませることが出来ます。

その間に考えてしまうのはやっぱり私の攻撃手段の少なさでした。


オハナさんも元々攻撃手段が少なかったって聞いた、だけど今や〖魔物側〗でオハナさんを知らない人はいないくらいになってる。

そんな人のダンジョンで働いて、実力不足を痛感する毎日だった。



そして、ふと何気なく思い出したのは、この前オハナさんが砦攻めをした時に見た映像に移る敵の人が使っていたスキルだった。



槍からビームが出せるのなら、目からビームが出せても良いはずなのに!!



スキル〖魔眼光線〗を習得しました。


これは………………オハナさんがいつも言ってる突然生える新スキル!?

まさか私にも起こるなんて――――――。


スキル〖魔眼光線〗を使用しますか?


悩むことなんて無かった。

いつもオハナさんから聞いて居たから、突然スキルが生えた時は迷わず使って見れば良いって!!



私がカッと目を見開くと、照準みたいなものが表示されたのでそれをプレイヤーさんの一人に定める。


発射――――――!!


視界が真っ白で何も見えないから、何がどうなっているのか、ちゃんと狙えてるのかどうかもわからない、それに私のMPがどんどん減って行ってる。


もしかしてこのスキルを使ってる間はMPがずっと減っちゃうのかな?


MPが枯渇する前に解除すると、プレイヤーさんたちは居なくなっていた。

ダンジョンの中がさっきまでと比べて荒れていたのは、私のスキルのせいかな?

5号さんが瓦礫の下からひょっこりと顔を出し、私に近付くと「お疲れさま」と言ってくれてるみたいに頭をぐりぐりと撫でてくれた。





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5号に任せたとはいうものの、やっぱりちょっと心配だったオハナはサンガにその様子を見せてもらって、二人でホタルちゃんの様子を見守っていたんだけど…………。


「「………………………」」


二人揃って絶句ですよ。

だっていきなりホタルちゃんの目が光ってビーム出てるんだもの。


そう、あれはまるでハイ〇ガキャノン?


いやー……………びっくりだね?

ホタルちゃん、目からビーム出してたよ?


ホタルちゃん、目からビームが出せたから、今日はホタルのビーム記念日―――――って、いかん!混乱し過ぎて意味不明な記念日が生まれてしまった。



プレイヤーさんジュッって音を立てて消滅してたよ?

もういい加減このゲームを剣と魔法のファンタジー世界と言うのには無理があるんじゃないかな?


そして5号、アンタ大物だわ。

何事も無かったかのようにホタルちゃんの頭撫でてるけど、生き埋めにされかけてたんだからね?


「…………あれってダンジョン大丈夫なのかな?」

「おそらくある程度形は変わるでしょうが、すぐに〖破壊不能〗オブジェクトに行き当たると思います。後は時間が経てば修復されますので………………」


やっと出て来た会話はそんなものだった。


その後、オハナダンジョン下層に滅多に出ないレアモンスターとして、”ビームを撃ってくる目玉型魔物”―――――ホタルちゃんが認知されるようになる。

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