第45話 ただそこに経験値が(沢山)あるから

〖遠距離射撃攻撃:改〗?

スキルが統合されたのは初めてなんだけど、どう変わったの?

教えてヘルプの人~。


〖遠距離射撃攻撃:改〗

射撃攻撃に準ずる物理攻撃全般の威力向上、射程の延長。

〖改〗であれば、弾丸に様々な効果を付与することが可能。

弾数に制限がなくなる。



…………ヤバくない?特に三つめ。

今まで〖眷属射出攻撃〗は使役できる眷属の数で弾数制限が有った。

眷属が死んじゃったら一定時間経過しないと撃てなかったデメリットがあっさり解消されちゃったんですけど?

良いのかなぁ?このスキルってどうもで創られたスキルっぽいんだけど、今のオハナには蔓の数だけ銃が有るのと同じなんだよ?

おまけにそれら全部が自動照準機能付き、本当に大丈夫なのか心配になってくるレベルだわ。


後でナーフとかしないでよ?萎えるだけだから。


あぁ、でも眷属の使役数は変わらないんだ?

これからは任意で眷属を出すか、只の弾丸(種)にするか選べるって事みたい。





ハイ、どうも~。

余裕ぶっこいて新しく出来たスキルを確認していたオハナです。

え?そんなことしていて大丈夫なのかって?


全然!何にも問題無ーし!

だって、砦にある唯一の出入り口である門をオハナの土魔法で塞いでるから、あっちは出たくても出て来れないの。


壁の上に出て来た相手は撃ち落とせば良いだけだし。

他の壁から降りてオハナの所へ来るにしても、5号がそれを阻止してくれている。


さーて、スキルの確認も終わったから本格的に砦攻めに移ろうかな?


まずは6号を手近な櫓の屋根の上に射出、毒攻撃フィールドを展開。

次に7号を6号とは対角にある櫓の屋根の上に同じ効果を付けて射出。

これでこの砦全体に毒攻撃フィールドの効果が及ぶ筈、逃げ場?そんなのあるわけないじゃん。

6号と7号をどうにかしない限り効果は永続で毒状態は解除できないし、どうにかしようにも櫓の屋根の上だから取り除こうとすればオハナの的ですよ。

そのまま時間が許す限りじわ殺しにしても良いんだけど、オハナ自身も戦いたい。

結局、進化してからまともに戦闘したのってコテツさんと戦った時くらいかな、でもあれも消化不良と言うか不完全燃焼って感じだったし、みんなの分の経験値を稼ぐことも大事だけどオハナも楽しまないとね?


トテトテとオハナの下に戻って来た5号を蔓でぐるぐる巻きにして持ち上げると、うねうねとオハナは根っこを動かし――――――そのまま砦の垂直の壁にも根っこを突き刺して登り始める。


あー…………なんだろ?全然苦にならないわ、オハナにとって障害物って無意味じゃない?〖筋力〗のステータスもそんなに高くないのに、5号を普通に持ち上げたまま壁を移動しちゃってるんだもん。


ホタルちゃんたちと遊んでた時に生えたスキル〖筋力強化〗のおかげなんだろうけど、〖蔓力強化〗や〖根力強化〗と統合されないんだね?

スキル見るの大変だから手っ取り早く統合してって欲しいんだけど?



壁を登りきると同時にオハナに矢が飛んで来た。

それを土魔法で防ぎつつ、此処迄大人しく抱えられていた5号を解き放つ。

今この場ではオハナを守る事なんて考えなくて良いから―――――、


「好きに暴れちゃって?」


オハナの言葉に返事もせずに5号は蔓から放たれると、脇目もふらず先ほどの矢を放ったプレイヤーさんの方へと駆け出して行った。

さてさてさっきのプレイヤーさんはこの毒フィールド×2の中、5号と鬼ごっこタイムに突入、どれくらいもつだろうね?



「貴様が我が砦に攻めて来た魔物プレイヤーか……………。まさかダンジョンマスターが直々に、それもたった一人で攻めてくるとは予想外だった」


今までの人間プレイヤーさんたちとは圧倒的に風格が違った。

白を基調とした全身を覆う鎧に身を包み、右手に持った大盾を此方に構え、左手には強力な武器っぽい槍が握られていた。


「我が名は雷鋼ライコウ。この砦を預かる者、そして〖世界大戦〗では討伐数第一位となった者だ」


強さを自慢してるって風じゃない。

事実を淡々と言っているだけといった自己紹介に、自然とオハナに笑顔が浮かぶ。


「はじめまして、私はオハナ。〖世界大戦〗では第三位でした」


よくアニメなどで御嬢様がするようなスカートを摘まんでお辞儀をする仕草を真似して挨拶を返してあげた。



「どうして我が砦を狙ったのか理由を訊いても良いだろうか?」


襲われるのがそんなに意外だったのかな?

あぁでも〖砦攻め〗はもっと魔物プレイヤーさんたちで連携して陥落を目指すものなんだっけ?……………よし!今度はみんなも連れて来よう!


「別に大した理由じゃありませんよ?この砦が一番人が多かったので経験値を稼ぐなら丁度良いかと思いまして」


「つまり陥落は目指していないと?」

「えぇ。ですけど御仲間がやられるのを黙って見ていてはくれませんよね?今こうして、誰よりもオハナの前に居るんですから」


「――――――………その通りだ。行くぞッ!!」



雷鋼が槍をオハナに突き出してくる、オハナは咄嗟に距離をとって種を連射するけれどそのどれもが彼の纏う鎧に阻まれて大したダメージを与えられていない。

大盾を前面に押し出し、オハナに突撃してくる雷鋼をオハナは飛び越えて躱す。

その際にも種を撃ち込むけれど、やっぱり効果は今一つみたい。


「お前の手のうちはバレている。〖毒〗とあと〖即死〗、それさえ防げば特に恐れる必要も無い。お前に懸けられた賞金は我が砦復旧のための資金にしてやろう」


うーん、〖毒〗フィールドの中元気だなぁと思ったら無効化してたのね?

〖即死〗も対策してるかー、そっかぁ―――――とか言いつつ即死弾、発射!!


カンッ。


御自慢の大盾で防がれてしまった。


「「…………………」」


いや、そう睨まないでよ。

一応ね!確認しておかないとね!ブラフだったりするかもだからね!

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