第46話 フィニッシャーは計画的に
雷鋼との戦闘は続行、向こうが槍でオハナの蔓や根を斬り払えば、オハナは種の弾幕で押し返す。
一進一退の攻防――――――って言いたいところだけど、オハナがかなりジリ貧な状況。
蔓も根っこも幾らでも増やせるから良いにしても、ダメージはきっちりと貰っちゃってるから決め手を欠いてるオハナとしてはあんまり長く続けたくない戦いかな。
それでも此処でこの人を抑えておかないと、5号じゃきっと瞬殺だし、6号と7号なんてまだ何も出来ないも同然のマンドラゴラだから相手にもならない。
嫌々ながらもこの人の相手をしているのは5号が砦に居るプレイヤーさんたちを狩る時間稼ぎが主な理由、あとは今のオハナが人間プレイヤーさんの第一位に何処まで届くのかっていう単純な興味だ。
戦ってみて分かったのは、どうやら全身を覆う鎧が即死を、此方の攻撃のほとんどを防ぐ大盾が毒を無効化しているらしいということ。
そして――――――そのどれもが
こっちはやっと廃課金者から社会復帰できるかな?くらいの人間にまで戻って来れたっていうのに、目の前にそんなものたちを見せつけないで貰いたいね。
「――――――ぬうんッ!!」
あぶなッ!?
オハナの胴体を抉り取ろうとするかのような鋭い突きをギリギリで回避し、弾丸をこれでもかと浴びせて一旦距離をとる。
今のマトモに喰らってたら終わってたんじゃない?
「今のを躱すか…………何やら心ここにあらずといった状態だったので、イケると思ったのだがな」
考えさせる暇もくれないつもり?ちょっと休みたいんですけどー?
「次は外さん。我の所持する槍攻撃スキルの中でも最大級の威力を誇る一撃だ」
そう言って雷鋼は大盾を前面に構えた。
そうするとオハナの位置からじゃ雷鋼の槍が大盾と雷鋼自身に阻まれて見えなくなってしまう。
でも雷鋼の後方がだんだんと赤く輝いて行くのが判り、それが後ろに構えられている槍だと気付くのにそう時間はかからなかった。
輝きは溢れ、いつしか槍の周囲を踊る様に赤い光がうねり出す。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい――――――…………!!
あれは絶対に受けちゃダメな奴だ。
その本能に従って更に距離をとるけれど嫌な感じは未だに拭えない、もう槍が届くような射程じゃないのに、まるでまだオハナが射程外に逃れられていないかのような――――――。
「穿・赤光槍!!」
雷鋼が遠いオハナに向けて突き出した槍―――――その赤い輝きが目に入った瞬間、オハナは蔓を限界まで伸ばすと無理矢理体を移動させた。
先ほどまでオハナの居た場所を赤い輝きが通過していき、回避できたかと思ったんだけどオハナの左腕は赤い輝きに焼かれて消滅していた。
もしあのまま射程外だからと何もせずに留まって居たらと思うとぞっとした。
「痛ッ――――――!!?」
痛みなんて無いよ?別に痛くは無いんだけど、腕が無くなったという事実に口から咄嗟に痛みを訴える言葉が出て来た。
オハナに撃たれて「ぐふっ」とか言ってる人たちの気持ちがちょっとだけ解ったわ。
今のが雷鋼御自慢の槍攻撃スキル…………?
…………………。
うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
あ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
あんなのもうビームじゃん!!
誰よ剣と魔法のファンタジー世界にビーム兵器持ち込んだ奴!?
そりゃ第一位にも成れるでしょうよ!?だってビーム撃てるんだもの!!
あれに比べたら今までのオハナの所業が全部可愛く見えるわ!!
ちょっと前まで自動照準とかで右往左往してたオハナが恥ずかしい!!
防御力高いビーム兵器に効果の薄い鉄砲で単身挑めって?
オイオイそれってどんな無理ゲーですか?
そしてファンタジー要素仕事してよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!?
はぁ…………はぁ…………うん、ちょっと冷静になれた。
よく見ると左腕の他にその近くにあった蔓と根っこがまとめて消滅していた。
偶然オハナの後方にあった砦の櫓までもが先ほどの雷鋼の一撃で、その一部が抉り取られて――――――ううん、刳り貫かれたって言った方が正しいのかな?
うねうねと失われた部分から再生が進んで行き、左腕も元通り修復されたけど今のでオハナのHPはごっそり削られた。
あれをもう一発、と言うかその前の様な鋭い一撃でも喰らったら確実にアウトなくらいまで追い込まれていた。
やっぱ上には上が居るもんだね?
オハナもちょっと強くなれた気でいたけど、こうしてそんな調子付いてる心をすぐに圧し折ってくれる相手が現れるんだもの。
「……………今のをも躱すか、さすがに仕留めたと思ったのだがな」
雷鋼が突き出した槍をブンッと振ると、どういう仕組みになっているのか全然わからないけど槍からは大量の蒸気が噴出された。
排熱かな?演出だとしても大袈裟だし、もしかして一発撃つと連射出来ない?
それに何だか雷鋼がふらついてるような…………………?
もしかして今のスキルって威力は凄いけど、使用後に何かしらのデメリットが発生する類のだったりする?じゃなきゃ最初から連発してるはずだもんね?
再び槍を構えて向かってくる雷鋼だったけど、さっきまでとは違って動きにキレが無く攻撃にしても精彩を欠いてる。
ふっふっふ、どうやらオハナの予想は的外れでも無いようだね?
「ぷーくすくす。ねえ今どんな気持ち?勝てると思ってトドメの一撃~的なのを放ったのに、ギリギリ耐えたオハナを相手にデメリット引き摺って戦わないといけない今の気分は?ねえ?ねえ?」
「くっ!うるさい!!」
ムキになって攻撃してくる雷鋼の様子でもう、確信に変わりましたよ。
うん。オハナも気を付けよう。
そんな相手のペースにわざわざ乗ってあげる必要も無いので、雷鋼の攻撃を躱しつつアースヒールを使ってHPを回復する。
今のオハナは回復優先、命大事に、ガンガン行こう!
雷鋼の攻撃が躱しやすくなったって、当たると今のオハナも危ないからね。
それをずっと繰り返していると、オハナに接近してくる5号の気配を感知した。
たぶん砦に居るプレイヤーさんたちを倒して来てくれたらしい。
残る雷鋼の所に最短で、真っ直ぐに、一直線に――――――………飛んで来た。
「がはっ!!」
何故か飛来して来た5号、相変わらず高さのある良いドロップキックが雷鋼の背中に突き刺さった。
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