第42話 オハナの経験値還元祭

オハナダンジョンが正式に再稼働して、早いものでもう一週間が経った。

コテツさん、ワヲさん、ホタルちゃんの三人は日々違うオハナ眷属の子たちに連れられてレベルアップに勤しんでいる。


「面白いようにレベルが上がるなぁ」

「こんなにも楽にレベル上げが出来るなんてねぇ」

「レベルアップがこんなにも楽しいなんて思いませんでした!」


オハナダンジョンで働く新人さん三人の喜びの声も聴いてて嬉しいもんだね。

だけど、なんか怪しい通販臭がするのは何でだろう?

効果には個人差がありますとでも注釈しておいた方が良いのかな?


当初の不安要素だった眷属たちが新人さんたちを置き去りにしないかどうかだけど、


うん。あの子たちったら、予想通り普通に置いて行きやがりましたよ。


流石はオハナの眷属だね?期待を裏切らない。

安心と信頼のオハナクオリティー――――――って、応えなくて良いよ!!

寧ろそこは裏切ってよ!?


即座に蔓を伸ばして眷属たちを捕まえて連れ戻してから再・教・育!!

返事が無いから伝わってるのかどうか微妙だったけど、話を終えると皆頷いてくれたので一応理解してくれたんだと思っとこう。


今ではサンガも指導に加わってくれて、的確にアドバイスしてくれるおかげでコテツさんたちとオハナ眷属による連携なんかも上手く取れるようになってきていた。



そうなってくるとね?

いよいよオハナが本当にログインして、光合成して、ダンジョンに挑んできた人たちの断末魔を遠巻きに聞いて、平和だなーって思って、ログアウトするだけの生活になってしまっているの。


聖域を追われ、失くしてしまったかに見えたオハナライフがグレードアップして早くも戻って来た感覚。

だけど今のオハナは何となく落ち着かない、だって皆忙しく働いてる中で、オハナ一人だけが何もしてないんだもの。


え?ダンジョンを充実させればいいじゃないって?


オハナダンジョンは初期の段階から変に安定した成績を残しちゃってるものだから、下手に弄りたくないんだよね。

それでダンジョンに死にに――――――ゲフンゲフン――――――挑戦しに来てくれる人たちが減ってしまっては新人さんたちに申し訳が無い。

かと言って、何もしないのもなぁ――――――なんて考えて一人もにょる。




つまり!!何が言いたいのかというと、


オハナだって折角加入してくれたあの三人の為に何かできることをしてあげたい!


ただそれだけ!






「オハナ様、本当に行かれるおつもりですか?」


サンガが呆れて、色々と諦めた感じで声を掛けて来た。


「うん。まだまだこの身体での戦闘経験も積んでおきたいし、あの三人にはもっと強くなってもらいたいからね」


あの三人の為に何が出来るか?を考えた結果、オハナ自身が経験値を稼いでそれを眷属及びあの三人に等分配しようと思い至った。

オハナがダンジョンマスターで、その配下としてあの三人が居るからこそ出来るパワーレベリング。

眷属たちにも常日頃から経験値を納めてもらってるから、サプライズな感じでオハナから皆に経験値を配るつもりで居る。


「オハナの経験値還元祭」の開催を此処に宣言しよう!!


――――――宣言はしたものの、全くのノープランなんだけどね?

とりあえず道行く人々を襲って経験値に等価交換すれば良いかな?


外の世界を自由に移動できるってだけでもオハナからすれば感動ものですよ。

散歩、遠足、ピクニック――――――あれ?ピクニックとハイキングって何が違うんだろう?まぁどうでも良いや。

ダンジョン内で活躍の場を他の子たちに奪われ始めて存在が地味になって来ていた5号を捕獲――――――連れ出(巻き添えに)し、ウキウキと心躍らせながらオハナは広いファンタジーの世界に一歩踏み出したのでした。

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