第41話 トライアル終了、結果発表~♪
ホタルちゃんが加わったオハナ一行は悠々とダンジョン内をお散歩中。
え?それもう散歩じゃないだろうって?
いえいえ誰が何と言おうとお散歩中ですよ。
あれからホタルちゃんはオハナの頭の上に移動して後ろを警戒してもらっている。
どういう仕組みなのかはよくわからないけれど、今のホタルちゃんには遠くの方も問題無く見えるみたい。
ダンジョン内は薄暗いけどそれさえも特に問題無いって言ってた。
魔物もそれぞれ特色があって面白いね?
「ワシらにも何か特殊能力みたいなもんが欲しい所じゃのぅ婆さまよ?」
「私たちはまだまだこれからですよ爺さま?」
お元気なコテツさん、それを上手に宥めるワヲさんのやりとりを傍で何となく聞いて居てほっこりした気分になっていると、
「オハナ様――――――」
サンガがとても言い難そうな声を発し、ふわふわと傍に寄って来た。
「どうしたの?」
そんな声を出されると意味なく不安になるじゃない。
オハナがそうして訊いてみても、サンガは何か歯切れ悪くもごもごと話すだけではっきりしない。
我慢強く待って居ると、
「トライアル参加者の数なのですが、あと少しで――――――」
サンガがやっとそう言った時だった。
遠くで3号が放ったと思われる眷属弾の発射音が響いて来た。
「…………たった今、トライアル参加者の最後の一人が倒されました。これにてオハナダンジョントライアル終了です」
あー、そう。
まさかこんなに早く参加者全員(コテツさん、ワヲさん、ホタルちゃん除く)を返り討ちにしちゃうとは思ってなかった。
――――――という訳で。
「結果発表~♪」
と、高らかに宣言してみたは良いんだけど――――――。
トライアル参加者全員が旗を刺す前に倒されてしまったらしいので、結果としては全員失格なんだよね。
サンガにはすぐにトライアルの結果を参加者に皆さんに発送してもらった。
眷属たちにも割とガチ目に撃退してって言っちゃった手前、もうオハナ的にも何も言えませんよ。
まぁでもコテツさんワヲさんホタルちゃんという三人を採用出来たので、「ちゃんと採用してますよ~」っていう体裁は保つことが出来た。
これで「誰も採用できませんでした~」なんて言おうものなら暴動になっていたかもしれないんだもの。
「サンガはトライアル中に見てて誰かこれだ!って思える人は居なかったの?」
元々は後二人採用するつもりだったから、特別賞のようなもので採用にしても良いかなと思ってサンガに訊いてみる。
「そうですねぇ………………どうしてもオハナ様の眷属の方々と比べてしまうと、皆様見劣りしてしまいますね」
何かサンガが一番魔物プレイヤーさんたちに対して酷い事言ってない?
「オハナちゃんの眷属らが強過ぎなんだ」
コテツさんの言葉にワヲさんとホタルちゃんが揃って頷く。
そんなにあの子たちって強いのかな?結構何気に死んじゃってるイメージ―――――って主にオハナがキルしてたわ。
「眷属一体に対し複数人で立ち向かわなければ勝負にならない時点で、その上に君臨する今のオハナ様はレイドボス並である事を自覚してくださいませ」
良くわかってないのが顔に出てたのか、サンガが釘を刺すように言って来た。
「そんな事言われてもオハナは今までもこれからもずっとか弱い魔物だよ?」
「か弱い魔物は〖羽虫殺し〗なんて物騒なスキル持ってません」
おっと痛いところを突かれた。でも仕方ないじゃない覚えちゃったんだもの。
「オハナさんはどうしてそんなにも強くなれたんですか?」
ホタルちゃんからの唐突な質問に戸惑う。
どうして強くなれたのか?かぁ――――――。
「たぶん、オハナには比べる人が居なかったから。後はオハナは自分自身の為に強くなったからかな?」
「比べる人………………?自分自身……………?」
唯一のフレンドであったプリムさんも、勇者側であるエルフで魔物ではない。
だから強さなんてもの比べようが無かった。
オハナが見て比べる相手が居なかった。
オハナと誰かを見比べて、どうこう言う人も居なかった。
只々時々思い出したかの様に敵(初めは蝶、後にカエル、最後は人)が来て、撃退するためには色々と出来るようにならないといけなかった。
それに前にやってたゲームではクランのメンバーの為に強くなろうとか、他の誰もやらないから自分がそれをカバーしなくちゃとか、自分には向いてないのにそんな事ばかり考えていた気がする。
そんな感じの事を訥々と話していった。
「ごめんね?言っててあんまり参考にならないね」
こういう時は年上っぽく何か気の利いた良い事の一つでも言えればカッコいいんだろうけど、生憎オハナはそんな話術は持ち合わせてない。
それでもホタルちゃんはゆっくりと身体ごと左右に振り、
「ありがとうございました!」
何かすっきりとしたような声で御礼を言ってくれたので、オハナの拙い話術でも何かしら得るものがあったのならと嬉しくなった。
しんみりとするのは此処迄、そこからオハナダンジョン新人さんによる自己紹介タイム!
「〖スケルトン〗のコテツ、近接戦闘なら多少はこなせるつもりじゃ。宜しく頼む」
短い自己紹介の後、コテツさんはオハナと眷属たちに向けて一礼してくれた。
オハナが拍手をすると眷属たちも同じように拍手、あれ?オハナって何かパワハラ上司みたいになってない?
オハナが拍手したんだから他も拍手しろなんて思ってないからね!?
「〖スライム〗のワヲです。ワ”オ”ではなくてワ”ヲ”です、大事な事だけれど二回も言わなくても皆はちゃんと覚えてくれますわよね?物理攻撃って言うのかしら?アレには強いみたいだけど、魔法は本当にダメダメだから宜しくお願いしますね?」
誰かに向けてハラスメントじゃないと言い訳をしていると、ワヲさんが穏やかな声で自己紹介していた。
ワヲさん、スライムの特徴言っただけじゃん。
なんてツッコミは無粋なので止めておく事にした。
「ホ、ホ、ホ、ホタりゅ……………です。〖イービルアイ〗です。〖魔眼〗とか視覚が強化されてて、よく見えましゅ――――――気配も隠せて敵からも見つかりにくいです。宜しくお願いします!」
皆の注目を浴びたからか、最初こそ緊張で嚙んじゃったホタルちゃんだったけど、最後の方は半ば自棄気味で大きな声で締めくくった。
うん、何か頑張れって応援したくなった。
新メンバーを加えて、オハナダンジョンもパワーアップ間違いなしだね!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます