第39話 効果は抜群?

こちらで予定してる採用人数はあと3人。

別に無理して採用する必要も無いんだけど、仲間の数は多い方が良いと何処かのオー〇ド博士も歌ってたもんね。

オハナもその意見には全面的に賛成、多少無理してでも仲間に引き込んじゃおう♪


強い人をヘッドハントしてダンジョンを強化するよりも、クソ雑魚から少しずつ強くなろうとする人を俄然オハナは応援するよ!!


そんな意気込みでダンジョン内の散策を再開しようとした時だった。


「「「「「うおぉぉぉぉぉ――――――俺たちの旗も受け取れぇ!!」」」」」


3号がこっちに来てた時に通り抜けて来たのかな?

結構な数の魔物プレイヤーの団体さんがオハナ目掛けて旗を手に突進して来た。



あ、でも強引な人はちょっと――――――。


「「「「「ぎゃぁぁぁ――――――!!!!!」」」」」


オハナの意思を反映させたかのように眷属たちが彼らを返り討ちにする。



「ワシらの出番なんざ無いんじゃねぇか………?」

「オハナちゃん凄いわねぇ!なんだか売れっ子アイドルさんみたいだわ!」


二人はもうダンジョンの一員として登録してあるので眷属の子たちから狙われることはない、その上オハナ眷属が倒した敵の経験値も彼らに流れていくようになっている。

オハナへの実入りが少なくなるけれど、ダンジョンマスターの権限でいつでもその経験値の割合を変更可能だから今はコテツさんとワヲさんに強くなってもらうために多めに受け取ってもらっている。



「雇い主におんぶに抱っこじゃ何か申し訳ねぇなぁ」


コテツさんが困ったような声を出し、眷属の子たちの活躍を見守っている。


「行く行くはワンフロア任せられるくらいになってくれれば良いので、今は気にしないでください」


パワーレベリング甚だしいけれど、二人とさっき戦ってみた感じ戦闘センスは悪くなかった。

レベルを上げ、進化しても二人ならその後も問題無く対処できるだろうと思っての事なので本当に気にしないでほしい。


「……………オハナちゃんの眷属ちゃんたちと比べたら私たちの階層が休憩所みたくなっちゃわないかしら?」

「……………ボーナスステージとか言われんようにワシらもやるぞ、婆さま!」


二人はさっきと同様息の合ったコンビネーションで、眷属の子たちの邪魔にならないように気を使って戦い始めた。

そうするともうアレだね、オハナがいよいよする事が無いの。

だから皆が頑張って戦っている間、無意味に反復横跳びなんてしてみる。


面白いくらいぬるぬる動けてしまって上体が全くブレない。

……………もしかしてこれって射撃体勢のまま移動できたりする?


ちょっと試してみよう――――――。


〖ファル・ファル〗になったオハナの眷属射出攻撃は蔓の先端に咲かせた蕾から撃ち出す、だから先ずは蔓の先端に蕾を咲かせた状態をキープ。

そして一歩を踏み出すと、何の問題も無く移動出来てしまった。

試しに壁を狙って撃ってみる――――――うん、ブレも無くて普通に狙った付近に着弾したのは良いんだけど…………………。


気になったのは、咲かせた蕾がオハナが特に狙わなくても勝手にうねうねと動いて常に敵に狙いを定めてるって事――――――。


…………………。

うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


此処に来てまさかの自動照準オートエイム――――――!!!!!?


もしかしてオハナの下半身――――――大きな蕾の部分が一手にその辺りをサポートしてくれてる?ありがたいけどチートじゃない?大丈夫?突然BANされたりしない?まさかのオハナ生活終焉の危機?


――――――あとで絶対サンガに念入りに確認しよう!!


絶望感に苛まれながらも何とか決意を固めていると、不意に何処からか視線を感じた。

その先を何となく見てみるけれど、オハナには誰も居ないように見える。

鍾乳石のような岩がごつごつあるだけで、何の変哲もない洞窟の風景が広がっていた。


………………………。


何となく、視線を感じた方に蔓を伸ばしてみる。

誰も居ないのなら蔓は今眷属たちと戦ってる魔物プレイヤーさんたちの方を向く筈だけど、蔓は何かに導かれる様に――――――ううん、何かを追い詰める様にぐんぐんと伸びて行き………………最終的にそこに居たのは、


「ふぇぇぇぇ………………――――――」


銃口(オハナの蔓に生えた蕾)にすっかり囲まれてしまって逃げ場を失い、今にも泣きそうになっている魔物プレイヤーさんだった。


大きな目玉の魔物――――――確か種族名は〖イービルアイ〗、〖ゴースト〗からの進化系だったかな?

主な攻撃方法は確か〖魔眼〗による状態異常、オハナと戦闘スタイルが似てる。


その姿はバレーボールくらいの大きさの目玉とそれを覆う瞼の様な薄い皮のみ、ちょっとグロい。

口も無いのに喋れるのはダンジョン設定のおかげなのかな?

ふわふわとサンガの様に浮かんでいて、オハナを見て完全に怯えちゃってる。


おっといけない、目を合わせちゃいけないんだった。

いつでも眷属を発射できる状態だけど、〖魔眼〗は目を合わせると致命的。

この状況さえもひっくり返されてしまうかもしれない。


「そんなに怖がらないで?別に取って食べようなんて考えてないから、落ち着いて?そうしないと――――――」


銃口(蕾)を突きつけながら言うセリフじゃないけど、無駄な抵抗はしないで欲しいんだよね。

オハナのこんなに近くまで気取られる事無く来られたこの人に対して興味が湧いて、ゆっくりと話がしてみたかったのもある。

けど今はそんなことよりも!!

純粋に此処迄怯えられたままなのはちょっとショックだったりした。


オハナ美少女化したのに!?下半身は今までにないくらい禍々しい魔物だけど!!


だから、大人げないなとは思いつつもちょっとだけ脅しをかける事にした。


「――――――眷属あの子たち皆こっちに来ちゃうよ?」


Q:オハナに今一番近い魔物プレイヤーさんは誰でしょう?

A:この〖イービルアイ〗の人です。


Q:現状、眷属たちが敵として認識しているのは?

A:トライアル参加者です。


はい、もうわかるよね?

この人の存在が認知されれば多分皆こっちに飛んでくると思う。

そして待ったなしでみんなから殺されると思うの。

オハナ一人にもこんなに怖がってるくらいだもの、眷属たち、コテツさん、ワヲさんの魔物オンパレードに耐えられるとは思えないんだよね。

そんなので何で魔物側に居るのか正直謎だけど。


「――――――!!!!!!!!!!!」


実際、声にならない悲鳴を上げてガタガタプルプル震えだしてるし。

かと思えば、そのまま白目をむいて地面にコテンと落ちてしまった。


えぇーーーーー!!!!?


なんかごめん…………ここまで効果があるとは思わなかったの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る