第37話 妖花の魔精オハナ、ダンジョン内部に~降~臨☆
どうもどうもこの度動けるようになりました。
新感覚、ひょっこり遭遇しちゃう系ダンジョンマスターのオハナです。
出遭っちゃうとどうなるのかって?
そんなの…………………言わなくてもわかるよね?
ハイ!言うだけ野暮ですよ~という訳で!
1,3号以外の眷属の皆を引き連れて六階層へと降りてきたオハナなんですが、
「―――――聴いてますかオハナ様ッ!!!?ダンジョンマスターであるオハナ様が降りて来ちゃってどうするんですか!?すぐに部屋に戻って引き篭もっててください!!」
サンガに滅茶苦茶怒られてました。
どうやらサンガたちサポートAIにはオハナ――――――ダンジョンマスターを探知する能力が備わっているらしく、六階層に降りてくるなり普通にお説教されていた。
「――――――そもそも!!今がトライアル中であるという事を忘れてませんか!?オハナ様が降りて来てしまったらオハナ様に旗を渡した早い者順に登用しなければならなくなるじゃないですか!!」
「それについては大丈夫だと思うよ?」
「何を根拠に――――――!!!?」
「だって、
そう言いながら後ろを振り返ってみると、眷属たちが堂々と頷いた。
そんな時だった。
「アンタがダンジョンマスターか!俺の旗を受けと――――――」
うん?
魔物プレイヤーさんらしき声が聞こえたんだけど、オハナはいつの間にか守る様に魔物プレイヤーさんの声が聞こえた方向の壁になった2号に視界を阻まれていて、その直後にオハナの傍らに居た4号が何か(おそらく魔物プレイヤーさん)に眷属弾を撃った音がして、2号が退いてくれた後には5号が落とし穴の近くで何か(きっと魔物プレイヤーさん)をぽいっと投げ捨て、一仕事終えた後のようにパンパンと手を叩いていただけだった。
うん。今、確実に一人殺ったね?
「……………………確かにそのようですね。はぁ~………」
サンガはわざとらしい溜息を吐いて、それ以上は何も言わずお説教を終わりにしてくれた。
サンガも思わず認め(呆れ)ちゃうくらいオハナの眷属は頼もしい、よくぞここまで大きくなってくれたもんだよ。
お説教が早く終わった事もあって説得?に協力してくれた眷属たちを順番に撫でてあげる。
2号、さっきはオハナを真っ先に守ろうとしてくれたね?
4号、だんだん狙いが正確になって来たね?
5号、魔物プレイヤーさんを投げ捨てられるくらい力持ちになったんだね?
3号…………………待って?何で此処に居るの?
順番に撫でて行った先に普通に3号がウキウキしながら順番待ちしてた。
いやまぁこの階層では頑張ってくれているし、撫でるくらい全然かまわないけどね?
構わないんだけど、魔物プレイヤーさんたちの相手はどうしたの?
気になってサンガに参加者さんたちの映像を見せてもらうと、3号の眷属たちが必死に魔物プレイヤーさんたちを抑え込んでいた。
こんな状況を放置してオハナの所に来ちゃうなんて、この甘えんぼさんめ。
「………3号、とりあえず早く戻ろっか?」
一頻り撫でてあげた後、ぽんっと花の部分を優しく叩く。
名残惜しそうに何度もオハナに蔓を振りながら、3号はテレポートで自分の眷属たちの所へと戻って行った。
その後も度々オハナの前に魔物プレイヤーさんたちが現れて旗を渡そうとして来たんだけど、その都度眷属たちがそれを阻止!
それを何度も繰り返していると、オハナは意図してないんだけどもうこういう罠と言うか、装置のように機能し始めてる気がする。
地味にもうレベルも上がっちゃってるし………………。
「オハナ様が正しく食虫植物のようになっておりますね?」
オハナが誘い込んで。
2号がそれを阻んで。
4号が仕留めて。
5号が処理。
うん、確かに。
けどサンガに言われるのは何か釈然としないなぁ。
楽ができるのは良いけど、オハナが此処まで態々降りて来たのは進化した状態での戦闘を経験する為だからまだ目的は達成できていないんだよね。
なので、
「次に魔物プレイヤーさんが来たら手出ししないで?ちょっとこの身体での戦闘も経験しておきたいから――――――」
オハナがそう言うと三人は揃って頷いてくれた。
そうして、オハナが次に出会った魔物プレイヤーさんは、あの1号が退却を選んだ二人組の魔物プレイヤーさん――――――スケルトンとスライムのコンビだった。
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