第34話 ごめんね3号、グッジョブ1号

四階層を守る3号とその眷属たち――――――3号に全部眷属たちの進化先を任せた結果、3号の眷属は全員〖メルバイト〗に進化してたりする。

だから狭く道が単純なダンジョン内では通路に一匹据え付けるだけで猛威を振るう。


それに加えて、これまであまりRPGに馴染みの無かった俺でも知ってる知識がある。


アンデッドの魔物ってあれでしょ?

回復魔法や回復アイテムでダメージ受けるんでしょ?


――――――という訳で、3号眷属にはHP継続回復フィールドを展開してもらった。

そしてその対象にトライアル参加者たちも加えて準備万端!


来るなら来いやぁ!!(ドヤ顔)





「HPが回復していくぞ」

「この階層は休憩所みたいな扱いか?」

「そのわりには敵の攻撃がエグいんだが?」


あっれー?どゆこと?

アンデッドのプレイヤーさんたちも普通に回復してるけど?


「オハナ様………………聖属性魔法は聖属性魔法、回復魔法は回復魔法で別系統の魔法なのです――――――ですからアンデッドの方々も普通にHP回復しますよ」


サンガの呆れたような声が中継映像から聞こえて来た。


「もっと早く言ってよ!?」


「ヘルプに記載しておりますので当然知っているものだとばかり………………」


そんなの読んでるわけないじゃん!!

あんなの必要最低限しか読まないってば!!


「オハナ様、これから先契約書など字が細かく記載された部分まできちんと読みましょうね?相手に促されるままハンコを押しちゃダメですよ?」


やかましいわ!!そんなこと言われなくてもわかってるし!!

AIにそんなことまで心配されてしまうオハナ、悔しいけど内心ちょっと反省した。



その後はと言うと、3号には悪いけど回復フィールド張った眷属を回収し、HP吸収フィールドに変更して再配置してもらった。

吸収攻撃はアンデッドにも有効だと解ったのは良かったんだけど、その間にもトライアル参加者さんたちは次々と上の階層へと駆け抜けてしまっていて、あれだけ頑張ろうと息巻いてくれていた3号の足を結果的にオハナが引っ張ってしまう形になってしまった。


3号、本当にごめん!!

絶対にもう一回リベンジさせてあげるから!!





そして魔物プレイヤーさんたちは1号が控える五階層へと進んでいた。

先頭を行くのは2号の〖黄泉地への誘い〗後にピンピンしていたスケルトンさん、相変わらずスライムを頭の上に乗せて悠然とダンジョン内を駆け抜けている―――――その足が急に遅くなる。


どうやら1号の〖不吉な踊り〗の効果範囲に入っちゃったみたい、思う様に動けなくて困惑した様子のスケルトンさん。

そこへ背後から1号が忍び寄り、その剣のような腕でスケルトンさんに斬りかかったんだけど、頭に乗っていたスライムさんがスケルトンさんを庇って代わりにダメージを受けた。

そしてスライムさんの影から飛び出してきたスケルトンさんの左右の手にはさっきスライムさんに庇われた隙に装備したボロボロに刃こぼれした剣が握られていて、それで斬りかかって来ていた。


1号はすんでのところでそれを躱し、睨み合うかのように距離を取った。

1号のステータスはどれも平均的に成長して行ってるから苦手なものが無い、近接戦も問題無くこなせるだろうけど二対一じゃ分が悪いよね?


それにスライムって確か物理攻撃に耐性があるんだよね?

1号には面倒な相手かも―――――……………。


さっきの3号の足を引っ張ってしまったこともあって、まだまだトライアル参加者さんたちは沢山居るみたいだし、この二人に構っている間にまた参加者さんたちが上の階層に行ってしまう。


そんな時、1号は二人に背を向け一目散に逃げだした。


1号も分が悪くて効率も悪いと判断したんだろうね。

うんうん、オハナは良い判断だと思うよ1号。

もっと簡単に数を減らせる相手だってまだ居るはずだからわざわざその二人に構わなくても良いよ。



決着をつけるような雰囲気からの突然の1号の逃亡に、スケルトンさんもスライムさんも呆気に取られたのか追いかけてくる事も無かった。

そのおかげで1号は充分過ぎるくらいにトライアル参加者さんたちの数を減らしてくれた。

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