第28話 絶妙なるオハナダンジョン
「うわぁぁぁぁぁぁぁ――――――…………!!!!!」
あ、また誰か罠に引っかかったっぽい。
今日はどこぞの冒険者の悲鳴からお届けしましたオハナです。
眷属を通じて聞こえて来た悲鳴に、オハナは本当にダンジョン攻略になんて乗り出すプレイヤーさんが居たんだと変に感心している次第です。
ストーリーを進めなさい――――――って言ってもオハナも物語の本筋を知らないんだけど、だって動けないから蚊帳の外なんだもの。
「これで今日だけでもざっと50人は脱落しましたか、そして未だ誰一人としてオハナ様の下まで辿り着けた者は居らず………………オハナ様?本当に進行不可能な罠を設置しているわけではないんですよね?」
サンガが疑いたくなる気持ちもわからないでもない。
だってランダム生成で創ってもらったダンジョンに、オハナが適当に罠をしかけて出来上がり~♪――――――な作成時間1時間も要していない、とってもお手軽に出来たオハナダンジョン。
最初に飛ばされたオハナの居る洞窟を10階層として、階段状に段々とフロアを登っていく仕様(外側からは結構な高さの山脈に見えているらしい)にしてみたんだけど、何故か誰もやって来ないんだよねぇ――――――なんて、白々しいことを言ってみたりする。
理由なんてとっても簡単♪
いつもの様に、また眷属たちが頑張ってくれているおかげ………その一言に尽きる。
オハナの眷属っていうだけでコストは通常の魔物よりも格安だし、何よりダンジョン内は洞窟なので1、2、5号は〖根力強化〗の恩恵で壁や天井を走って自由に移動できちゃう(最初見た時は驚いた)し、3、4号にしてもダンジョン内であればテレポートのように移動できるので背後や天井から狙撃・奇襲ともうみんな揃ってやりたい放題。
それこそ皆新しいおもちゃを得た子どものように元気いっぱい、そしてそれを止めずに見守るのが安定のオハナライフ。
そうそう、そのおかげでダンジョンに引っ越して来てすぐに、もう無理だと諦めかけていた悠々自適なオハナライフを再開する事ができていた。
「オハナ様の眷属たちは皆賢いですね、自分たちがどの様にすればプレイヤーが嫌がるのかを熟知しているようです」
ねえサンガ?この親にして――――――みたいな、その視線は止めよう?
地味に傷つくんですけど?
そんな視線から逃れるために少し気になっていた事をサンガに訊いてみる事にした。
「そういえば第一位の人と第二位の人のダンジョンってどんな感じ?」
そもそもその二人とオハナは多分面識も何も無い。
オハナ以上に殺戮した人たちが二人も居た事にちょっと驚いて、興味が湧いたのも確かだ。
そしてオハナたちよりもダンジョン運営が上手く行ってるなら丸パクリ――――――いいえ、真似を――――――…………さ、参考!!そう!参考にさせてもらおうと思っただけですよ?ホントだよ?
「そうですねぇ……………第二位の御方の方は未だしも、第一位の御方のは果たしてダンジョンと言って良いモノかどうか――――――…………」
何々?そんな言い方をされたらオハナ気になります!
オハナのワクワクしている様子を察して、サンガはぽつぽつと話し始めた。
「第一位の御方のダンジョンですが、まず入って即座にボス部屋………つまりその第一位の御方が待ち構える部屋があります」
何ソレ!?そんなのアリなの!?
「円形闘技場のような充分な広さの部屋ですね、そこに入って来た冒険者たちをたった御一人で返り討ちにしています。闘技場の観客は全員魔物で、回復、支援などを行う者たちばかりです」
…………無茶苦茶だなぁ。
開幕速攻でダンジョンの主がバフ全開で殴り掛かって来るんでしょ?
まだ戦闘大好きサイ〇人が居たよ、しかもそれが第一位って――――――。
「もう第一位は良いや…………それで?第二位の方は?」
「第二位の御方のダンジョンは謎解きが多く用意されているようです。それに加えてどの階層もコスト最大まで他の魔物プレイヤー様や罠が巧妙に配備されていて、何と言いましょう………………進むのにとても時間がかかるのです。それでいて一度外に出れば再び仕掛けを一からクリアしなければならず…………」
あー、何となくわかった気がする。
謎解きも解けると楽しいんだけど解けるまでイライラするし、時間が経てば経つほどやる気は萎えていく、まして回数を重ねれば重ねるほど作業感が増す。
そもそもそんなに長い時間プレイして居られる人がどれくらい居るんだろう?って話だよね。
「ですのでオハナ様のダンジョンは適当に作成したとは思えない程絶妙なラインで機能しているのですよ?第一位の御方程極端なものでも無く、第二位の御方程面倒な仕様でもない。序盤である最下層に居るプレイヤー様には眷属の方々もあまり手出しをしないようにして、それに味を占めてのこのこと上層に上がって来たプレイヤー様を主なターゲットにしているようです」
ちょっ―――――サンガ、言い方。
それじゃまるでオハナがそうさせてるみたいじゃない!!
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