第20話 踊る1号、破壊の2号、職人3号・・・?

遠距離攻撃をオハナがマンドラゴラで迎撃し、合間に狙撃。

1号と2号も奮戦してくれたおかげで残ったのはリーダーっぽいのとそいつを守っていた取り巻き三名だけになった。


みんな一様に青褪めた顔をしていて、剣を持つ手が震えている。


おぉ勇者よ、集団でなければ碌に戦えもしないだなんて情けない……………今回はホントに情けないな。


とりあえず1号には踊りを再開してもらう――――――急に踊り始めた1号にビビるプレイヤーさんたち、これで運も敏捷性も下がった筈だよね?


じゃあまずは…………まだオハナに向けて果敢に剣を向けているキミに決めた♪

2号!〖ブレイク〗いっけぇ~!!


2号の腕のような根っこが光り始め、へっぴり腰で剣を構えるプレイヤーさんのその剣を殴りつけた。

金属が弾けた音と共に、剣の破壊に成功する。

壊された剣が光と成って消えていく。



「な――――――!?」


そんな光景にプレイヤーさんたち絶句――――――うんうん、良い表情してるぅ。

じゃあ次はその高そうな鎧いってみよーか。


2号の〖ブレイク〗パンチが今度は鎧に炸裂する。

同じような音と共に鎧が破壊され、光となって消えた。


「あぁ!!?俺の鎧が!?高かったん――――――」


もう高そうな装備品は見当たらないので、ヘッドショットで退場願う。

オハナの剥ぎ取り(装備破壊)チャンスはまだまだ続く。


オハナのやりたい事が解ったのか、自殺しようとしたり、装備を解除しようとするその動きをオハナの蔓で縛り上げて妨害する。

その間に2号がせっせと身動きできない取り巻き二人の高そうな装備品だけを破壊していき、戦場に装備が破壊される音が何度も響く。


残るは――――――。


「くそっ!!放せよ!!装備品を壊すなんてふざけんなよ!!」


…………事務作業的にオハナを殺す指示を出していたリーダーっぽい青年のみとなった。

何だか一気に若返ったというか、中の人がキッズになっちゃった感じだけどそんなのサクっと無視。

ゲームは国境も言語も年齢も超えるものだからね?

煩いのでとりあえず蔓で往復ビンタしておこう。


それじゃあ2号!待たせたね?

コイツの全部の装備を壊すまで〖ブレイク〗連打!!


「やめろぉ――――――………!!!!!!!」




アクセサリまで一つ残さず破壊し尽して村人と変わらない姿になった青年。


ふ~………ちょっとだけ気が晴れた。

これに懲りたらもう二度とオハナに向かって……………来る気満々だね。

恨みの籠った眼でめちゃくちゃ見られてる。


あのままオハナが負けてたら立場は逆だっただろうし、ゲームが違えば魔物から素材を剥ぎ取ったりするわけでしょ?

それなら――――――オハナに負けた場合は今装備してるもの全部を失うくらいのリスクを背負わなきゃ。

殺したって明日にはまた参戦可能なんだし、これくらいのペナルティを負ってもらわないと粘着されても面倒だもの。


「くそっ!くそっ!お前!覚えたからな!!友だち全員呼んで明日絶対殺してやるからな!!」


相手にするのも馬鹿らしくなってきたなぁ……………。

試しに彼を拘束していた蔓を緩めてやる。


青年は即座に立ち上がると、別の武器を装備してオハナに斬りかかろうとしたのだけれど……………、


「ごふっ!!」


ひっそりと両足を絡めとっていた3号の蔓に足を固定されて、その場で顔面から地面に突っ込んで行った。

うん、此処に来て地味に3号が良い仕事したね。


その隙に、彼が新たに呼び出した武器を2号が破壊。

3号の蔓とハイタッチして、ガッツポーズ。


何だか虐めてるような気になって来たので、そのまま青年を開放してあげようかと思い、蔓で「あっち行け」という風にジェスチャーしてみる。


1号、2号、3号にも手出ししないようにして、そのまま青年をシッシッと追いやる。

青年は警戒して何度も振り返りながら離れると、一気に駆け出して充分に距離を取ったところで、


「今更助けたって無駄だからな!?」


振り返って何やら叫び始めたのでイラっとした。

そのまま逃げて行けばいいものを…………よっぽど狙撃されたいらしいね?


「明日絶対にぶっ殺し――――――」


まだ悪態をついていた彼を狙撃しようと狙いを定めた処で、彼の頭に風穴が空いた。

適当に誤射したのが当たったのかと思ったけど違った。

3号の隣で1号と2号が手を叩いて…………歓喜してる?


……………もしかして今のは3号が殺ったの!?

確か狙撃は持ってない筈だよね!?綺麗に眉間を撃ち抜いてたんだけど!?


内心戸惑いやら驚きやらで混乱しながらも3号を視界に納めていると、3号が蔓の先端と先端をツンツンと合わせて何やらもじもじし始めた。


もしかしてだけど……………褒めてほしいのかな?

そんな風に思った俺はオハナの蔓を動かして、棘の無い部分で3号の花を撫でてみる。3号は何も抵抗せずに撫でられるがままになってるけど大丈夫だよね?


―――――恐怖で何も出来ずにいるとかじゃないよね?


あまりにも反応が薄いのでもう良いかな?と撫でていた蔓を離すと、3号の蔓がガシッとオハナの蔓を掴んで再び花の上へと戻される。

どうやらまだ満足していただけないらしいのでまたしばらく撫で始める。

そんな光景を見ていた1号と2号が「自分も撫でて!!」とでも言っているかのように主張し始めた。


…………いや、良いんだけどさ。

オハナはキミたちに結構酷い事強いてると思うんだけど、どうしてそんなに好感度高いの?好かれる理由が解らないからちょっと怖いんだけど?

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