第19話 相殺、マンドラゴラガード!!
「迂闊に密集するな!的にされるぞ!」
敵集団のリーダーっぽい青年が指示を出し、他のプレイヤーたちはそれに従い微妙に距離を取り始める。
今すぐにでも邪魔なリーダーっぽいのをヘッドショットして昇天させてやりたいけど、オハナの狙撃の餌食にならないように仲間が守っている。
1号や2号を向かわせても、絶妙に距離を取られて逃げられてしまう。
遠距離からじわじわ殺しにかかってくるって事ね?堅実に殺しに来るのって一番面倒くさい!!それに事務作業のようにつまらなそうなのが見てて腹立つわ!!
オハナ一体に随分と手間暇かけてくれる。
もっと功を焦ってくれる相手なら楽だったのに……………。
このイベントルールでは強いプレイヤーを倒そうと、弱いプレイヤーを倒そうと撃破数は変わらない、だから主戦場は有象無象でごった返している。
きっと今頃あっちでは獲物の奪い合い、横取り合戦が激化しているだろうってのは想像しやすい。
矢や魔法がオハナに襲い掛かってくる。
聖域では矢くらいなら継続回復フィールドでダメージを帳消しに出来た。
だけど魔法は…………初級の火炎魔法である火球でも正直想像していたよりもずっとダメージが入る。
これが弱点を突かれるって事か――――――。
「効いてるぞ!!このまま削り続けろ!!」
こっちも狙撃で応戦し、1号と2号の狙いをリーダーっぽいのから遠距離攻撃してくる敵を優先的に攻撃する様にしてるけど、継続回復フィールドの効果が追いつかない。
オハナも狙撃で確実に敵の数を減らしているんだけど、まだまだ手数では敵が圧倒していた。
そりゃ当然か、いくらオハナが毒を与えようと吸収してダメージを与えようと、魔法でちょちょいっと回復できちゃうんだもんなぁ。
イベントって事でアイテムもいつもより多めに準備してるだろうし……………。
悔しいなぁ…………此処が聖域だったなら、こんなに簡単に負けたりしないのに…………………聖域で強い魔物ってのもどうなの?って話だけどさ。
うん。まだこんな事考える余裕はある。
それならば出来る事をやるだけ、潔く負けを認める?華々しく最期を?悪あがきするのがダサい?
冗談じゃない!!
頭を使え、藁をも掴め、足掻いて足掻いて、せめて目の前に居るこいつらにオハナの面倒くささを死力を尽くして刻みつけてやる!!
もう二度とオハナに向かってくる気が失せるくらいに!!!!!
オハナを燃やそうと襲い掛かってくる火球の魔法、それに向けて抜きたてホヤホヤ―――まだ〖黄泉地への叫び〗を発動している最中のマンドラゴラをヤケクソで放り投げる。
〖黄泉地への叫び〗発動中のマンドラゴラは既に死亡扱い、それでもスキルを発動している間は実体があり、スキルを発動後に消えて居なくなる。
そんなタイムラグを利用した一種の無敵の盾、上手くすればその間に受けた攻撃は………………うん、どうやら相殺されるらしい。
火球はマンドラゴラに当たって爆散し、オハナにはノーダメージだ。
幸い3号眷属のマンドラゴラはレベルもまだ低いから復活までの時間が短い。
魔法も発動してから次に撃てるようになるまでに時間がかかる。
尚も襲ってくる火球をマンドラゴラをぶつけては相殺していく。
「そんなッ!?魔法をそんな方法で防ぐなんて!!?」
さっきまで事務的な作業のようにオハナを殺しにかかっていた敵のリーダーも、明らかに焦りを見せ始めた。
ダメージコントロールを崩された今の気分はどうですか?
残念だけどお前が描いた――――――予想した未来とは違う結果になりそうですよ?
俺よりもこういうゲームに詳しくて勝ったつもりだったんだろうけど、マンドラゴラに関してはお前よりもオハナの方がよく知っているんだよ。
可愛いオハナをリンチしてくれたお前らは絶対に許さんし、逃がさんからな!!
此処からは事務作業じゃなく、がっつり肉体労働の時間だ!!
「誰か範囲攻撃火炎魔法を使えないのかッ!?」
「無茶言わないでください!そんなの使おうとすれば発動まで時間がかかり過ぎて狙い撃ちにされますし、それに今残っているメンバーも火球で消耗してMPが足りませんよ!?」
おや?仲間割れですか?いいぞもっとやれ!
その間にもキミらの仲間は星になっていくからね?
それに良いこと聴いちゃった。
MP不足?そういえばまだMP回復ポーションってレア扱いで、主な入手先が”課金しろ”って感じの代物なんだっけ?
さすがにそんなアイテムを数揃えるのは難しいよね?
神運営に救われたわ、運営マジ神w
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます