第8話 スキル 黄泉地への叫び 発動!!
はじめまして、私の名前はプリム。
このゲームを始めたばかりの新人プレイヤーで、種族はエルフです。
こういったゲームは初めてで、まだまだ解らないことだらけですけど冒険者として頑張ります。
今日は初めてクエストというものを受けてみました。
今までずっとチュートリアル?と言うのをしていて、アレをしてコレをしてと言われるがままにゲームを進めてきましたが、それもようやく終わりました。
これで晴れて私は自由の身、こんにちは冒険者生活。
そして受注したクエストが〖世界樹周辺の草むしり〗です!
何故か種族がエルフで女性のプレイヤー限定のクエストでした。
え?討伐系じゃないのかって?
皆さん知ってました?
敵って動くんですよ?
チュートリアル?では動かなかったのに、意地悪な仕様ですよね?
それに町から離れるほど強い魔物が出て来るんです。
何度も死んで生き返っていると、連れ戻される地点に居る顔見知りとなった神官さんが「採取系か雑用系のクエストが良いよ?」と教えて下さいました。
それに世界樹の生えている聖域という場所には魔物は存在しなくて安全なんだそうです。
そしてやって来ました世界樹~♪
その周囲には私の腰くらいまで草が伸びていて、確かにこれでは折角世界樹が生えている美しい景色なのに美観的によろしくないでしょう。
私はクエストを受注した時に貰った軍手を装備して、ブチブチと草むしりを開始したのでした。
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あの子は、種族はエルフかな?
金髪緑眼、肩まである髪をサラサラと靡かせながら、鼻歌を歌ってオハナのいる方へと近付いて来る。
年齢は高校生くらいか?まぁ歳なんて幾らでも誤魔化せるだろうからアバターの容姿なんてアテにならないけど、アバターで言えば中々の美少女だった。
けど、
ヤバい、ヤバい、ヤバい。
冒険者がこっちに近付いて来るぅぅぅ……………。
そして何故か彼女は軍手を装備してオハナの周囲にある草をブチブチと抜いて行ってるじゃないか!?
このままだと抜かれる!?
鼻歌交じりに殺される!?
何か、何か方法は無いのか?
自爆攻撃最初のターゲットが見るからに初心者の女の子だなんてのも気が引ける。
初心者狩りなんてするのは俺の趣味じゃない。
けれど無情にもオハナの周囲の草は取り除かれ、エルフの彼女がじーっとこちらを見て固まっている。
わさわさ、オハナは悪いマンドラゴラじゃないよう。
「…………………」
何か言って!?お願いだから!?
彼女はそーっとオハナの花弁に手を伸ばすと、その感触を確かめる様にさらさらと指で触れて来た。
「色合いは毒々しいですけど聖域に生えてるんですもの、きっと良い植物なんでしょうね」
いえいえオハナは何故か聖域に生えちゃった魔物ですけど?
オハナの事を魔物だと認識できていないのかな?
何だったらこの辺りにいるレア素材を独占してますけど?
それに植物に良いも悪いもあるの?
様々な意見が出て来るが、何一つ言葉に出来ない。
そんな時だった。
彼女を取り囲むように、下卑た笑顔を貼り付けた男たちが五人何処からともなく現れた。手には武器を持っているが、NPCである事を示す黄色のマーカーが頭の上に浮かんでいた。
NPC?それも突然現れたって事は何かのこの子が受けたクエスト関係か?
何を受注したのか知らないが、この状況に見るからに怯えている彼女には予想外の展開のようだった。
「来ないでください!」
ようやく危険を察知したのか、叫びながら雑草や土を手当たり次第に投げつける彼女。
当然そんなものでダメージは入らない。
すると、錯乱状態の彼女はオハナの草部分に手をかけ、引き抜こうとしてきた。
ちょっと待てぇ!?
何オハナを巻き添えにしようとしてるの!?
助けられない以上、死ぬなら一人で死んでくれよ!?
そんな俺の声も届く訳なく、彼女は勢いよくオハナを引き抜いた。
そしてその瞬間――――――。
〖スキル 黄泉地への叫び:D発動条件を満たしました〗
〖オハナによるスキル黄泉地への叫び:D発動〗
「!”#$&’{‘*}?――――――!!!!!」
言語化しにくい音声、オハナの断末魔を最後に、初めての死亡を経験するのだった。
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