第7話 思わぬざまぁ
”聖鋼蝶”を安全に経験値として得られるようになったオハナ。
最近になって初めて”聖鋼蝶”がアイテムをドロップする事を知った。
その名も”聖鋼蝶の羽”――――――。
アイテムの説明文にしてもそのまま”聖鋼蝶の羽”としか表記されていない。
そんな良く分からないアイテムがオハナの所持アイテムボックスにどんどん溜まって行く、あまりにも多く溜まるもんだから攻略まとめサイトでこのアイテムの使い道を調べてみた。
最悪何処かで売り飛ばせば良いや、そう思っていたんだけど………………。
『やっと聖鋼蝶見つけた、けどアイテムドロップしなかった(´;ω;`)』
『ドロ率う〇こだからなーアレ』
『本当に落ちるのか?』
『俺一月探し回ってようやく1ドロ(´;ω;`)…………』
『乙w』
――――――みたいな書き込みが殺到していた。
………………もしかしてさ?みんなが聖鋼蝶居ない居ない言ってるのってオハナのせい?
オハナがただでさえ出会い難い聖鋼蝶を絶滅危惧種にしちゃってる?
ヤバいっ!バレたら殺される奴やん!
俺はそっとサイトを閉じ、見なかった事にした。
だってどうせオハナ動けませんし?逃げれませんし?
聖鋼蝶はオハナにとって貴重な収入源だから、手放す気は無い。
いざという時の為により一層運に極振りする事を誓った。
そして今日もオハナ活動するためにログインする。
相変わらずの光景だけど眼に優しい光景は癒される。
そうしてほっこりしていると、視界の隅で何かが動くのが見えた。
よーく見て見ると、そこには保護色で判りにくかったが一匹のカエルがいた。
カエルはこちらをじっと無感情に見て来ている。
何だ?お前も聖鋼蝶と同じくオハナを攻撃しようとしてくるのか?
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
そうして身構えてみるもオハナは自分からは動けない上、持ってるスキルも受け身なものばかり――――――今更になって自分から攻撃する手段がまだ無い事に気付いて絶望した。
けれどいくら待ってもカエルはじっとこっちを見てるだけで、何もしてくる気配は無いので取りあえず無視する事にした。
そこへいつもの様にひらひらと聖鋼蝶が飛んできて――――――、
しゅっ――――――!!
一瞬にしてその姿が消えた!?
何処へ消えたのかと視界を切り替えて探してみるけれど聖鋼蝶は見えない。
代わりに、カエルの口がもそもそと動いていて、良ーく見ればその口の端から聖鋼蝶の羽がはみ出ていた。
カ~エ~ル~ぅ……………テメェの仕業かぁぁぁぁぁっ!!!!!
オハナの貴重な経験値を横取りするとは良い度胸だ!!
名前も知らんカエル!テメェはオハナの明確な敵だ!!
そう思うと、そのカエルの無表情さもオハナの事を嘲笑っているかのように見えてくる。
そこに、またひらひらと聖鋼蝶が飛んできて今度こそは――――――。
しゅっ――――――!!もそもそ…………。
カエルぅぅぅぅぅぅ!!!!!!
回転寿司で狙っていた皿を自分のところに来る前に取られたような最悪の気分だ!!
その後もオハナに誘われて引き寄せられる聖鋼蝶を、カエルは大食いチャレンジのようにひたすらオハナの目の前で掻っ攫っていった。
そして満腹になったのか、オハナに向けてげっぷするように一鳴きすると何処かへ消えて行った。
それからと言うもの、そのカエルは此処をエサ場にした様で毎日現れては聖鋼蝶を食い荒らして何処かへ消えていった。
元々数の少ないらしい聖鋼蝶、カエルに奪われ続けてオハナの成長は止まったも同然だった。
オハナ生活を始めて、こんな屈辱は初めてだ………………。
けれどオハナは自分から攻撃する手段を持っていない。
どうする事も出来ずに泣き寝入りするしかなかったのだけど…………………。
ある日の事、何となく見た攻略まとめサイトで、
『この間聖鋼蝶が全然見つからなくてむしゃくしゃして近くに居たホーリートードを倒したら聖鋼蝶の羽ゲットした』
『マジで?』
『もしかして聖鋼蝶をここの処見かけなかったのって』
『そいつが食ってたって事?』
『そうだと思う、これで世界が平和になる』
『けど元々のドロ率の悪さは…………』
『乙w』
最後の乙wのやつ何かムカつくな……………。
でもホーリートード?もしかしてあのカエルの事か?
気になった俺はログインしてみると、カエルはその日から二度と現れなくなった。
カエル……………オハナの代わりに犯人になっててざまぁ!!
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