第5話 思わぬ刺客との激闘

特報!!


遂に出来ました!


全魔物プレイヤー様待望の〖経験値ポーション〗!!


更に!


キャンペーン中の今だけ!!

今後の進化に必要になるであろう素材アイテム詰め合わせセットが付いて来る!!


そしてそして――――――なんとっ!!


経験値ポーションが毎日一個アナタに届く、お得なマンスリーチケットも同時販売!!


この機会に是非是非購入して、他のプレイヤーさんたちに差をつけちゃいましょう!






いつもの様にオハナとして草活動中。

お知らせが珍しく届いていたので確認するとさっきのメッセージが表示された。


その名も〖魔物プレイヤーさん応援キャンペーン〗だそうです。


ふぅーん……………………。

こうして見ると、なんか通販番組みたいだなー…………………。


うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


欲しいっ――――――!!


オハナを早く強く進化させてあげたい――――――!!


他のプレイヤーさんたちに差をつけたい――――――!!


オハナの場合、今までの差が埋まるだけかもしれんけど――――――!!



けど俺はまったりとプレイするのだと誓ったはずだ!!


そもそも我が家最強の母に課金を禁止されている、バレたら殺される…………。


『バレなきゃいいんだよ……………』


俺の頭にそんな悪魔的な囁きが響いて来る。

くっ…………これは俺の弱さが産んだ悪魔のささやきか!?

やめろっ!俺を誘惑するなぁっ!!オハナにそんな経験値ポーション不必要な肥料を与えるつもりなんてないんだ!!


負けられない!ここは早く天使のささやきを聞いて踏み止まるんだ!!


『一万円くらいなら…………良いんじゃないかな?』


天使――――――ッ!!!!!!!


そうか、天使が言うんだもんな?仕方がないよな?一万円くらいなら…………って、ハッ!違うんだ天使!!そうじゃないんだ!!

俺は踏み止まらせるささやきが欲しかっただけなんだ!!

決して背中を押して欲しかったわけじゃないんだ!!


嬉しかったけど――――――嬉しかったけどっ!!


俺はいつの間にかポチリそうになっていた購入ボタンに伸ばされた指を引き留める。

そして開いたばかりのお知らせを閉じて、即行で削除した。


けれど刺客たちからの誘惑はそれだけでは無かったんだ………………。

オハナの視界の片隅に見える〖お得なキャンペーン実施中!!〗というやたらと目を引くポップが存在していた。


ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


俺は急いで光合成ノルマを終えると、即座にログアウトして誘惑を断ち切った。

それでもその後何度も悶々としては、ログインしようとする手を必死で止める。


チクショウ………そもそもキャンペーンって言うのならくれよ!!

一本くらいくれよぉぉぉぉぉ!!!!!


俺は眠れぬ夜を過ごした。

大袈裟だと笑わば笑え、つーかいっそ殺してくれ。

廃課金から社会復帰するのは並大抵じゃないみたいだ……………。

あ、けど無課金だから偉いってわけじゃないからね?

課金者に謎のマウントとるのは止めようね?


その後暫く、というかキャンペーン中の間ずっとなんだけど。

ログインしては光合成を連続使用して速攻でログアウトするのを繰り返していた。


キャンペーンが終了し、ポップも消えたのを確認してホッと一息。

オハナ、ごめんな?

未だにレベル20への道は険しいけれど、俺はこのファンタジーの世界では不便さを楽しむと決めたんだ。

だからもう少し待っててくれ、必ず異端進化させてやるからな。

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