第3話 しばらくまったりプレイ

それから俺はダイブしてはスキル光合成を連続使用しては落ちるというのを繰り返して一か月が過ぎた。

そしてついに――――――。


オハナはレベルアップしました。


キターーーーーー!!!!!

ようやくオハナはレベル2になった。

勿論ステータスポイントは運に全振りだ!!


プレイヤー名 オハナ

種族     マンドラゴラ

レベル2    HP2/2

        MP8/8


筋力:G- 敏捷性:G- 魔力:F- 

知力:F- 防御力:G- 運:F


状態     日照不足


スキル 黄泉地への叫び:D

    光合成:B


そう簡単にステータスランクは上がってくれないか…………。

それでもHPが2になってる、だからどうしたクソ雑魚じゃんと笑わば笑え!

オハナは頑張って強くなってるんだ!野に咲く花の様に!


魔物の花だけどな!!



こうして長い間此処で過ごしているけど、此処は年中穏やかな気候なのかもしれない。場所によっては雪山だったり砂漠だとかもあるらしい。


つまり何が言いたいのかというと、今俺が何処に居るのか全く分からないって話。


攻略サイトやマップも確認するんだけど、そもそも世界樹ってのがマップに載ってない。

オハナはもしや実装前のマップにバグで転移してしまったのだろうか?

…………………運営に報告する?

いやいや、こんな安全地帯でのんびりまったりできるんだ。

わざわざ言う必要無いだろう。

一人プレイしてるゲームのジャンルが違うような気がしないでもないが、どう楽しむかはプレイヤー次第だもんな。


あー今日ものどかだなぁ…………………。


……………………………。

うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


はっ!あまりに何も起きないから発狂してしまった。

ついつい何かを求めてしまう欲しがりさんな俺、まだまだ癒しが足りてないのかもしれない。


スキル 聖属性耐性:F-を獲得しました。


突然何か生えたw

え?スキル?聖属性耐性?って事は何か?やっぱ世界樹なんてものがある此処は聖域みたいな場所なのか?

ダメージこそ入ってないけどずっと影響受けてたって事?

え?オハナこのままじゃ浄化されちゃう?クサイ〇ナからキレ〇ハナになる?


………………悪くないんじゃね?寧ろ大歓迎じゃね?


まぁ貰って何か不都合があるわけで無し、そもそも此処から動けないんだしどうしようもないんだけど。

このまま光合成してログアウトするのも何となく味気なくて、マップを確認。

せめてマップに現在地の場所が表示されればなぁ………………。


現在地 神聖にして邪悪なる者全てを通さぬ聖域


ヤダー何これ?現在地教えてくれたんですけどー?

そして邪悪なるもの全てを通さぬって、魔物マンドラゴラ入ってますけどー?

そんでもってやっぱここ聖域なんですけどー!!


オイオイどういう事だよ?

ソロプレイというかぼっちプレイ?最早アローンプレイ街道驀進中だっていうのに、ツッコミに忙しいっていうのは…………。

このゲームをプレイしてて、そんな奴オハナだけだろ。



ログアウトしてネットで現在地を調べてみたら、どうやらオハナの生えてる場所は人間側――――――つまり勇者側に属する人間たちの本拠地より更に奥にある聖地らしい。


この世界の人間側は統一国家となっていて、勇者、魔王そして一応存在するメインの物語を展開する登場人物、それぞれの種族長たちは皆AIを搭載したNPCだ。

じゃあ運営は何処に居るのか?

この世界での”神”を名乗っているのが運営だ。

自分から神運営を名乗るなんて凄い自信だよね?


それで、オハナの居る聖域は人間側を選んだ際のエルフ、フェアリー、ドライアード族の初期設定位置らしい。

魔物はランダム配置なのに人間側は固定なんだそうだ。


気になったのがオハナとドライアード族の何が違うのか?だ。

調べた結果マンドラゴラは魔物、ドライアード族は精霊って扱いらしい。

割とざっくりしてる。

魔物が精霊になる事は出来ないし、その逆もまた然り。

つまり、オハナは完全に孤立無援の場所に放置された魔物ってことになる。


なんか知らんが俺の中でオハナに対する愛着を今まで以上に感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る