聖域に生えたマンドラゴラ、名はオハナ

第2話 世界樹が邪魔だ!!

真っ白な光に包まれて、気が付くと草原のど真ん中に居た。

さわさわと揺れる草に紛れて、俺――――――オハナの頭?部分にある草も揺れるのを感じる。


ほー…………これがファンタジーの世界か……………。


そこには廃ビルも壊れて棄てられた車も、コンクリートの床も壁も無ければ銃声や怒号、爆発音も聞こえない。

見える範囲は全て大自然……………目に優しい。


するとチュートリアルが開始され、


”まずは自分にステータスポイントを振り分けてみましょう”と表示された。


その前に俺は今オハナが持ってるスキルの確認を行う事にした。


プレイヤー名 オハナ

種族     マンドラゴラ

レベル1    HP1/1

        MP5/5


筋力:G- 敏捷性:G- 魔力:F- 

知力:F- 防御力:G- 運:F


状態     日照不足


スキル 黄泉地への叫び:D

    光合成:B


と、ステータス画面が表示された。

色々とツッコミたい所はあるけど、それらは後回しにして、まずはスキル欄にある黄泉地への叫びというスキルの詳細を表示した。


スキル 黄泉地への叫び

引き抜かれて死亡する直前にだけ発動可能。

即死効果のある叫び声を上げる。

その即死効果はスキル自体のランクとステータスの〖運〗のランクに依存する。


つまり運のランクを上げれば即死攻撃のスキル成功率が上昇するって事か。

でも引き抜かれて死亡する直前にだけしか使えない?

つまり自爆攻撃?Why?バカなの?だってデスペナルティは普通に喰らうんだろ?

攻撃手段が自爆攻撃のみとか意味が解らない。

とりあえず俺はステータスポイントを運に全振りした。

少しでも確率が上がるなら上げといた方が良いだろう。

オハナがこの先誰と戦うのか知らんけど。


そして………………ステータスがなんかパワプ〇っぽいんだけど?


あと、状態 日照不足って何さー!?


俺は即座にヘルプを呼び出した。

思えばゲームをして初めてヘルプを読んだかもしれない。


えー何々?日照不足…………植物型魔物にある状態異常の一つ、スキル光合成によって得られる経験値が減る……………?


そんな気はしてたんだが、やっぱりバッドステータスじゃねーか!?


対策としては日当たりのよい所へ移動してください。

…………待ってくれ、まず動けないんだが!?

そう今のオハナはマンドラゴラ、身体?の半分以上は土の中で身体も動かせない。

唯一視点だけは動かせるらしく、オハナを日陰の中に追いやっているのはすぐ傍に生えていた一本のとても立派な大樹だった。


日本なら御神木――――――なんて崇められてても不思議じゃない堂々たるその立ち姿は傍に生えてるこっちの方が申し訳なくなるレベルだ。


その大樹が目に入ると説明文のようなテロップが表示された。


〖世界樹〗


世界樹!?何でオハナはそんなところからスタートしてんの!?

世界樹ってもっとこう神聖な?場所に生えてるもんじゃねーの!?

オハナは魔物なのに世界樹の根元にひっそりと生えていた。

まあでも生えちゃったものは仕方がない、ランダムポップの魔物だもの。


太陽の角度が多少変わった程度でオハナは日陰から抜け出せそうにない。

こりゃあ確かに修羅の道だ……………完全に詰んでるじゃないか。


一日三回使えるスキル光合成を試しに使ってみる。


スキル光合成を使用。

経験値10獲得、状態日照不足により経験値9マイナス。

オハナは経験値1獲得。


…………………。

うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


はっ!いかんいかん、絶望感のあまり発狂してしまった。

つい今までの癖で先へ先へ進めたくなってしまう、落ち着こう。

これぞまさにどうぶつの〇的なスローライフゲームでは無いだろうか?やったことないから知らんけど。

リセマラ?するわけがない!それをすれば本当に負けの様な気がする。

こうなったらオハナをまったりと育てて行こうと決めた。


けどどうしても思ってしまう、世界樹が邪魔だーーーーーーー!!!!!!

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