九月九日、火曜日、午後一時三〇分

 東京の空気は薄く霞んでいた。しかしそれでいてクリーンで無味無臭のように思えた。薄い水色の空気が繊細で、気を糺してくれた。

 係員の対応も丁寧で笑顔。インド人のきつい目つきとぶっきらぼうな対応に慣れた僕は、ああ、と安心感に包まれた。

「帰国後に電話をください」

 とANAの国内線のオフィスから言われていたので、早速連絡すると、明日の午後の便でお帰りできます、とのことだった。能登空港から自宅までのふるさとタクシーも予約し、今日は寝るだけとした。疲れ果て、特に何をするわけでもなく、本当にただ、眠った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る