第2話 通行人と言語
僕の安直な思考回路のおかげで異世界に来たのだろうと考えれた。たまには役に立つものだ。
だが、どうすればいいか全くわからなかった。とりあえず、集会所みたいな所を探そうと考えた。
だが、言葉が通じるか、そこが不安だった。
彼らの会話を怪しまれないよう注意しながら聞いてみた。
どうやら、日本語を使っているようだ。
勝手に日本語に変換されているだけかとも思いながら、ひとまず安心した。
そして、話しかけやすそうな人に道案内を頼んでみる。
「あの、すいません。まだここに来て間もないので、何がどこにあるか分からないんです。もし良ければ、道案内をお願いできますか。」
そう尋ねると、
「あー、君、他の世界から来たでしょ。最近多いんだよね。」
驚いた。なぜそんなことが分かるのか。
「なんで…それか分かったんですか?」
「だってその服に書かれてる文字、こっちの言語じゃないから。
こっちの世界では言語は1つだけなんだよ。」
そう言われて自分が着ている服を見ると、日本語で「負け組」と書かれていた。
それで勝手に変換されているという考えが確信に変わった。
少し間を置いて相手が言う。
「ああ、俺、マラシンって名前だから。お前からしてみればおかしい名前なんだろうが、こっちではこんな名前ばっかだ、笑わないでやってくれ。」
いい名前だとは正直思わなかったが、人の名前をバカにすることは駄目ということぐらい弁えている。
「馬鹿にはしませんよ…
とりあえず案内、してくれませんか。」
話が脱線しすぎていたことに気づき、そう言った。
「ああ、そうだったな。悪ぃ。で、どこに案内すればいいの?」
「集会所みたいな所までお願いします。」
「おっけー。」
正直不安だった。この世界でやって行けるのかな、ずっとそう考えていた。そして、その考えは的中することになる。
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