第5話 思い出の 1枚
赤ちゃんが、母さんと一緒に
帰ってきた日は 雪だった。
部屋は、あったかくて
乗ったらダメよ!って言われた
赤ちゃんのベッドには、赤ちゃんがいる。
私は、おねえちゃんになったみたい。
赤ちゃんは、私の いもうと?
もっとよく見たくて、ずっと見ていたくて。
ベッドの柵の隙間から
赤ちゃんの服の袖がパタパタ動いてる。
袖口が、ぽっかりと空いていて
中をジーッと見ると
小さい小さい、グゥの手が見える。
背中のあたりが ぞわぞわってして
お腹のあたりは くすぐったい感じ
ベッドの周りを ぐるぐる ぐるぐる
お布団の中にこっそりと、手を入れると
あったかい。
父さんが、雪遊びに誘ってくれるけど
行きたくなかった。
赤ちゃんの近くに居たいから
じゃあ、赤ちゃんに雪を見せてあげよって
私が思ったのかな?
それとも、父さんが言ったのかな?
外は本当に寒くて、とても静かだった。
ねずみ色の雲と空と
真っ白い雪
父さんの髪の毛も
雪で、あっという間に白くなった。
雪はどこから来るのかなって
見上げてみるけど
目の中に雪が入って、全然見えない。
家の中は、あったかくて赤ちゃんがいて
明るいのに
外は、静かで ねずみ色なんて 変な感じ。
ご飯を食べる小さなお皿に
小さな雪だるまを乗せて、父さんが
黒いペンで、雪だるまに顔をかいた。
可愛くないような、可愛いような
赤ちゃんに似てるかなって思った。
—パシャ
緊張した顔で、赤ちゃんを抱っこする私
小さな雪だるまと
小さな赤ちゃんと
みんな、同じような顔で
可愛いくないような、可愛いような。
写真て、いいな。
本当に、あの日があのまま
溶けることなく、ずっと残るんだから。
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