第2話 薄暗い 闇の中で

お母さんが、わたしに繰り返し

言い聞かせてくれた言葉がある。


何か、言いたいことがある時は

自分の中で、お話したいことを

何度も考えて、しっかり考えて

言葉にしなさい。


わたしは、物凄く、お喋りで

小さい頃から母の井戸端会議の

端に座り込んで 大人たちの会話を

聞くのが好きだった。


それは、ラジオを聴いてるのと

似たような感覚で

その場に居るのに、居ないような

進んでいく会話に溶けていくのが

たまらなく、心地よかった。安心した。


友だちは、母さんたちのお喋りの合間に

いけない遊びをしていた。


友だちの家、普段上がらない

二階の寝室…服を脱ぐんだよって言われて


嫌だなぁ、ダメだと思う…けど

言葉に出来ないから だんまりで


すごくすごくモヤモヤして

外であそぼ?って あの時 ちゃんと

言えてたのかも 思い出せない。


母さんたちの、お喋りのラジオも

聞こえない。

夕方前、薄暗くて

その時の友だちの 顔 こわかった。


ピリッとした痛みを

初めて 知った あの日以来


もう、二階には上がらなかった。


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