未だ見ぬ貴方へ(声劇台本 2:2:1)

【役表】

太陽:♂

マリーゴールドの花:♀

月:♀

一番星:♂

北風:不問


【注意事項】

男女逆転、自作発言、この台本を使用した作品の有償公開はお断りしております。


ご了承ください。


アドリブ、アレンジ(一人称改変含め)は内容が変わらぬ程度にお願いしております。


使用報告は任意ですが、してくださると大変ありがたいです。(投稿している場所を明記してくだされば、聞きに行ってしまうかも。ご了承ください)


【コピペ用】(配信テーマなどにどうぞ)

【人成らざる傾慕〜未だ見ぬ貴方へ〜】

台本書ク子作

太陽:

マリーゴールドの花:

月:

一番星:

北風:



—昼side—


太陽:うぉーい......マリーゴールド?


マリーゴールド:んん......


太陽:マリーゴールド!起きろって!


マリーゴールド:うぅぁっ!?何!


太陽:ったく......お寝坊さんは起こすのが大変なんだぞ?いい加減、ちゃんと起きてくれないかなぁ!


マリーゴールド:仕方ないじゃない!ハァ......花びらを開いて.....っと。


太陽:はい、おはようさん。


マリーゴールド:おはよう.....(眠そうに)


太陽:おい待て!二度寝するな!もう朝だぞ、お前日が当たると咲く花だったよな.....?本当に大丈夫か?


マリーゴールド:大丈夫じゃなーい


太陽:テキトーに返事をするな!


マリーゴールド:はぁい......


マリーゴールド(N):私は、マリーゴールドの花。今日も、幼馴染の太陽に叩き起こされる。これが日常。太陽は毎日休むことなく働いていて、私は仕事熱心な彼に憧れに似た何かを抱いていた。


北風:うぃーっす!おっとどけものでぇーす!


太陽:お、郵便配達の北風じゃないか!ご苦労様。えーっと、僕宛かな?


北風:そうでーす!お手紙が来てまーすよっ!


太陽:もしかして......


マリーゴールド(N):そして、そんな私の甘酸っぱい恋が破れたのはこの忌々しいペンフレンドのせいである。その名は.....


北風:そうそう、そのもしかして。夜の世界のマドンナ、月からです!


太陽:あ......あぁ......(嬉しそうに)ありがとう!仕事、頑張れ!


北風:うぃーっす!


太陽:あ、ちょっと待て北風。


北風:はいはい?なんでごぜぇやすか?


太陽:お前......まぁた人間に息を吹きかけて上着を剥ぎ取ろうなんて考えてないよな?


北風:は......はいはい?勿論ですとも!それがご用件で......?


太陽:いや、今のはついでだ。


北風:えぇ、じゃあ何で呼び止めたんです!


太陽:その......この手紙を、月さんに届けてくれないか?


北風:お?またですか!うぃーっす!了解しましたぁ!


太陽:頼むよ。


北風:わかってますよ!じゃあ、また明日くらいに!


太陽:応!ありがとう!


(北風退場)


マリーゴールド:.....ねぇ、太陽。見えない相手と手紙でやりとりしてて楽しい?


太陽:嗚呼.....勿論だ!だって相手は夜のマドンナ、月さんだぞ?相手も僕の事、好いてくれてるみたいだし......


マリーゴールド:うーん、私には理解できないみたい。だって、そんな見えない相手と話してるくらいなら私の方が良くない?ねぇ?


太陽:うーん、僕は月さんの方がいいかな。だってなんかお前、最近傲慢っていうかその。


マリーゴールド:ちょっと失礼ね!私だって一応女の子なのよ!?もっと丁寧に扱ってよ!


太陽:ははっ、その顔面白い!え、ねぇもっとやってよ!


マリーゴールド:ちょ.....っ、こんのぉ!


太陽:えーっと、今回の内容は.....っと。


(太陽、手紙を読み始める)


太陽:『太陽さんへ。そちらは如何でしょうか?』


月:『毎回、お手紙有難う御座います。お昼にあった出来事を知れるなんて機会は滅多にないので、嬉しいです。こちらは、少しずつ夜の時間が短くなって来ました。私の出番は少なくなってしまうけれど、太陽さんはその分仕事が増えてしまうんでしょう?大変ですね。お仕事頑張ってください!応援してます!月より。』


太陽:月さん優しいなぁ.....わざわざ心配してくださってさぁ。


マリーゴールド:.....


太陽:にしても......もう6月か。もうそろそろ夏至だなぁ。仕事が増える。やれやれだ......


マリーゴールド:その分、私と一緒にいる時間だって長くなるじゃない。


太陽:......


マリーゴールド:なんで黙っちゃうのよ!喜びなさいよ!


太陽:.......ハァ。


マリーゴールド:.....?


太陽:月さんに......会ってみたいな。


マリーゴールド:......私のことも.....ちょっとは見なさいよ。


(少し間を開けて)


—夜side—


月:今夜も.....夜景が綺麗ね。ねぇ、そう思わない?一番星。


一番星:うわぁ.....すっごい綺麗ですね!でも、貴方様の方がもっともっと綺麗です!


月:ふふ......有難う。貴方も美しいわ。


一番星:え!?いや.....そんな、美しいだなんて滅相もない!


月:流石、一番星ね。この星空の中で、一番輝いている.......


一番星:何を仰るんです!一番輝いているのは、貴方ですよ。月様。


月:そうなのかしら.......


一番星(N):僕は一番星!星の中で、いつも一番に輝いてる星。今日も僕は、月様に仕えている。月様はいつでもお綺麗で、いつでも謙虚で.....完璧なお方だ。完璧な月様に僕は、憧れに似た何かを抱いていた。


北風:うぃーっす!おっとどけものでぇーす!


月:あら.....それは私宛かしら?


北風:そうでーす!お手紙が来てまーすよっ!


月:もしかして.......


一番星(N): そして、そんな僕の淡い恋が破れたのはこの忌々しいペンフレンドのせいである。その名は.....


北風:そうそう、そのもしかして。真昼の世界の英雄ヒーロー、太陽からです!


月:.....ふふ、待ってたわ。いつもお仕事有難うね........?


北風:いえいえ。てなわけでおいらはこれで!


月:あ.......ちょっと待って.......?


北風:はぁい....?なんでごぜぇますか?


月:あんまり、人間達に息を吹きかけすぎないでくれるかしら......寒すぎてはいけないわ。


北風:なんだか、太陽にもおんなじ様なこと言われちまったな......(苦笑い)


月:あらそうなの......兎に角、宜しくね.....?北風さん。あとこれ、太陽さんにお手紙よ。


北風:あいよぅ!じゃあまった明日ぁー!


(北風、退場)


一番星:......あの、月様.....失礼では有りますが、お顔の見えぬ相手との会話とは.....果たして楽しいものなのでしょうか?


月:えぇ.....そうね。とっても楽しいわ......


一番星:はて。僕には理解出来かねますな.....


月:貴方も、想い人が出来たらきっと同じ想いになるわ。それまではきっと理解出来ないでしょう。


一番星:だって、僕の想い人は......!


月:ふふ、さて今回はどんなことが書いてあるのかしら........


一番星:えぇ......聞いてました.....?月様。


月:えぇっと......?


(月、手紙を読み始める)


月:『月さんへ。いつも、美しい夜空のお話を話していただき有難う御座います。』


太陽:『こちらは、相変わらず晴れてます。たまに雲に覆い隠される事がありますが、その日はまぁサボりということで。もう夏ですね、そちらは如何でしょうか?僕の働いている時間は、ゆっくり休んでいてください。いつか、会える日を楽しみにしてます。太陽より』


一番星:.......(納得いかぬ様子で)


月:......会いたい、わね.......


一番星:ちょ、月様!?何を仰る!いいですか月様。何度も申し上げておりますが、月様は夜のマドンナ!向こうは真昼のパワハラ上司ですよ!僕らは、どう足掻いても会えるわけがないんです!


月:.......そう、かしら?


一番星:はぁ......月様、お気を確かになさってください!月様には、僕がいるじゃないですか。なのに何で......


月:なんでかしら、ねぇ......?


一番星:......少しは、僕の事だって.....見てくださいよ。


(少し間を開けて)


—昼side—

太陽:なぁなぁマリーゴールド!夜の世界には、「星」とやらがあるらしいぞ!


マリーゴールド:.....知らないわよ、ってか何それ。ホシ?


太陽:あれ.....?物知りなマリーゴールドなら知ってると思ったんだけど。


マリーゴールド:ケッ、夜のお話なんて知るわけないじゃない。っていうか知りたくもないしね!


太陽:相変わらず冷たいなぁ。んで.....星っていうのは僕をすっごいちっちゃくしたやつらしい!それが空いっぱいにある.......


マリーゴールド:.......それってつまり、太陽がいっぱいいるって事?


太陽:そう.....みたい。想像すると何だか気持ち悪いな。


マリーゴールド:ね。


太陽:んなこと言うなよ!


(少しの間笑い合う2人)


太陽:はぁー、最近こんな笑ってなかったなぁ。マリーゴールドは冷たいし仕事は忙しいし。


マリーゴールド:......それは。


太陽:ん?


マリーゴールド:それは!アンタが夜の世界ばっか見て私のことは見てくれないからでしょ!


太陽:うぉぉっ、急にどうした!


マリーゴールド:私はずーっとアンタの事見てんのにアンタは手紙ばっかり。そんなにマドンナが好きなら、太陽やめて月に会ってくればいいじゃない!


太陽:ちょ、そんな言い方ないだろう!


マリーゴールド:もっともっと、今『ここにいる』私の事を見てよ!幼馴染じゃない!


太陽:.......それは、ごめん。


マリーゴールド:知らない、もう花閉じる!おやすみなさい!!!


太陽:っおいマリーゴールド、起きろってば!


(少し間を開けて)


—夜side—


一番星:さてさて。今日もお仕事だ!月様ー!出てきてください!もう夜ですよー!


(月は出てこない)


一番星:あれ......月様が、いない......?おーい月様!


(やはり月は出てこない)


一番星:月様がいない!仕方ないな.....僕自身の光をもっと強くして....っと!おーい月様!何処へ隠れてらっしゃるんですか?夜ですよー!


(月はいくら経っても出てこず)


一番星:もしかして、本当に.....太陽に会いに行ってしまわれた.....?それとも僕のことが、嫌いになったのか......?きっとどっちもだ、僕.....嫌われちゃった......の、かなぁ......?


(一番星、泣き始める)


一番星:僕が.....僕が太陽よりも明るくないから......月様は、太陽のところへ行ってしまわれたんだ......うぅ、僕のバカ!バカバカバカ!


(一番星、子供の様に泣きじゃぐる)


マリーゴールド:んん.....やけに眩しいわね。もう日の出......?


一番星:僕の.....バカぁ........月様.....うぅ


マリーゴールド:ん......あれ。空が暗い.....って、これ!


一番星:バカぁ.....!


マリーゴールド:嗚呼......これが、月の言っていた「星」なのね.....?とっても綺麗。あれ、でも月がいないわ........ねぇねぇそこの一番輝いてる星さん!


一番星:......何ですか(鼻を啜りながら)


マリーゴールド:月はどこに行ってしまったの?


一番星:月様は.....太陽のところへ行ってしまわれましたよ......貴方は?


マリーゴールド:あ、えっと.....私はマリーゴールド。本当は昼に咲くの!でも今日は光が眩しくて起きちゃったのよ......ところで、どうして泣いているの?そんな泣く必要ないじゃない。


一番星:有りますよ.....だって、きっと月様は僕よりも太陽の方が好きになっちゃったんだから......


マリーゴールド:どう言うこと?


一番星:僕、月様に仕えてて。月様の事を凄く尊敬してて。それと同時に、なんだか違う感情まで抱き始めちゃってさ!月様も僕のこと、好いてくれてるかなって思ったのに.....いつの間にか、月様はペンフレンドに夢中になって僕のことは見てくれなくなった。んで....更に、月様は今太陽に会いに行ってるんだ。僕は片想いだったってわけさ。


マリーゴールド:何だか、気持ちわかるわ。私もおんなじ様な感じ。私、太陽の幼馴染なんだけどね?ずっと恋してて.....このまま結ばれてくれるのかななんて思ってたのに。太陽のペンフレンドが邪魔してきて。今日も喧嘩しちゃった......喧嘩したって、相手の気持ちは変えられないしどうしようもないのにね。


一番星:(鼻を啜って)なんだか.....僕ら、似たもの同士なんだね。


マリーゴールド:(クスッと笑って)そうみたいね。


一番星:今でも太陽のことは好きなの?


マリーゴールド:勿論。でも.....諦めようと思ってる。だって、私は所詮花。彼にはきっと釣り合わない。


一番星:そっか.......


マリーゴールド:ちょっと、そこ否定しなさいよ!


一番星:えっ!?ごめん!


マリーゴールド:......ふっ、アンタなんか面白いわね!


一番星:そう.....?


マリーゴールド:うん。ねぇ.....もうちょっとお話ししてない?眠れなくなっちゃって。


一番星:.....いいよ!もっといっぱいお話ししよう!


(少し間を空けて)


—昼side—

北風:うぃーっす!おっとどけものでーす!って.......


(数秒の沈黙)


北風:お、おい太陽の主人!おめぇ身体が欠けてんじゃねぇか!早く起きろ!何で寝てられるんだよ!ってか、マリーゴールドのお嬢ちゃんも寝てるじゃん.....夜更かしァ駄目だぞ?


太陽:ん......んん.........


北風:ん......?いやちげぇ、欠けてるわけじゃねぇ!あれは.......!


月:......太陽さん。


太陽:ん......?だ.....れ........


月:......太陽さん!


太陽:んん.....っ、えぇぇ!?


月:ふふ......私が誰だか、わかります?


太陽:え、えぇっと!何方でしょうか!


月:月ですよ、月。会いたくて、会いに来てしまいました......


太陽:えぇ、そんな嬉しいけど.......貴方は夜のマドンナというほどだから、夜の世界にしか現れないのでは?


月:そんなことありませんよ。私が貴方と重なることの出来る日が、1日だけあるんです。それが......


北風:すげぇー、太陽がリングみたいになってる!


太陽:金環日食!そうか、それは思いつかなかった。


月:えぇ。今日は少し、夜のお仕事もお休みしてこちらへ来てみました。初めてお会いしますね。


太陽:はぁ、月って、こんなにも綺麗だったんだ.......


月:貴方の方こそ、こんなにも眩しくて素敵な存在だったなんて......


(2人、数秒の間見つめ合う)


月:あら大変、もう行かないと。


太陽:えっ!?もう行っちゃうんですか!?せっかく会えたのに!


月:ごめんなさい......日食は時間が短いんです。


太陽:......また会えますよね?


月:えぇきっと。


太陽:じゃあ、また会える日を楽しみにしてます。


北風:おうおう、アツアツだねぇおふたりさん!おいらは羨ましいや。


太陽:おいっ、からかうんじゃない!


北風:へぇへぇ、すんませんでした。


月:ふふ、また会えるその日まで.......


(少し間を開け)


太陽(N):その後はいつも通り、また手紙でのやりとりが続いた。次いつ会えるかはわからないけれど、僕はあの日のことを忘れることはないだろう。初めて月というものを目の前にした、大事なあの日のことを......


(少し間を開け)


北風:うぃーっす!おっとどけものでーす!


太陽:ありがとう。また僕宛かい?


北風:まぁ半分そうで半分は違うってところっすかねぇ〜。


太陽:ん?どういう意味だそれは。


マリーゴールド:はいはーい!あたしに来てるでしょ!


北風:おっ、正解!はーいおふたりさん、どうぞ!


マリーゴールド:えへへ、ありがとう!


太陽:お前、いつの間に!


マリーゴールド:駄目?


太陽: いや別に駄目なんて言ってないけど。ってか、相手誰なんだ....?気になる。


マリーゴールド: 夜の世界の一番星くんよ。月に仕えてる子で、彼とっても可愛いの.....


太陽:そう.....か。


マリーゴールド:ん?どうしたの?急にしんみりしちゃって。


太陽:いや.....なんでもない。あと!そうだ。この間のこと謝らなきゃ。俺.....そうだよな。ずっとお前のこと無視してて。すまなかった!


マリーゴールド:いいのよ、私も幼いとこあったし。ほんっと、幼馴染なんていう立場を利用しようとするなんてダメダメよねぇ、あたし。過ごした時間なんて関係ない。好きな人は好きなんだから。


太陽:.......


マリーゴールド:でもねぇ!今度無視したら今度こそ許さないからね!


太陽:うおぉっ!?ごめん!すみませんでしたぁ!


北風:ヒューヒュー!こりゃまた、新しい恋の予感ですな!


(少し間を開けて)


—夜side—

月:一番星、最近調子が良い様ね。何かあったのかしら......?


一番星:えっ!?い、いや何も!


月:あら.....?その手に持っているのは何?


一番星:ち、違うんです!見ないでください恥ずかしいから!


月:.....ふふっ、だから言ったでしょう。想い人が出来れば私の気持ちも理解できるって。


一番星:ハァー、確かに本当だったけど!


月:けど.....?


一番星:.......っあぁもう!仕事しましょう仕事!


月:ふふ.....っ


一番星:あ、あと......月様。もう急に消えないでくださいね.....?太陽に会いに行く時はちゃんと言ってください。僕、びっくりしたんだから.....!


月:ごめんなさい。そうよね......貴方には、少しだけ申し訳ない事をしたと思ってるわ。


一番星:少しだけって!んもぅ.....月様ったら!


月:さぁ......仕事を始めましょう?


一番星:あぁーっ!月様!逃げたぁー!


北風:こっちもですかぁ。ハハ.....今日も空の世界は平和ですな!


(少し間を開け)



マリーゴールド(N):あの日僕は


一番星(N):ひとつの恋をし


月(N):ひとつの失恋をした。


太陽(N):人成らざる傾慕


北風(N):未だ見ぬ貴方に。


太陽:だぁーッ!一番良いところ取るなぁ!北風ェーッ!


北風:へへっ、これにてめでたしめでたし!

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