代金

「ありがとうございます!すごく可愛いです!」


「可愛い子には可愛い服を着せてあげないとね」


 ロゼさんはウインクをしながらそう言った。


 ベージュのキャミソールワンピースに茶色のカーディガンは私のサイズにピッタリ合っていた。触り心地も良くていい素材を使っているのだろうと思った。


「あの、今お金を持ってなくて……」


「いいさ!ここに来た記念だ。また来てくれることを今回の代金にしようじゃないか」


「え、でも」


「良いんだよましろちゃん。ロゼがそう言ってくれるなら貰っておこう!」


 魔法使いさんもにこにこしながらそう言った。


「ではお言葉に甘えて……」


「うんうん!よかったね!ありがとうロゼ」


「気にするな。昔のよしみじゃないか。二人ともまた遊びに来てくれ。それと、これはうちのカードだよ」


 と言うと、白いカードを人差し指と中指で挟んでこちらに向けた。


 よく見ると古い紙を繋ぎ合わせたような色合いと、感触がした。


「ありがとうございます!」


 開くとまだ何も書かれていない真っ白な状態だった。疑問に思っているとロゼさんが杖の先をカードに近づけた。


 杖が触れると格子状の黒い線が現れて、左上にロゼさんの髪色のような赤いスタンプが押された。薔薇の形をした洗練されたデザインだった。


「よし!これでいいよ。じゃあまたね」


「バイバ〜イ」


「ありがとうございました!」


 私と魔法使いさんは後ろに手を振りロゼさんのお店を後にした。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 目当ての物を買った後、外が暗くなってきたため私たちは帰路についた。


「そういえば、ララちゃんとルルちゃんたち何処かに行っちゃいましたね。私の採寸が長かったから痺れを切らしちゃったんでしょうか」


「あぁ、大丈夫だよ!ネロたちはさっさと服を見繕って他の物を買いに行ったんだ」


 私の心配を気にしてか、魔法使いさんはいつもより明るい声色で話した。


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