試着会

「服を見に来たんだよ!真白ちゃんに合う服を見繕ってほしくてね」


 ロゼさんの問いに魔法使いさんが答えた。その後、ネロさんが続けてララちゃんとルルちゃんの服も欲しいと言っていた。


「任せな!ロゼ様の目に狂いはないさ!」


 と言いながら長い髪を手の甲ではらった。深紅の髪が光の粒を反射していた。


 ロゼさんの髪に見とれていると、眼前に白シャツが現れた。真っ白なシャツだなーー。シワ一つついてないや。


「ぃ。おーーい」


「うわっ!」


 気づくとロゼさんが目の前にいた。ご丁寧に目線の高さを合わせて。近くで見ると目の輝きに圧倒されそうだ。睫毛長いなぁ。


「やっと気づいたか。ぼーっとしてたよ大丈夫か?」


「大丈夫です!」


 貴方に見とれてましたなんて言えないから、焦って勢いで答えてしまった。


「んじゃ、早速服を見繕いますか!」


 ロゼさんは気にしてない様子だしよかった。あんな美人私の周りには居なかったし、目の保養だな。ありがたい。


 そういえばロゼさんに限らずみんなアジア系の顔に見えないけど、ここどこなんだろ?


「真白ーー!!おいで!!」


「はーい!」


 まあいっか!取り敢えず服を決めてもらってその後に考えよう、と疑問を頭の片隅に追いやった。



 あれから2時間は経過しているだろうか。なかなか私の服が決まらないらしい。ロゼさんはずっと唸っているし、私は着せ替え人形だし、ネロさんとララちゃんルルちゃん達は何処かに行ってしまった。


「う〜ん、難しいな」


「さっきから唸ってるけどどうしたんだい?ロゼにしては珍しいじゃないか」


 魔法使いさんが聞くとロゼさんは手に持っていた布を机に置いた。


「いや、なんというか真白のスタイルがなかなか服に合わないんだよ。」


 それは私も着せ替え人形にされていて感じた。胸元とお尻が心許ない気がする。気がするだけだけど。


「布と相性が悪いのか?」


 ロゼさんは呟きながら布を触った。


「布を柔らかくする魔法をかけた後、真白のスタイルに合わせて型取りをしよう。最後に固定魔法をかければなんとかなるだろ!」


「賛成〜!」


 ロゼさんの言葉に魔法使いさんは右手を上げて答えた。


「そうと決まればチャチャッと作るから待ってな!」


 そう言うと、杖を手に取り息を吸った。


「アモールビディ!」


 布が輝き宙に浮かんだ。私の体に巻き付くとボタンやら襟が現れた。


「フィッソ!」


 服の輝きが消え、机の上に戻った。


「出来たよ!着せてあげよう」


 ロゼさんが杖を振ると、私は完成した服に身を包んでいた。


 辺りを歩き回ると、先程よりピッタリで動きやすかった。


「ありがとうございます!丁度いいです!」


「ふふっそうだろう!なんてったってあたしが作ったからね!」


 ロゼさんは自慢げな顔をした。

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