とんがり屋根
「早く通らないと閉じるぞ」
魔法って凄いなーとぽわっと考えていたらネロさんの声が聞こえてきた。すっと前を向くとネロさんがこちらに手を伸ばしていた。私は少し恥ずかしさを感じながら有難く差し出された手を掴んだ。
壁を抜けるとレンガ造りの一本道がくすんだ茶色と赤色をしたとんがり屋根の家まで伸びていた。
「わぁ〜可愛いお店ですね!昔読んだ絵本に出てきそうです」
「ふふふっましろちゃんは何時も楽しそうでいいね!僕まで楽しくなるよ」
「いや、お前もいつも楽しそうだろ」
魔法使いさんの言葉に対し、ネロさんがすぱっと言い放った。確かに魔法使いさんの方が何時もにこにこしてる気がする……。
ララちゃんとルルちゃんと目が合って3人とも思わず笑ってしまった。
魔法使いさんは難しい顔をして、そうかなー?うーんと1人ではてなマークを飛ばしていた。そんな様子もおかしかった。
そんなこんなで話していたらとんがり屋根の扉の前に着いた。そこでも魔法使いさんはごにょごにょ呟いて、ノックを3回した。普通のノックではなくリズミカルな感じで。裏拍を取るように。
扉からガチャッと音が聞こえた。魔法使いさんがドアノブを掴み開けようとすると、扉が独りでにギィーといいながら動きだした。魔法使いさん達も吃驚したようで、目を丸くしたり肩をビクッとさせたりしていた。
開いた扉から中に入ると布や服が宙を飛んでいた。
「お!珍しいお客じゃないか」
布や服が浮いている空間から少し奥まった棚の前で、女性が手を挙げた。
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