黒髪の双子

「ララ!ルル!久しぶりだねー!」


 魔法使いさんは喜色の滲んだ声で子供たちに声を掛けた。年齢でいうと6 ~ 7歳くらいだろうか、こちらを2つの双眼が見上げた。


「「久しぶり」」


 2人は声を揃えて言った。続けて2人のうちおかっぱ頭の子が喋った。


「魔法使いさんはなんの用でここに?」


「僕達は街をぶらぶらしようかな〜って感じかな。そうだ!折角だし良かったら皆で街を回らないかい?」


 魔法使いさんの提案を聞き皆一様に頷いた。


「じゃあまずは服を見に行こうか!そうと決まればレッツゴーだ」


 魔法使いさんは、如何にも自分の買い物をしに来たかのように歩き始めた。後ろではネロさんが額に手を置きため息をついていた。いつもこんな感じでネロさんを振り回しているのだろうなと思った。


 少し歩くと布や服が飾られているお店が増えてきて、大通りから少し外れた通路を進むと行き止まりに突き当たった。


「あれ?行き止まりですね」


 疑問をそのまま口に出すと、魔法使いさんはごにょごにょと呟き杖をひと振りした。すると、壁があった場所に通路が現れた。


「この先にお店があるの」


 ララちゃんとルルちゃんのうち艶やかな黒髪を腰まで伸ばした子が私の疑問に答えてくれた。

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