ネロさん

 後ろを振り返ると明るい黄色の目をした黒髪の男の人が立っていた。


「久しぶりだなゼノ」


 彼は魔法使いさんを見てそう言った。魔法使いさんって名前あったんだ。いや、それはそうだよね。ゼノって言うんだ。初めて知ったな……。私は心の中で魔法使いさんの名前を何度も唱えた。


「ネロがここに来るのは珍しいね!」


 魔法使いさんは黒髪の人をそう呼んだ。


「あ、紹介しなきゃね!ましろちゃんです!」


 そう言うと魔法使いさんは私に向けた手をひらひらさせた。


「はじめまして!椿屋つばきやましろです」


 私はネロさんに向けてお辞儀をした。


「よろしくな。俺はネロ。好きに呼んでくれて構わない」


 ネロさんはクールな声とは裏腹に優しい表情で微笑んだ。


「じゃあネロさんって呼ばせてもらいます!」


「ああ」


 彼はそう言って小さく頷いた。



「ところで、ネロはどうして街に来たんだい?」


 魔法使いさんはきょとんとした目をして言った。


「あぁ、こいつらの服を買いに来たんだよ。おい、ララ、ルル」


 ネロさんが名前を呼ぶと、私たちの目の前に二人の子供が姿を現した。


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