出会い
魔法使いさん
「え……」
驚いて声が出ない私を見ると、彼は近づきながら話しかけてきた。
「まぁいきなりこんな場所に飛ばされたら驚いちゃうよね!」
え、飛ばされた……?どういうことなの?この人は?
「初めまして!僕は……うーんそうだな街のみんなからは魔法使いさんって呼ばれてる。君もそう呼んでくれて構わないよ」
その男の人は笑いながらそう言った。髪の毛は黒檀のようで、丸い目は爛々と輝いていた。着ている服は少しちぐはぐで、身なりを気にするタイプではないのだろうと思った。でも、顔の造形の良さがそれを帳消しにしていた。美しい顔に少しもさいような髪の毛のアンバランスさが彼の美を昇華させていた。
「あの……私はどうしてここに?」
「そうだよねーーそれ気になっちゃうよね!じゃあ、温かいココアでも飲みながら話そうか」
魔法使いさんはそういうとどこから出したのか長い杖を手に持ち、杖の先で地面を叩いた。すると、光の渦が辺り一面をきらきらと舞いだした。
「うわぁ綺麗……」
「ふふっ気に入ってくれたかい?」
「はい!とっても!とても綺麗です!」
「それは良かった!」
魔法使いさんは丸い目を三日月のようにして笑った。かっこいい人って笑うともっと綺麗になるんだなと思った。
光が段々消えて周りの景色が変わっていることに気がついた。
「ようこそ!魔法使いさんのホームへ!」
「おじゃまします?」
「ふふっ、礼儀正しいね。さあ、座って座って!温かいココアをお出ししよう」
今度はカバンに入りそうなサイズ感の杖を手に持っていた。魔法使いさんが杖をひと振りすると、棚に入っていたカップがふわふわと浮き目の前の机にそっと置かれた。魔法使いさんはココアの粉末が入っている袋を持ってくると、袋を開けココアの粉をスプーンで掬ってカップに入れた。
「何杯いれる?」
「あ、えっと2杯でお願いします」
「りょーかい!」
魔法使いさんは返事をしながらスプーンでココアを2杯入れてくれた。
ポットがふわふわと動き出し、また目の前に置かれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます