第10話:聖女、北東へ向かう

【クリミナス帝国城内】


こんにちわ、ユウナ・アスファルトです。今、私はアルファルド様の寝室にいます


【ユウナ・アスファルト】

「アルファルド様。」


アルファルド様はあの姉妹の黒い刃を受けた後、眠り続けている。私が近くにいながら守ることができなかった。自分自身のふがいなさに苛立ちを覚えた


【侍医】

「ユウナ嬢、どうかお休みください。貴方の治療は済みましたが、わずかながらダメージが残っています。あとは我々に任せて、どうかお休みを。」


【ユウナ・アスファルト】

「いいえ、大丈夫です。」


【侍医】

「ですが・・・」


【ユウナ・アスファルト】

「大丈夫って言ってるでしょ!ほっといてよ!」


私は自分の苛立ちを侍医にぶつけてしまった。侍医の気まずそうな顔を見て、私は後悔した


【ユウナ・アスファルト】

「ごめんなさい。少し頭を冷やしてきます。」


そういい、私は部屋を出た。部屋を出た後、ヒミコとユウキとアランの三人が待っていた。三人とも気まずそうな顔をしていた


【ヒミコ・イマール】

「申し訳ありません。私も城内にいながら、陛下もユウナ様もお助けできませんでした」


【ユウキ・イマール】

「俺、寝てました!すいません!」


【アラン・レクサス】

「申しわけない・・・」


三人は反省の態度をとっていた


【ユウナ・アスファルト】

「貴方たちのせいじゃないわ。陛下の近くにいながら、守ることができなかった私が悪いのよ。」


私たちは沈黙するしかなかった


【ウルスラ・クリミナス】

「ユウナ。」


振り向くと、アルファルド様の4歳年下の実弟のウルスラ・クリミナス殿下がいた


【ユウナ・アスファルト】

「ウルスラ殿下!」


私たちはすぐに平伏した


【ウルスラ・クリミナス】

「ユウナ、挨拶はいい。頭を上げてくれ!」


ウルスラ殿下の仰せに従い、私たちは頭を上げた


【ウルスラ・クリミナス】

「はあ、武器庫と兵糧倉が火事で焼けてしまい、兵糧も武器もほとんどが焼けてしまった。遠征軍を出すのに時間がかかる。兄上はあと7日の命、一体どうすればいいんだ。」


そうだ、こんなところで落ち込んでいる場合じゃない、7日以内に邪神の谷の神殿に行かないと、アルファウド様の呪いが解けないんだ


【ユウナ・アスファルト】

「ウルスラ殿下、私は先に邪神の谷に向かいます。」


【ウルスラ・クリミナス】

「ユウナ、正気か!」


【ユウナ・アスファルト】

「はい、陛下をお守りできなかった私の責任です。遠征軍は後からきてください。ちゃんと方角もお知らせします。」


【ウルスラ・クリミナス】

「ユウナ・・・分かった。」


私の決意にウルスラ殿下も分かってくれた


【ヒミコ・イマール】

「ユウナ様、私も共に行かせてください!」


【ユウキ・イマール】

「俺も行かせてください!奴らにお返ししたいです!」


【アラン・レクサス】

「俺も行く。」


三人は私に着いていくという気迫を感じた


【ユウナ・アスファルト】

「もちろんよ。」


【ウルスラ・クリミナス】

「行くのなら、あるものを用意している、こちらへ。」


ウルスラ殿下の案内で、ある場所へ向かった。目的地に到着すると見たこともない物体があった


【ヒミコ・イマール】

「何これ?」


【ユウキ・イマール】

「すげえ!」


【アラン・レクサス】

「でかい。」


【ユウナ・アスファルト】

「殿下、これは何ですか?」


【ウルスラ・クリミナス】

「これは我が国の英知を結集して作った魔力飛行船だ。」


そこには魔力飛行船という乗り物だった


【ウルスラ・クリミナス】

「定員は10名、動力は魔力石で、音もなく、早く動ける代物だ。これさえあれば、邪神の谷に到着できる!」


【ユウナ・アスファルト】

「殿下、よろしいのですか、これほどの代物を私たちに授けるなんて。」


【ウルスラ・クリミナス】

「今は非常事態だ、だからこそ使うんだ。魔力飛行船はユウナに任せる!」


ウルスラ殿下の心遣いに私も決意を固めた


【ユウナ・アスファルト】

「感謝いたします!必ずや成し遂げていきます!」


【ウルスラ・クリミナス】

「うむ、魔力飛行船には操縦士が必要だ。紹介する。」


殿下の紹介である初老の老人がきた


【ウルスラ・クリミナス】

「彼はこの魔力飛行船を作ったアガサ・ドリトンだ。」


【アガサ・ドリトン】

「お初にお目にかかります。聖女様、アガサ・ドリトンです。邪神の谷まで魔力飛行船でお送りいたします。」


【ユウナ・アスファルト】

「こちらこそよろしくお願いします、アガサさん。」


私たちは魔力飛行船に荷物を入れ、出発の準備をした


【ユウナ・アスファルト】

「殿下、目的地までの方角は魔法鳩にてお知らせいたします。」


【ウルスラ・クリミナス】

「あい分かった。我らも後から駆け付ける。」


【ユウナ・アスファルト】

「はい。」


私は魔力飛行船に乗り込もうとすると・・・


【ウルスラ・クリミナス】

「ユウナ!」


【ユウナ・アスファルト】

「はい!」


【ウルスラ・クリミナス】

「幸運を。」


【ユウナ・アスファルト】

「ありがとうございます。では行ってきます。」


私は魔力飛行船に乗り込んだ


【アガサ・ドリトン】

「浮上!」


アガサさんが起動させ、魔力飛行船が宙に浮き、そのまま大空へ向かった


【アガサ・ドリトン】

「向かうは北東の方角!」


アガサさんは操縦桿を北東の方角へ動かし、北東の方角へと進路を向けた。そのまま邪神の谷へ向けて出発した。その途中で神殿跡地を見かけた


【ユウナ・アスファルト】

「神殿の皆さん、どうか旅立つ私たちを見守りください。」


私はお祈りをしながら邪神の谷へと向かった

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