第11話


それから時間がどれだけ過ぎたのかも分からない


告別式の時の記憶はもうなくて…

どれだけ思い出そうとしても思い出すことが出来ない


今思い出せるのは告別式の当日


私は涙が枯れてしまうほど泣いたということだけ。


その日の夜はもう泣くことも出来ずただ胸が締め付けられた



心が死んでしまったような


空っぽで虚しくて苦しくて

自分を許すことも出来なかった。



ダイキが亡くなる数日前、

私の母親は体調を崩し余計な心配はかけられない状況だった。


ほとんど寝込んだ状態。


毎日がツラそうだった。



だから私はダイキが亡くなったことも言えなかった。


ただ別れた。


それだけを伝えたし、「死んだ」なんて言いたくなかった



母親は体調が悪い中私に

「バイト気を付けていってらっしゃい」って言ってくれてたけど


実はダイキが亡くなった翌日には辞めてた。


とても行けるような状態ではなかったから



「行ってきます」


母親にはそういうけど私は家から一歩出れば泣き崩れるような毎日を過ごしてた


公園で… 道端で…


とにかく色々な所で泣いてた

泣いてる私を心配して警察の人が声をかけてくることもあった。


こんなつらい記憶すべて消えてしまえばいい

今すぐに消えてしまいたい


何度思っていたか分からない。



今思えばこの時から私の人生が残酷で脆いものになってしまったんだと思う


現実にはあり得ないと思っていた出来事ばかりが私を襲った

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