婚約破棄しません!

マキシム

婚約破棄しません!

ここはレイズン王国、その国にある学園の卒業パーティーにて、二人の男女のやり取りがございました


【セルバーズ・レイズン】

「ラミリア、済まないが君との婚約を解消してほしい!」


【ラミリア・ミスト】

「殿下、一体どういうことか説明してくださるかしら?」


この王国の王子のセルバーズ・レイズンは婚約者のラミリア・ミスト公爵令嬢に婚約破棄を申し立てたのである


【セルバーズ・レイズン】

「ラミリア、君には申し訳ないことをしたが、僕は真実の愛に目覚めたんだ!」


【ラミリア・ミスト】

「真実の愛ですか?」


【セルバーズ・レイズン】

「そうだ、僕は自分の心に正直に生きようと思うんだ。どうか何も聞かずに婚約を解消してくれ!」


この国の王子の突然の婚約破棄に周囲は騒然としていた。同時に事の成り行きを見守っていた


【ラミリア・ミスト】

「婚約解消とはいっても、私たちの婚約は王家の勅命にて決められたものです。王子である貴方様がお父上である国王陛下に逆らうものではありませんか!」


【セルバーズ・レイズン】

「分かっている。その事は百も承知だ!だからこそ私は君に伝えたのではないか!」


【ラミリア・ミスト】

「殿下、その御方をここへ呼んできてください!この場にて王家との婚約について説明いたします!」


【セルバーズ・レイズン】

「それはできない!」


【ラミリア・ミスト】

「なぜですか!」


【セルバーズ・レイズン】

「どうか何も聞かずに解消してほしい!」


このやり取りの後、卒業パーティーは中断となり、数日後、国王&王妃両陛下、セルバーズ・レイズン、ミスト公爵、ラミリア・ミストが集まり、卒業パーティーの一件について話し合うことになった


【国王陛下】

「セルバーズよ、なぜラミリア嬢との婚約を解消しようとした。真実の愛とは何だ!」


【王妃陛下】

「セルバーズ、貴方のワガママが通るほど、簡単な問題ではないのですよ!」


【ミスト公爵】

「殿下、娘から報告を受けた時、私も困惑いたしました。できれば納得できる理由(わけ)をお聞かせいただきたい。」


【ラミリア・ミスト】

「殿下、もう逃れられませんよ!」


四者からの婚約解消の理由を詰問されセルバーズ・レイズンはとうとう重い口を開いた


【セルバーズ・レイズン】

「分かりました。説明いたします。その前に紹介いたします。」


セルバーズ・レイズン殿下は合図を送り、ある人物が部屋に入ってきました。セルバーズ・レイズンの真実の愛を誓った人物、どんなご令嬢か確かめた。しかし入ってきたのは意外な人物だった


【国王陛下】

「そなたは騎士団長であるバトラ伯爵の子息のマカエル・バトラではないか!」


入ってきたのは現騎士団長を務めるバトラ伯爵の子息のマカエル・バトラ、文武両道で眉目秀麗、そしてセルバーズ・レイズン殿下の側近である


【国王陛下】

「セルバーズ!これはどう言うことだ!」


【セルバーズ・レイズン】

「お言葉の通りでございます!私はこのマカエルと真実の愛を誓い合った仲なのです!」


セルバーズ・レイズンの宣言に四者は驚きを隠せなかった。国王陛下は仰天し、王妃陛下は目眩を起こし、ミスト公爵は空いた口が塞がらず、ラミリア・ミストは愕然としていた


【セルバーズ・レイズン】

「父上、私は気付いてしまったのです。私は王子として男として、その任を全うしようとしました!勿論、婚約者であるラミリア・ミスト嬢とも良好な関係を築いてきたつもりです。ですが私には生きているという確信が持てませんでした。気を紛らわせようとラミリアだけではなく色々なご令嬢と話をしましたが、喜びを見いだせませんでした。むしろ女性に興味を抱きませんでした。私はこのままでいいのだろうか、そう悩んでいると、私の側近であるマカエル・バトラによく励まされました。マカエルと話していると不思議と私の心が晴れ晴れになり、ずっとマカエルと一緒にいたいと思うようになりました。それで気付いたのです。私は男が好きなんだ。いや、マカエルのことを愛しているんだと!だから私は自分の心に正直に生きようと決めたんです!」


セルバーズ・レイズン殿下の演説に周囲は完全に呆気に取られたが気を持ち直した


【国王陛下】

「セルバーズ、お前、気は確かか!婚約解消したい理由が側近のマカエルとの真実の愛だと!馬鹿なこと申すな!第一、マカエルは男だぞ!」


【王妃陛下】

「陛下のおっしゃる通りです!セルバーズ、貴方、殿方との恋を選んで婚約解消するなんて聞いたことがありませんわ!」


【ミスト公爵】

「セルバーズ殿下、私の娘と婚約を解消したいのは、マカエル・バトラと結ばれたいという理由(わけ)ですか?冗談にしても笑えませんぞ。」


【ラミリア・ミスト】

「殿下、どうか目を覚ましてください!」


四者はセルバーズ殿下を説得しましたが、セルバーズ殿下は頑として聞き入れませんでした


【セルバーズ・レイズン】

「嫌だ、私は自分の心に偽って生きることに疲れたんだ!私は私らしく生きたいのだ!」


四者が途方にくれていると・・・・


【マカエル・バトラ】

「殿下!ワガママもいい加減にしてくだされ!」


今まで黙っていたマカエル・バトラが口を開いた


【セルバーズ・レイズン】

「マカエル、僕はお前のためを思って・・・」


【マカエル・バトラ】

「だとしたら、ありがた迷惑です。まさか殿下が私をそのような目で見ていたとは思いませんでした。」


【セルバーズ・レイズン】

「まっ、マカエル。」


おや、二人の雲行きが怪しくなってきました


【マカエル・バトラ】

「私はあくまで臣下として殿下を御支えしているだけでございます。それに私は衆道の気はございません。」


【セルバーズ・レイズン】

「マカエル。」


セルバーズ殿下はこの世の終わりの顔をして、膝から崩れ落ちました。どうやらセルバーズの一方的な片想いと思い込みで、マカエル自体はあくまで臣下の義務を果たしているだけ決して衆道関係ではないようです


【セルバーズ・レイズン】

「そんな、そんな。」


セルバーズの落ち込みように、さすがの四者もこれ以上、何も言えずにいたが、1つ問題が発生した。国王の子供はセルバーズと娘のイザベラとイリアだけなのである。三人は王妃との間に生まれた子供で、国王はかなりの愛妻家で側妃は1人も置かなかったのである。それゆえ王子はセルバーズだけなのである


【国王陛下】

「どうしたら良いのだ。セルバーズは男にしか興味がない。それに当の本人はあの状態だ。どうしたら・・・・」


国王は途方に暮れていると・・・・


【ラミリア・ミスト】

「陛下、私は殿下と婚約を解消するつもりはありません!」


ラミリア嬢が突然の宣言を出した


【国王陛下】

「ラミリア嬢、いいのか?セルバーズは男好きで、そなたには興味がないのだぞ!」


【王妃陛下】

「そうよ、息子が男好きなのは信じられないけど、貴方が無理をする必要はないのよ!」


【ラミリア・ミスト】

「国王陛下、王妃陛下、ご心配には及びません。私に考えがあります。」


【ミスト公爵】

「ラミリア、考えとは何だ。」


【ラミリア・ミスト】

「はい、私が殿下のお子を身籠ればいいのです。」


ラミリアの考えに周囲は驚いた


【国王陛下】

「セルバーズの子供を身籠る!」


【王妃陛下】

「ラミリア、貴方、正気なの!」


【ラミリア・ミスト】

「はい、私が殿下のお子を身籠れば、婚約も解消されず、世継ぎもできるのです!良き案かと存じます!」


ラミリアの決意に国王と王妃と父の公爵は・・・・


【国王陛下】

「ラミリア嬢、国のために、そこまで考えてくれるとは、誠に感謝いたす!」


【王妃陛下】

「ラミリア、貴方がセルバーズの婚約者で良かったわ!本当にあの子にはもったいないわ!」


【ミスト公爵】

「ラミリア、お前はそれでいいのだな。」


【ラミリア・ミスト】

「はい、私は殿下の婚約者に選ばれた時から覚悟を決めておりました!父上、どうかお許しください!」


【ミスト公爵】

「そうか、分かった!お前の思う通りにやりなさい!」


三者はラミリアの覚悟に称賛を送っていたが・・・


【セルバーズ・レイズン】

「ちょっと待ってくれ!僕は男にしか興味がないんだ。勝手に話を進めないでくれ!」


【国王陛下】

「喧しい!これは国の行く末が、かかっているんだ!お前のワガママが通ることではない!」


【セルバーズ・レイズン】

「父上、国のためなら、僕の愛なんかどうでもいいと言うのですか?」


【王妃殿下】

「ええ、かまいません!お前の男好きを治す良い機会です!」


【セルバーズ・レイズン】

「母上!」


【国王陛下】

「衛兵、セルバーズを寝室へと連れていけ!逃げられないように手足を拘束せよ!」


国王陛下の命令で衛兵が現れ、セルバーズ殿下は連れていかれた


【セルバーズ・レイズン】

「父上、お待ちくだされ、父上!」


セルバース殿下が連れていかれた


【セルバーズの寝室】

セルバーズ・レイズンは身ぐるみを剥がされ、全裸でベッドの上に寝かせられた。逃げられないように手足を拘束されている。そこには全裸のセルバーズと椅子に座っているラミリアだけだった


【セルバーズ・レイズン】

「頼む、ラミリア、これを外してくれ!」


【ラミリア・ミスト】

「お断りします。それに殿下、私も緊張しているのでございます。それに殿下の・・・・息子様を見るのは初めてなんですから。」


ラミリアは突然、服を脱ぎ始めた


【セルバーズ・レイズン】

「ラミリア、何やってるんだ!」


【ラミリア・ミスト】

「決まっております。私も脱ぐんです。」


【セルバーズ・レイズン】

「なんで君が脱がなきゃいけないんだ!」


【ラミリア・ミスト】

「脱がなきゃ、できないではありませんか!」


ラミリアは服を脱いで、全裸になったが・・・・


【ラミリア・ミスト】

「殿下、なんで反応しないのですか!」


セルバーズの息子は一切、反応しなかった


【セルバーズ・レイズン】

「言っただろ!私は男にしか興味がない!だから僕もやる気を出さない!諦めるんだな!」


セルバーズが勝利を確信した表情にラミリアの女のプライドに傷がついた


【ラミリア・ミスト】

「そうですか。分かりました!」


そういうとラミリアは服を着て、外へ出た


【セルバーズ・レイズン】

「ふふふ、僕の勝ちだ!」


セルバーズは勝利の美酒に酔う心地である。そしてある人物が部屋に入ってきた


【セルバーズ・レイズン】

「おお、マカエル!」


部屋に入ってきたのはマカエル・バトラ、セルバーズの想い人である


【マカエル・バトラ】

「殿下の熱意には完敗いたしました。そこまで私のことを考えてくれるのですか。」


【セルバーズ・レイズン】

「もちろんさ、僕は君と一緒にいられれば、本望さ!僕の愛しの人よ。」


【マカエル・バトラ】

「そうですか、では、失礼します。」


マカエルは上着を脱ぎ、上半身裸になった


【セルバーズ・レイズン】

「うひょーーーー!待ってました!」


セルバーズの息子が直立不動になった


【マカエル・バトラ】

「では殿下、これを。」


マカエルは飲み物を上げた


【セルバーズ・レイズン】

「これは何だ。」


【マカエル・バトラ】

「はい、特性のジュースでございます。」


試しに飲んでみると、甘くてジューシーだった


【セルバーズ・レイズン】

「いやあ、美味しかった。んん、何か火照ってきたぞ!」


【マカエル・バトラ】

「そのジュースは発情効果が含まれた成分が入っているのでございます」


【セルバーズ・レイズン】

「おお、そうなのか!」


【マカエル・バトラ】

「では、失礼します。」


マカエルは細長い絹を使い、セルバーズを目隠しした


【セルバーズ・レイズン】

「おお、目隠しとは、マカエルもやる気だな!」


するとセルバーズの息子を握った


【マカエル・バトラ】

「では、まいります。」


【セルバーズ・レイズン】

「よし、こい!」


私の息子は戦闘準備完了!おお、感触が息子に伝わってきた!


【ラミリア・ミスト】

「ふふふ、殿下の息子様を捕獲しました♪」


【セルバーズ・レイズン】

「えっ!ラミリア!」


【ラミリア・ミスト】

「さあ、始めましょう!発情成分で息子様は元気ですわ♪」


【セルバーズ・レイズン】

「やめろ、やめろ、うわああああああああ!」


しばらくお待ちください


【セルバーズ・レイズン】

「ううう。」


【ラミリア・ミスト】

「ふう~。」


ベッドの横で、すすり泣くセルバーズと火の点いた煙管(キセル)を吹かすラミリア


【セルバーズ・レイズン】

「うう、お婿にいけない。」


【ラミリア・ミスト】

「安心しな。私がもらってやるよ、たっぷり可愛がってやるぜ、子猫ちゃん♪」


その後、ラミリアは妊娠し、王子を出産、王家の血筋を次代につなげることができたのであった、めでたし、めでたし!






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