16. 真陽の奮闘と、真似っ子の旭と悠也、弐
旭も悠也も、元々はテレビアニメというものに興味を持っていなかった。
だから、今のアニメではつけられている
「テレビをみるときは、部屋を明るくして、テレビからはなれてみてください」
を使うようになるきっかけのアニメも、もちろん当時は見ていなかった。
真陽が、「アンパンマン」や「おかあさんといっしょ」だとかを見るときは分かる。
そうでなくて。女の子向けのアニメを見るようになるときに、なぜか真陽よりも先に、悠也がチャンネルを回す。
そして、言うのだ。
「つぎ、○○だよね!」
そう、どのきっかけからなのか。
旭や悠也が、女の子向け、又は男の子向けのアニメに興味を示すようになってきたのだ。
ちなみに真陽は、女の子向けアニメはもちろん。特撮ヒーローものや、世界名作劇場なども見ていた。
「題名のない音楽会」という音楽番組も、懐かしい。
小学生の真陽のなかの記憶では、しょっちゅう見ていたアニメの、「ちょうどいいところ」でチャンネルを回されるという、なんともショックな事しか覚えていない。
それをするのは、決まって旭だ。
覚えている範囲のなかの最大のショックは、それらのアニメの最終回だ。一番気になるところで、無情にも番組を変えられてしまったことが何度もある。
旭のなかには、一つの「クセ」がある。
「同じシーンを何度も巻き戻し再生すること」
とある名作劇場の話のなかの、「感動するアニメ」の歴史にも残るくらい、特に泣ける場面を。
1、2回どころではない。
10、20、……いや、もっとか?
そのシーンを巻き戻し再生するせいで、こちらは「感動」よりも「見飽きた」、という感情が押し寄せてくるのだ。
タチの悪いことに、なぜか旭が巻き戻し再生するシーンは、悲しいシーンばかりなのだ。いまだに、その心理は理解できない。できる日は、くるのだろうか。
そんな、ひとを困らせることの得意な旭でも、戸惑うこともあったという。
それが、「赤ちゃん」だ。
まだ、真陽が本当に赤ちゃんのときに、七瀬が少し、真陽を旭に任せてみる、と。
その顔は、とても戸惑っていて。おっかなびっくり、という表現がしっくりきそうな顔だったらしい。それでもちゃんと、倒れないように支えていたとか。
ちなみに、「人間の赤ちゃん」を明らかに理解出来ていなかった悠也が真陽にちょっかいをだそうとしようものなら。旭は言葉のでない声で、一生懸命に、悠也を追い払っていたとか。
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