7. 運動会の珍百景

 それは、旭と悠也の通っている特別支援学校での、運動会にて。



 運動会というのは。子どもたちの特性が出やすいイベントだ。

 真陽がまだ小学生以下時。旭、悠也は小学2、3年生としよう。そして、走る項目があったとしよう。

 そういう時には、二人は互いが真逆の行動をする。

 旭は、普段通りなら比較的速く走れる。だが、家族の、特に母親を見つけると、途端に走る速度が下がる。いっそ徒競走のごとくだ。


 反対に、悠也はというと。

 甘えん坊な悠也は、家族の、こちらも特に母親を見つけると。

 ――走りだす、しかも七瀬に向かって一直線に。

 そんなものだから、その時になると、家族はどこか、または誰かの後ろにでも、隠れなくてはならなくなるのだ。



 ちなみに、真陽はというと。

 彼女は、そういう時に限って、よく転んでいる。大抵は慣れっこのため、すぐに起き上がって再び走りだす。

 その後に、友人に説得されて、渋々と保健室へと。



 ――拝啓、自分の足と兄たちへ。

 なぜ、ああいう時に私は転ぶかな。

 で。なんで二人は、あそこまで真逆の行動をするの。

 見ている方からすると、面白いのかもしれないけど、母さんは特に、大変だな。

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