「烈風真田幸村戦記(大助編)」18

      五


 アメリカ側の言い条は、

「これだけの、艦船で、そこをお攻めになる気か?」

「ハッキリ言って、これだけの艦船があれば、何処の国でも攻められる」

 と青柳が、流ちょうな英語で言った。

「一番、当たり障りのないのは、どこかな? 本土に向かって、撃って見よう」

「一番砲から、六番砲まで発射用意・・・撃て!」

 孫一の号令で、六門が発射された。

 もの凄い轟音が咆吼した。

「窓を見てご覧なさい」

 孫一に言われて使者が見ると、六本の炎を噴射しながら、アメリカ大陸に向かって、飛翔していった。

「嘘だ!・・・」

 使者の一人がいった。

しばらく立ってから、猛烈な爆破と音が、大陸内でした。

建物も、人馬も、すべてのものに対して、六個所で噴煙が立ちのぼった。

「お気に召さないようでしたら、もう六発撃ってみましょうか?」

「い、嫌!・・・た、沢山だ」

「ですから、何処とでも、戦えます。ヨーロッパ十箇国と戦った事もあります。マイナーな国ではありません。イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スエーデン、フィンランド、まだ、あったかもしれません、全て、投降しました」

「聞いています」

「イギリスは、再起不能な位に発砲しましたが、どうにか、復興してきたようですね。アメリカの宗主国でしょ」

「は、はい。あれ以来イギリスも、フランスも頼りにはなりません」


「だったら、我が鳳国を宗主国としなさい」

 と、いったのは、皇帝であった。

 全員が、

「あっ!・・・」

 と思った。

「イギリスから独立して、鳳国の傘下にお入りなさい。誰か世界地図を出せ」

「赤い縁取りがあるのか、我が鳳国の領土です。書き込むのが間に合わないくらい、ドンドン増えている。アフリカも西アフリカと東アフリカとある。最近十兵衛が増やした十四箇国も書き込んで居ない。コロンビア、コスタリカ、ニカラグア、パナマも書いてない。パナマ運河も書いてない。あそこを通過すると、もう、メキシコ湾のようなものだ。造ったのは、鳳国だ。従って、往来自由だ。他の国が通るきは、船のトン数と実際の重量で、通行料を徴収する。便利が良いですから、使って下さい」 

 と孫一がいった。

(あそこ、パナマに運河を掘ったのか・・・)

大陸の方は、延々と燃えていた。

「ですから、いつでもきますよ。兵站も、近くの太平洋の島から運びますしね。兵站のつながらないところには、手を出しません。勿論、今見たそうな大砲が、何門も門番をしていますけどね」

「で、聞きなさい。宗主国をイギリスにするのか、我が鳳国にするのかを・・・ん?あの船団はどこにいくのか」

「ニューヨークでしょう。返事しだいで、街がグシャグシャになるでしょう」

「・・・」

 使者たちの顔が蝋燭の色のようになった。

「船団には、海兵隊と陸軍も乗っている。艦砲射撃を一時間やる、その間に、海兵隊と陸軍が上陸する。西からは、十個師団と、インディアンのかつて無い大群が攻めてくる手はずになっている、若しかすると、北からも攻めてくる。東は、今言った艦隊が、ニューヨークを攻撃するでしょう。鳳国はやると言ったら、必ず攻撃します」

「帰って、幹部と相談してきなさい。待つ時間は、二時間です。それを過ぎたら、交戦です。小銃ではどうにも出来ないしょう。それとこれは絶対的な条件です。奴隷は、絶体に許しません。以上です。出口までご案内して」

 使者は、目隠しをされた。


                 *


 アメリカからの返事がかえってくる前に、大助は、バハマ、キューバ、ドミニカの大アンティル諸島の島々に、使者を送って、鳳国の支配下に這入るように説得をした。

反対したスペインの将校たちの首を日本刀で、全員、刎ね上げた。地の者たちは、無言で承諾した。スペインの兵たちは、全員、捕虜にして、船底の営倉にぶち込んだ。

約証に、サインさせた。

もう、スペインの統治領ではなくなった、キューバのアメリカ側に、基地を造って、大砲を六門ならべた。

フロリダ半島が、直接、砲撃の範疇に入った。

 アメリカからの、答えは、ノーであった。

判ったというのと同時に、各艦船から、一斉に艦砲射撃が開始された。

この日のために、パナマ運河は、造られたようなものであった。

艦砲射撃が始まるのと同時に、各強襲揚陸艦から、上陸が開始された。

もの凄い数の艦船であった。

アフリカから、鈴木師団が呼ばれていた。

黒人兵六十万人である。

アフリカから拉致された奴隷や農奴で、圧倒的に、南部地区が多かった

「それを自分たちの手で救出しろ」

 というのが、鈴木孫介総統の号令であった。

当然のことながら、恨みは深い。

その分攻撃は、激烈になって言った。

「黒人兵に限っては、婦女暴行も大目に見る」

 と大助が号令を出した。

「これまでの、恨みを晴らしたいのは、人情である」

 という、理由であった。

この六十師団の黒人兵の猛攻は、インディアンに負けないものがあった。

「皇帝を怒らせたら、怖いわ」

 と、武蔵が言った。

「先代よりも戦略家で、武略に明るい。散々親父という、見本を見てきているからな」

 孫一がいった。

「なんで、遠いアフリカから、鈴木師団を呼んだのか。憎悪の力というのは、半端ではない、熱量を持っているからな。鈴木師団と、大同団結したインディアンと、艦砲射撃で、滅茶苦茶にされるだろう。和睦の機会は与えているのだ。それを断ったのは、あちらさんだからな。仲間の奴隷たちを救った後々は、凄まじい、阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れるぞ。

「強姦輪姦は知らんが、奪った金庫の金は全て、荷車で運ばせろ、勝手に捕るのはゆるさん。家具什器備品、衣類も、何時ものようにせよ。インディアンにも教えろ。規律違反で、言うことを聞かぬ者は、その場で首を刎ね上げろ。問答無用で構わん」

 と、大助が、皇帝として号を発した。

内陸に進軍すると、鎖に繋がれた奴隷たちが、ごろごろ出てきた。

それらを、次々に全員救出して、農場の主人たちを縛り首にして、木の枝に吊した。

 アメリカは、これが怖くて、和睦が出来たかったのである。

そこから、黒人兵たちの暴行が開始された。

次々に、女という女は暴行された。

女一人で、二人の男から犯されている者がいた。

性器と肛門を同時に、犯されているのである。

さらに、三人目の男が、口唇に男根を突き入れていた。

六十万人の黒人兵がいるのである。

それも、徹底して訓練を受けていたから、強い。

黒人は元々、身体能力は、優秀なのである。

しかも、武器は新式である。

白人が敵う筈が無かった。

 そこに、インディアン部隊が到着しだ。

インディアンも、奴隷たちを救出していった。

そして、同様に、女を強姦し、輪姦していった、

本来の鳳国軍は、一師団も上陸していなかった。

インディアンと黒人部隊で、充分過ぎた。

白人の女はローラー作戦のように、犯されていった。

男たちは何も出来ずに、殺害されるが、捕虜にされた。

農作物も全て刈り取られて、荷車に積まれた。

男たちの衣類も、脱がされて、全裸にされて、肛門に、警棒を突っ込まれた。

家具も什器備品も、全て、荷車に積まれた。

政府らしき庁舎があったが、それも、シロアリが通った跡のように、すっからかんにされた。

奴隷は全て、救出された。

船の病院船や、介護船に運ばれて、応急手当を受けた。

農場主は、殆どなぶり者になれて、縛り首で、木に吊された。

 一週間、黒人とインディアンの好きにさせた。

南部地区殆どが、阿修羅、地獄とかしていた。

 やがて、鈴木孫助総統と武蔵、十兵衛が、岸壁に降り立った。

「各隊。整列しろっ! 遅い! 早くしろ! 隊列が曲がっている! 誰がこんな整列の仕方を教えたか! 服装を直せ!」

 軍曹が走り回って、整列させた。

いつまでも、ダラダラしている者には、往復ビンタを喰らわせた。

やっと整列終わった。

 皇帝である、大助が姿を現した。

 第一声である。

「気分はどうだ? さっぱりしたか? 全員で答えろ!」

「はいっ!」

「全員、莫迦だ!・・・今後も、軍務に励め! 解散」

と桟橋を、引き返していった。


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