烈風「真田幸村戦記(大助編)」5

     五


 北欧方面を担当した、十兵衛は、手を出そうとしたが、以前の時とは、比較にならない艦砲射撃で、オランダも、デンマークも、国土の形が変わりそうなほどになった。

家という家が、全て吹き飛ばされてしまった。

宮殿から白旗が上がっても、

「彼奴らは、白旗揚げても、抵抗運動をやるぞ」

というので、宮殿ごと、木っ端微塵に、吹き飛ばされてしまった。

一度失った信用は、取り返せるものではなかった。

もう、逃げ場が無かった。

人々が、ぞろぞろと両手を挙げて出てきたが、それを、ガトリング銃で、人形のように撃ち斃していった。特にオランダは、

「奴隷の身になってみろ」

というので、徹底してやられた。

「散々よその国を攻めてきたのだろう。少しは、痛みを知れ」

 というので、水車を、全て、撃ち壊された。

宮殿も破壊された。

もう、戦いようがなかった。

逃げようも無かった。

「助けてください」

というのに、長い鞭で、ビシッと叩いて、

「アフリカや、アジアの奴隷たちも、そう言ったんだよ」

 と言って、ガトリング銃で、ならべて銃殺した。

オランダの、やって来たことを、考えれば、仕方のないことであった。

そのあとで、油玉を、幾つも投げ込んで、火矢を射た。

国の色々箇所で、猛火が起こった。

もう、二度と、立ち上がれない、国にしてきた。

そうするのに、たいした時間は掛からなかった。

スカンジナビア半島の三国は、改めて、攻撃することにした。


                *


 木村重成は、先ず、白ロシアである、ベラルーシの軍隊を、根こそぎ片付けた。

ベラルーシは、鳳国の強さを、嫌と言うほど知っていた。

鳳国軍の銃声鳴った途端に、白旗を掲げて、地面に平伏した。

彼らを全て捕虜にして、豪州に送った。

木村重成的なやりかたであった。

 続いてバルト三国とロシアの飛び地があったので、これも片付けた。

フィンランドに入るには、ロシアを経由しなければ、ならなので、そこで止めて、兵を旅団単位を各国に配置して、ドイツの皇帝の元に、報告に戻った。

「ベラルーシ、バルト三国とロシアの飛び地を、掃除して参りました。大量の捕虜がでましたので、手紙添えて、豪州に送りました」

 と報告しているところに、十兵衛が、同様に兵を張り付けて、報告に戻ってきた。

「オランダ、デンマークは、当分の間、立ち上がれないでしょう。国庫の軍資金、武器、兵器類は、押収してまいりました。後は、掃討部隊と、掃除隊が・・・」

 と十兵衛が、報告した。

「右に同じです」

 と、木村が、報告した。

そこへ武蔵が戻ってきた。

同様の報告をした。

「残るは、三箇所、リベリア半島のスペイン、ポルトガルと、スカンジナビア半島の三国、それにイギリスですが、リベリア半島は、ピレネ山脈があって、入り口は一つです。海軍と、打ち合わせて、輸送船で上陸するほかありません」

「三人とも、ご苦労であった。フランスの具合は、どうであったか?」

「当分、立ち上がれないと、思いますが。捕虜はとらず、全員、射殺しました。生かしておけば、また、抵抗運動の、原因になります。彼奴らの白旗は、心からの物ではありません。戦争をゲームと思って貰っては、困ります。二度目はないのです。舐めた民族です」

 武蔵が不愉快そうに言った。

その表情から、戦い振りが、容易に想像がついた。

「将校娯楽車で、休んでくれ」

 と、大助が言った。ケリーに、行くように、眼で合図を送った。


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