第二章 2
二
本陣車を千三百人で、十重二十重に警護した。
先頭の戦車は、車輪を唸らせて、地響きを立てて疾走していった。
戦闘装甲車は、天井を開いて、一斉に銃剣を構えた。
ガトリング砲、ガトリング銃も体を出して構えている。
装甲車も同じであった。
三列縦隊で、疾走していく。
その後から猛牛が百頭疾走していく。
牛は走ると馬並みに速いのである。
その後から、象が、二十頭。これも早い。
驚いたことに、先頭の象の上には、そう使い以外に、三好兄弟が、跨っていた。
落ちないように、手綱を付けていた。
騎馬隊の先頭に、幸村が立っている。
幸村の隣に、才蔵が、馬を寄せて来て、
「本陣車には、佐助が乗っています」
「判った! クソッタレめっ! 一般庶民に乱暴狼藉などしていたら、皆殺しにしろ!」
といったときに、
「伝令! 海軍が敵の大関船三百隻を発見。全船轟沈しました! 溺れているのは、鉄砲で撃ったそうです。後々の証拠のために、偉そうなのだけ、徳川兵二人、女真族十人だけを捕虜にしたそうであります」
「よし! 幸先いいぞ! 一列縦隊になり。両脇に、武蔵隊と、孫一隊を入れろ」
と編隊を変えながら走った。
「戦はこうじゃないと面白しくない」
「殿下! 久しぶりです。野太刀が、錆びてしまいますよ」
「雑賀の鉄砲隊の、腕の冴えを見せてやりますよ!・・・」
「三好兄弟を見て見ろ。牛から、象に乗り換えたぞ!」
そこへ、いきなり、塙団右衛門、薄田隼人、後藤又兵衛、駆けつけてきた。
「自分たちだけで楽しのはずるいぞ」
「こっちで面白いことをやっているというからな!・・・」
「急いで駆け付けてきた」
「気を付けろ相手は、女真族と言う蛮族だ」
「矢や、槍に毒を塗ってるな」
「家康の糞爺が呼びやがったのさ」
孫一が、叫んだ。
無性に全員、元気であった。
松本を、抜けると、急に山道に成って来た。
穂高、大町、白馬を過ぎると、富山に抜ける二股になったところで、
「全員、馬をやすませろ。人参や、豆かすを与えろ」
と馬から降りて馬の体を拭いてやったりした。
徒歩兵たちも必死であった。
荷物を下諏訪預けて、荷台に兵が乗ったり、幸村たちに遅れまいと必死であった。
しかし、一番必死なのは、本陣車であった。
先頭を切って走っていた。
姫川を、小型の関船が、遡ってきて、船長が、幸村に状況を報告した。
「敵は、七千五百人。武器は大したものは持ていません。ただ、矢や槍には、毒が塗ってあります。ですから、かすり傷でも必ず、血を吸い出してください。口が廻らところは、互いに吸いあったり、これを使ってください」
「む? なめくじか?」
「蛭です。こいつは、喜んで、血を吸います」
「で、敵は?」
「寺を占領して、次の船が来るのを待っています。その間、村の娘は犯すは、抵抗したら殺すは、強盗以上の乱暴狼藉の数々、早く戦いたいです」
「敵が待っている船は来ないよ。海軍が発見して、轟沈させた。大型関船三百隻だ」
「家康の持ち船です」
「聞いたら爺さん。嘆くぜ」
「十人組、斥候を頼む」
「承知」
十人組といっても、佐助は、本陣車にいるし、三好兄弟は斥侯には向いていない。
真田忍軍が加わって、山の中に猿のように、走り込んいった。
「船は?」
「遡って来ているのは中型の関船が限界で、五十隻ほど・・・敵は、相当に酒を飲んでいるのですが酔いません。強いんです」
「住民は?」
「殆どが山の中に逃げこみました。寺の中には、二十人ほど若い娘が攫われています」
「その娘たちが居るいる以上、寺は砲撃出来ないな。蛮人め・・・娘たちを盾にすることも考えられるな。狙撃隊を」
「任せてくれ」
孫一が言った。
手を振ると、五十人近くの半数ずつが、山の斜面に消えていった。
「出撃準備! 全員乗馬。付け剣!」
と言ってから、
「塙、又兵衛、隼人、盾を持て。円形の軽いのでいいだろう」
と三人に渡した。
「出発! 並み足!」
戦車、その他には、
「寺には人質がいるので、砲撃はするな」
と注意を伝えた。
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